小さな不動産会社のBOSS日記

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数年前に相続にて所有者となられた此の日の契約の当事者である老婦人。
被相続人であったお姉さんは、そのお家にて新築後20年間お一人で住まわれていました。
そして、そのお家の建築に関わられたのは、この老婦人のご主人様でした。

身内の建築ということで、丁寧に精魂傾け建てられたそのしっかりした木造和風のお家。
取引の場で、亡くなったお姉さんが長らくお一人でお住まいだった家に対しての感慨というものを、その老婦人は強く持っておられる様子でした。

買主様であるまだ若いご夫婦の、「自分達はこのお家がとても気に入っています。此の様な木造の風情のあるお家をずっと探していました。是非大切に使わせていただきますので・・」
というその言葉に、

「何せ古いので、この家が若い方に合うかどうかわかりません。その点勘弁してください」
そう言って感極まったのか思わず泣き始められました。





そしてしばらく後、金融機関に申し込んでいた買主様のローン承認も無事下りて、昨日最終決済の段となったのです。

契約時には、あいにく腰を悪くして入院されていて欠席されたもう一人の所有者であるお兄さんも、この日は、腰を屈め杖をつきながら取引き場所へみえられました。

70歳を超えたご年配なかがらも、スーツをぱりっと着こなし、かくしゃくとした様相で取引きの場である金融機関の一室へ出てこられたのです。

先にこのお家を売り出す相談を受け、初めてお会いしたときから、この方が持ち合わせておられる毅然とした精神というものを私は感じていました。
とても節度ある応対と言葉のやり取りでした。
そしてこの日のような時折においては、事を運ぶ大切な節目における儀礼を尽す様な精神・・。

やがて司法書士の書類確認も済み、決済の実行の段となった時、この売主様は徐に、
「一言此の場で述べさせてください」と言われると、正に冠婚葬祭時の謝辞の様に。

「この度は買っていただいて大変有難く思っています。」
「そして○○さんには大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。」
と我々に深々と一礼を。


「亡くなって空き家になった後、私達が時々風を通したり、掃除したりしてきました」
「しかし何分築年数も経っています。」
「これを売りに出す際、○○さんには意見評価をしていただき、年数的にも建物は評価もほとんど償却し、土地を主に値段もつけさせていただきました」

「特段この家に、雨漏り等何かあったようには聞いておりませんが、姉が住んでいた頃のことについては、私達が知り及ばないことも多々あります」
「その点、何卒ご理解の上、この先使っていただければ幸いに思います」・・


凛として礼節を持ったその話し振りには、買主様も恐縮され

「いやいやこれは立派に造られてお家だと思います」
「私達はとても気に入っています。是非長く大事に使わせていただきます」

この買主様もまた、契約時には売主様へ、そして私共まで取引きのお礼の品を用意までされるような律儀さを持っておられます。

そしてこの日分かったのですが、この買主様である若きご夫婦は、なんと、先日の契約後、この最終取引きまでの間に、前の所有者、すなわち、この築20年経つ戸建てに亡くなる数年前まで住んでおられた、この日の老紳士、老婦人のお姉さんの墓前に出向いて花まで手向け手を合わせてこられたのだそうです。

多くの取引きに立ち会いますが、今回のように、双方が、現在社会において影を潜めてしまった、ひとつの清清しい程に、人としての精神(スピリット)を持っての縁というものは、なかなかないものです。

関係者が互いへ感謝の念で取引き場所を別れ、しかし実に気持ちの良い取引きに関与できて、私もさわやかな気分で、昨日とても嬉しかったのです。
そして、この売主様、買主様で良かったと、心より思ったのです。
きっと引き続き利用される家も喜んでいるだろうと。
この出会いは、私にとって、とても爽やかで良き縁でした。

私の場合、大きな仕事でもなく、やはりコツコツでもこの様な対面での仕事をこなしていくのが性分にあっているような気がします。
そして当社としても、はやはり大量生産的ではなく、私を含める社員と関わる人との手作り感覚的な良き縁に悦びを感じる仕事をこなしていくことを本望としたいと思うのです。
出会うには限りがありますが・・"^_^"
しかし、私と当社に合った縁というものに、また巡り合う事を思い浮かべながら。





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Last updated  2006年11月23日 20時10分14秒
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至福の縁(11/23)  
☆kumi  さん
素晴らしいご縁ですね。
それにしてもお若いって何歳位だったのでしょうか
買主様の素晴らしい事
お墓に手を、花を添えられたと言うのを拝見させて頂いて、はっとしました。
kumiもこちらをお借りする時にお世話になった不動産屋さんの担当者の方に一言お礼を申し上げないとって思いました。
それを気づかせて頂いた事に感謝します。
(2006年11月23日 20時57分10秒)

初めまして  
サユサユ さん
こんばんは。ブログを拝見して心が洗われました。
日本人の繊細な心使い、現代社会で無くなりある心と言うものを再確認させられました。
http://happy-cooking.cocolog-nifty.com/blog/ (2006年11月24日 00時05分01秒)

TO:☆kumiさん  
next0209  さん
>素晴らしいご縁ですね。
>それにしてもお若いって何歳位だったのでしょうか
>買主様の素晴らしい事
>お墓に手を、花を添えられたと言うのを拝見させて頂いて、はっとしました。
>kumiもこちらをお借りする時にお世話になった不動産屋さんの担当者の方に一言お礼を申し上げないとって思いました。
>それを気づかせて頂いた事に感謝します。
-----
といっても三十代半ばかな・・
いまどき日本的精神を持っておられます。
(2006年11月24日 18時52分28秒)

TO:サユサユさん  
next0209  さん
>こんばんは。ブログを拝見して心が洗われました。
>日本人の繊細な心使い、現代社会で無くなりある心と言うものを再確認させられました。
>http://happy-cooking.cocolog-nifty.com/blog/
-----
ご訪問有難うございます。
私も今回改めて日本の心というものに触れて、とても新鮮で幸せな気持ちを持つことができましたよ。(^^)
(2006年11月24日 18時55分35秒)

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