オバかの耳はロバの耳 

2015/08/24
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
転載記事

******

■■ Japan On the Globe(914) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■

The Glove Now: 「懐かしい未来」を開く里山資本主義

 里山の資源を有効活用すると「懐かしい未来」が見えてくる。


■1.裏山の木の枝でご飯を炊く楽しさ

 広島県の北部、中国山地の庄原(しょうばら)市に住む和田芳治(よしはる)さん(70歳)は毎朝の御飯を小さな「エコストーブ」で炊いている。

 ガソリンスタンドからタダで貰ってきた石油缶に、ホームセンターで数千円ほどで買ってきた管を煙突がわりに付けて、手作りしたものだ。裏山から集めた木の枝を数本くべて炊くと、御飯はピカピカ光って旨い。

 訪ねてきた客に食べさせたら、「しもうた」と思わず、漏らした。「つい先日、7万円やら8万円出して、電気釜を買ったのに、あれとは全然違う、こっちの方が旨い」と悔しがっていた。


 毎回できが違うかもしれないと思って気を遣うこと、いろんな木をくべることも含め、不便だといわれるかもしれません。でも、それが楽しいんですね。結果、おいしいご飯。これが三倍がけ美味しいんです。こういうものを使うことによって、笑顔があふれる省エネができるんではないか。[1,p48]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 電気代も節約でき、枝を拾うことで放置されていた裏山にも手が入る。

 炊飯器のスイッチ一つでご飯を炊けるというのは便利この上ないが、その陰には、途方もないグローバル資本主義が動いている。中東で採掘した石油をはるばる日本まで運んできて火力発電所で発電し、その電気を日本各地に送る、というグローバルな物流や送電のネットワークだ。どこか一カ所で戦争や天変地異でもあれば、たちまち電気が止まって、毎朝の炊事にも事欠く。

 その一方で、若者は仕事のある都市部に吸い寄せられ、多くの地方の集落が過疎化、高齢化して、いつ消滅するかと先行きを危ぶまれている。放置された森林は荒廃し、耕作を放棄された田畑が広がる。

 グローバル資本主義の不安や矛盾を打破しようと、里山を活用した工夫がいろいろ進められている。エコストーブはそんな工夫の一つである。これを[1]の著者は「里山資本主義」と名付けている。


■2.産業廃棄物だった木くずで発電

 里山の資源活用をより大規模に実現するのが「木質バイオマス発電」だ。バイオマスとは生物由来の有機性資源で、石油など化石燃料を除いたものを指す。

 岡山県真庭(まにわ)市は中国山地のど真ん中にあり、面積は琵琶湖よりも広いが、山林が8割を占め、住人は5万人足らずという典型的な山村である。

 町を支えるのは、林業と、切り出した木材を加工する製材業で、大小あわせて30ほどの製材業者がある。住宅着工の出口の見えない低迷で、どこも苦しい経営を続けている。

 そんな中で、製材メーカーの一つ、銘健(めいけん)工業の中島浩一郎社長は、「発想を180度転換すれば、斜陽の産業も世界の最先端に生まれ変わる」と新しい試みに取り組んできた。



 中島さんの工場で使用する電力はこれですべてまかない、夜間の余った電力は売る。これに従来、木くずを産業廃棄物として処理していた費用も含め、合計年間4億円も得をしている。発電施設は10億円かかったが、わずか2年半で回収した勘定となる。


■3.一般家庭2万2千世帯分の発電所

 ただ、製材工場で出る木くずは年間4万トンもあり、この発電設備では使いきれない。そこでかんな屑を直径6~8ミリ、長さ2センチほどの円筒形に固めて販売することにした。木質ペレットと呼ばれる。

 この木質ペレットを燃やすには、専用のボイラーやストーブが必要だが、灯油と同じように燃料タンクに入れるだけで良い。しかも灯油と同じコストで、ほぼ同じ熱量を得ることができる。

 市の後押しも得て、地元の小学校や役場、温水プールなどに次々と木質ペレット用ボイラーが導入された。個人宅用ストーブや農業用ボイラーにも、行政からの補助金が出て、広く普及するようになった。しかも、水分を蒸発させて熱を奪う、という方式で、冷房にも使える。



 この成功例をもとに、出力1万キロワットの木質バイオマス発電所の建設が始まり、本年4月から稼働が始まった。一般家庭2万2千世帯分というから、真庭市全体をカバーできる発電量である。


■4.安心、安全な社会を築く

「1960年代に入るまでは、エネルギーは全部山から来ていたんです」と、中島さんは言う。

 裏山から薪(まき)を切り出し、風呂を沸かし御飯を炊く。山の炭焼き小屋で作られた木炭が、都市部の一般家庭でも使われていた。

 今でも60代以上の人は、子供の頃に、都市部でも七輪でサンマを焼いたり、あんかの炭火で暖をとったり、田舎の祖父母の家に行けば、いろりで薪を燃やして、なべ料理をしたり、という光景を覚えているだろう。それはわずか半世紀前の事なのだ。

 逆に言えば、ガス・ストーブで暖房したり、電気炊飯器で御飯を炊いたり、という生活スタイルは、わずか半世紀間に起こった変化でしかない。その結果として、我々の生活は大いに便利に快適になったが、その半面、グローバルな供給システムで上述したような大きな不安も抱え込むことになった。

 木くずを利用したバイオマス発電は、地域分散型だけに他地域の経済、社会、天候の変動に影響を受けることが少ない。それだけ安心、安全な社会を築くことができる。

下に続く







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015/08/24 11:33:39 PM
コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: