正式な出入り口だろう場所から中に入ったのだが、その町に人の気配はなかった。
「何だ誰もいないじゃないか」
「そうみたい、ですね」
町の中を少し歩いていたが人っ子一人見つけていない。
「・・・あれ?もしかして」
 歩いているとカレノが突然ひとつの家の壁に近づいていった。
「・・・・・・やはり」
「何が、やはりなんだ?」
 カレノの発言が気になり、問いかけるユウキ。
「先ほどから気になっていたのですが、これを見てみてください」
カレノの近くによって見てみろといわれたものを見る
「何だこれ?」
「何だか分かるでしょう。あなたなら」
「ああ、分かるけど・・・」
 それは弾丸だった。
 いくつもの弾丸が家の壁にめり込んでいるのだ。
 二人は辺りを見回す。
 よく見てみるとこの家だけでなく、ほかの家にも同じような跡があった。
 おそらくこの町のすべての家が同じ状態だろう。
「いったい何があったっていうんだよ?」
「おそらく何か、大きな争いごとに巻き込まれたのでしょう」
家の中の様子を扉を開けて見ていたカレノが言った。
「しかもかなり前に起こった争いですね」
「何でそんなことが分かるんだよ」
「それはですね―――――」
 カレノが理由を言おうとしたそのときだった。
 二人以外の誰かの声がそれを遮ったのだ。
「そこで何をしている」
ユウキとカレノは声のした方に目を向ける。
 そこには男が二人立っていた。
 一人は黒髪でカレノより少し身長が高く、体格もよい。
 印象的な鋭い瞳がカレノたちを睨んでいた。
 もう一人の方も黒髪でカレノと同じぐらいの身長、体格をしていたがその瞳はまるで生きているのかどうかも怪しく虚ろである。
「お前この町のやつか?それなら――――」
ユウキが質問しようとしたが  の男に遮られた。
「まさか、この町を荒らそうとたくらんでいるのではあるまいな?」
そう言うと  の男は腰に下げていたサーベルを鞘から引き抜き、切っ先をユウキに向けた。
「ちょ、ちょっと待て!誤解だ!」
 そう言って後ろに半歩後ずさった。
 そのときちょうど足が今一番近くにある家の置物だろうと思われるものに当たって倒してしまった。
 その置物は数個の塊に変わった。
 そう、実際誤解なのだがこの出来事のせいで、
「やはり荒らしに来たのか!!けしからん!!このコウロウスがこの剣の刃の錆にしてくれる」
 そう言うや否やいきなりユウキの心臓めがけて鞘から引き抜いたサーベルで突きを繰り出した。
「――――――っ!!」
 ユウキが殺られると思った瞬間、カレノがユウキの腕を引っ張り、寸でのところでかわした。
 そのままユウキは体制を崩しカレノの体に向かって倒れこむ。
 カレノはそれを受け止めた。
「私たちはけしてこの町を荒らしに来た訳では―――」
「問答無用ぉぉぉぉぉぉ!!」
 誤解を解こうとしたがコウロウスと名乗った男は聞く耳を持たなかった。
再びよく手入れをされたサーベルで突きを繰り出してきたのでカレノはユウキを抱え、慌てて右に飛びのいた。
 素早い反応だった。
が、
「くっ」
 それでもカレノの左の二の腕には傷ができていた。
 傷口は浅いが切れ味は抜群だ。
「吹き飛べ!!」
 だがすぐに体勢を立て直し、叫んだ。
「ぬおっ!」
 すぐにコウロウスの体は五メートルほど吹き飛び家の壁に叩きつけられた。
 だがそのすぐ後に銃弾が飛んできた。
 虚ろな瞳の男が放ったものだった。
「弾けろ!!」
 銃弾はカレノに当たる寸前に弾け飛んだ。
 発射されてから身体に当たるまでの間に叫べたのは、カレノの常人離れした反射神経のおかげだろう。
「ユウキ、走れますか?」
「ああ大丈夫だ」
 ユウキがそう言ったのでカレノは抱えていたユウキを地面に下ろした。
「まずは逃げますよ」
「ああ、分かった」
 ユウキは頷くとカレノと一緒に走り出す。
 できれば町の外に出て行きたかったが、そちらの方向には二人の男がいたので仕方なく町の中へ走っていくことにした。
 入ってきたばかりのところでは防壁が崩れていてそこからでも出入りすることができるようだったがそれも近くにはない。
ほかにも出入り口があるだろからそれを探すしかない。
 何とか逃げようとするがやはり二人の男は追ってくる。
「シツコイんだよ!!」
 ユウキはホルスターからバレルの短いリボルバー銃を右太もものホルスターから取り出し、ハンマーを起こし、そして後ろに向けて発砲した。
 威嚇射撃のつもりだったのだがまったく違う方向に撃ったのでまったく意味がなかった。
 十メートルぐらい横の方に撃ったのだから意味が無いのも当然である。
 男たちは何事もなく追いかけてくる。
「どこに撃っているのですか」
「もしも当てちまったら嫌じゃないか」
「でもあれではまったく意味がないですよ。あれでは無駄に弾丸を消費してしまっただけですね」
「う、うるさいな!まだ慣れてないんだから仕方ないだろ!!」
 こんな事を言っている間にも銃を持った男の方が発砲し続けている。
 その弾丸は運良く二人に当たる事はなく、地面に当たったり、カレノたちより更にむこうにある家の壁に当たったりしている。
「・・・・無駄な会話はやめましょう。体力を消費するだけですし」
「無駄とか言いやがったな!!」
「ああ、もう――――――爆発!」
今度はいい加減疲れてきたカレノが後ろに向かって叫んだ。
 後ろの男二人の足元が爆発し、砂煙を上げ、しっかりと足止めすることができた。
「いっ、今のうちに、どこかに隠れて、体力を回復、しませんか?」
 カレノが息を切らせながら言った。
「しっ、しかたねぇ、な。それじゃあサッサと、隠れるぞ」
 カレノに負けず劣らず疲れているユウキだった。

次回

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