「列車の貨物室はスクラップ、けれども死人は出ず、全員軽傷ですんだ。あれだけの爆発があったのに、だ。あんたいったい何をした?」
 次の日。
ノウブは無事戻ったカレノたちに町中に広まった情報を提示して問いかける。
「まぁそんなこといいじゃないですか。これでこの町も元通―――」
「列車を除いては、な」
 カレノが言い終わる前にユウキが言葉を発した。
「うっ」
 カレノに微かなダメージ。
「列車の中での出来事に対するささやかなる反撃だ」
「せっかく助けてあげたのにそんなのあんまりですよ」
 カレノは少し困った顔をして言った。
 思いっきりわざとっぽい。
「まあ、そんなことはどうでもいいが」
「ほんとにどうでもいいのか?」
「うっ」
 会話を元に戻そうとしたノウブにユウキのナイスツッコミがクリーンヒット。
「と、に、か、く、もう行くのかね」
 ノウブは無理矢理話を戻した。
「ええ」
「ならあたしも連れて行ってくれないか?」
 肯定したカレノに
「えっ、でも―――」
 少し困ったカレノの近くでノウブに聞こえないように囁く、
「連れて行かないとあの不思議な力のこと町中に言いふらすぞ。今すぐに」
 と。
「あれをやったのがわたしだって気づいていたのですか」
「やっぱりそうだったのか」
「うっ」
 ダメージ増大。
 揚げ足を取られた。
 カレノはユウキに鎌をかけられたことをすぐに気づいた。
これにより『逃げる』のコマンドは使えない。
(って言うかコマンドってなんなのだろう?)
「なあ、あんたどうかその子の頼みを聞いてくれんか」
 そこにノウブの一言。
「でも・・・」
「頼む」
・・・・・・
 カレノは少し考えた後、答えを出した。
「仕方ありませんね。了承しましょう」
「よし、そうと決まれば早速準備を。準備してる間に逃げるなよ、カレノ」
「はいはい、分かっていますよ」
 苦笑交じりに答えるカレノ。
「すまないな、無理言って」
「いえいえ、そんなに気にしないでください」
「旅に出る前にあんたに言っておきたいことがある」
「なんですか?」
「もうとっくに分かってるかもしれんが、あの子は俺の娘ではない」
「・・・やはり。そのことを彼女には?」
「言ってない」
「そうですか。では彼女をここへ連れて来―――」
「おまたせ」
 言葉の途中でユウキが戻ってきてしまったのでそこで言葉を切る。
 カレノは聞きたいことを聞けなくなって少し残念そうな顔をした。
「準備はいいですか?」
「ああ」
「ちょっと待ってくれ、これを」
 そこにノウブからストップが入る。
 そしてノウブはユウキに何かを手渡した。
「これ・・・」
 それは、
「親父の拳銃じゃないか。これをあたしに?」
 リボルバー式の拳銃だった。
「ああ、やるよ。護身用として持って行きな」
「―――サンキュな、親父」
 今まで育ててくれた感謝の気持ちを込めて。
「そろそろいいですか?」
「ああ。じゃあな、親父!またいつか会おうな!!」
 そして二人は背を向けて歩いていった。
 ノウブはそれを見えなくなるまで見送っていた。








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