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September 23, 2025
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カテゴリ: モンスター映画
この映画を初めて見たのは、テレビの洋画劇場でした。
放送されたのは、1972年だったそうです。

母が、家事などの片手間にチラチラとテレビを見ていて、「これ、どうやって撮ったの?」と聞いてきました。
それは、画面に登場した巨大アリの群れを見てのことでした。
母は、巨大アリの造形や動きを見て、日本の怪獣映画のように、中に人が入っているわけでもなさそうだと思ったのでしょう。
それに対して、
「大きなアリの仕掛けをつくって、それを動かしているんだ」
と説明しました。
当時、詳しい裏付けの情報はもちあわせていませんでしたが、映像の巨大アリの場合はそれしかありません
「はりぼてのアリなのね」
とつぶやく母。
はりぼて。
もしかして母は、忍術映画の児雷也蝦蟇のイメージを描いてわかったつもりになったのかもしれません。

それはともかく、『放射能X』は、第27回アカデミー賞の特殊効果賞にノミネートされた映画なのです。操演の巨大アリがいくつも出てきて、暴れ回ります。
その物量と動きに驚いたものです。

日本の特撮の場合は、経費節約のために着ぐるみやミニチュアを使い回したりしていました。
例えば、バラゴン→パゴス→ネロンガ→マグラー→ガボラとか、ラドン→リトラ→大コンドルとか。
それから、旧作の着ぐるみを、水中撮影用に使ったりもしているとのこと。
なので、実物大モデルを一度にたくさん登場させるなんて、さすがにアメリカ映画はぜいたくだ。
けれども、ずっと後になって、実際に体の各部が動く巨大アリのモデルは数体だけだったとも聞きました。
いろいろ組み合わせるなどして、巨大アリを多く見せるような画面作りをしたようです。

そういった事情はあったとしても、『放射能X』はモンスターパニック映画の名作として、未だとても大きな存在感を示しています。
そして、後続の特撮怪獣映画やモンスターパニック映画に、様々な刺激を与えたのがわかります。

例えば、東宝特撮映画の『空の大怪獣ラドン(1956)』。
『放射能X』の冒頭、放心状態の少女が広大な砂漠を彷徨っていました。
『空の大怪獣ラドン』においては、トンネルの崩落により行方不明となった炭鉱技師の河村が、阿蘇山の巨大な陥没現場を歩いていて救助されます。
その時点での彼は、記憶を失っていました。

また、『放射能X』の巨大アリは、『空の大怪獣ラドン』のメガヌロン(巨大なヤゴ)に相当すると思います。
巨大アリは体長約3メートル。
メガヌロンは体長8メートル。
両方とも、実物大のモデルを使って撮影しています。

さらに、『放射能X』においては、キャンピングカーや商店が何物かに破壊され、人が亡くなったことなどがわかってきます。
だれが、どのようにしてこれほどの災害級の襲撃を行うことができるのか?

一方の『『空の大怪獣ラドン』では、日本刀のような鋭い刃物で切りつけられる事件が続発する。
だれが、どのようにしてこのような惨殺を行ったのか?

そうしたシークエンスが、サスペンスフルに展開していきます。

あるいは、『エイリアン2(1986年)』。
『放射能X』において放心状態だった少女と同じように、『エイリアン2』も、エイリアンの襲撃から生き残った少女が登場します。
ふたりとも、お人形を抱いていました。
『放射能X』では、女王アリを中心に巨大アリが巣をつくり、おびただしい卵を守っています。
『エイリアン2』でも、同じようにエイリアン・クイーンが君臨し、繁殖に努めています。
『エイリアン(1979年)』は、謎の生命体が単体で人を襲いました。
つぎの『エイリアン2』はその生命体がコロニーを形成し、大集団で人間を襲ってきました。
つまり、「巨大アリ」が「エイリアン」に置き換わったと見て取れます。
(『エイリアン2』でも、『放射能X』の巨大アリと同じように、限られた数のエイリアンのモデルを、大群に見えるように効果的に使用したとのこと)


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とはいっても、ただ単に『放射能X』が『空の大怪獣ラドン』や『エイリアン2』に流用されたのではないです。


『空の大怪獣ラドン』のメガヌロンは、映画の前半を盛り上げる役目を果たしています。
謎の惨殺事件、そしてメガヌロンの出現と人々との対決。
それだけではなく、その後、ラドンの登場により話のスケールはさらに大きくなっていきます。
なんと、人々を混乱に陥れたメガヌロンは、幼体ラドンのエサにすぎなかった。

『放射能X』と『エイリアン2』との相違点は、攻撃性にあります。
巨大アリは砂糖を求めるなどの目的で人を襲います。
けれども、巨大アリの本当の脅威は、爆発的な繁殖力なのです。
1匹の女王アリが何千もの卵を産み、その中からまた女王が生まれ・・・。
「まるでこの世の終わり」「人類滅亡の序曲」となることです。
なので、人類は、巨大アリの巣を見つけて、そこを攻撃する。
つまり、アリよりも人類のほうが攻撃を仕掛けているのです。

それに対してエイリアン軍団は、確実に人間を襲ってくる。
なにしろ、人間をとらえて、エイリアンの卵を寄生させる目的だから。
この状況では、人間はエイリアンの攻撃を防ぐ立場に立たされます。
だから、『放射能X』は、巨大アリの巣を破壊できるか?
そして、『エイリアン2』では、エイリアンの攻撃を防ぎきれるか?
といったところがポイントになっています。

そうしたモンスター、怪獣、クリーチャーにより、人類は危機的状況に陥ります。
ですが、もとはといえば、巨大アリは、核実験の影響によって突然変異体となりました。
ラドンも、原水爆実験のエネルギーによる環境破壊により出現たと推定されています。
加えて、エイリアンについては、人命より優先して、宇宙生物を捕獲し研究(生物兵器化?)することが大企業の目的でした。

これらの映画は、今から何十年も前から作られ続けてきました。
科学の発展と自然環境のバランスについて問いかけていたのです。
しかしながら、地球の各地で、温暖化が招いた異常気象による大災害が起こっています。
あるいは、野生鳥獣による被害も、深刻さが増してきています。
人間のエゴが増大するのに合わせて、自然も手に負えなくなっていくのです。





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Last updated  September 23, 2025 10:33:13 AM
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