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2026.07.22
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今朝の日経新聞1面トップに「のれん」償却について書かれていたので、考え方の違いについて書きたいと思います。

のれんは企業を買収した場合等に生じるものであり、簡単に書けば株主資本100億円の企業を120億円で買収した場合に差額の20億円を「のれん」勘定とし、20年以内の期間で定期償却するのを原則とします。日商簿記では2級以上でこの処理を勉強すると思います。で、これが日本基準で国内では一般的な基準となります。

なぜ100億円の価値の企業を120億円で買収するのか・・・これは一般企業よりも収益力の高い企業・ブランド力の強い企業は企業価値が高くて当然であるため株主資本よりも高い金額で買収しても今後の超過利益で十分回収できるためです。

対して国際財務報告基準(IFRS)では会計処理が異なり「のれん」については原則償却処理はせずに、期末に減損テストを実施し「のれん」価値が減少していればその差額を減損損失することになります。日本基準では貸借対照表に計上される「のれん」が当初の20億円→19億円→18億円・・・0億円へと年々減少するのに対し、国際財務報告基準では「のれん」が20億円のまま計上される、で、ある時に収益力が大きく低下して減損テストの結果2億円しか価値がないとなればその差額20億円-2億円=18億円が減損損失として一気に特別損失として計上されることとなります。

定期償却する会計処理は日本基準くらいなもので、海外企業と日本の一部企業は国際財務報告基準に沿った会計処理をしています。それぞれにメリット・デメリットがありますが、財務諸表を読む上で気を付けなくてはならないのは双方の処理により財務諸表が大きく異なる点にあります。

日本基準を採用する企業はIFRS採用企業に比べて「自己資本比率が低下する」「利益が低下する」「企業買収をより精査しなくてはならない」等のデメリットがあります。でも保守的な会計処理の点から私は日本基準の方を好んでいます。ただ、国際取引を盛んに行っている大企業は外国人投資家が海外企業と財務面で比較するのも必要かと思いますしIFRSを採用するのも一理あると思います。

なので全面的にどちらの会計処理が100%良い・・・とは思っていませんが、個人的に敬遠するのは「過去にファンドによるM&A等を行った国内取引メインの企業がIFRS基準を採用している」ケースです。国内取引メインの企業はIFRSを採用する利点がほぼ無いのですが一部の企業において採用しています。それぞれの会計基準に沿っていますし問題は無いですが、個人的には「公開株価を上げたり買いを集めるために財務内容や収益力を良く見せている」と思っています。

一例をあげるとある足場などの仮設資材大手の企業があります。ここは国内取引がほとんどの企業になりますがIFRSを採用しています。株価1000円、1株利益117.55円、1株純資産1247.22円、自己資本比率52.9%になります。指標的には割安な位置だと思います。で、株主資本として169億円ほどありますが、「のれん」として123億円が計上されています。この「のれん」の価値が無かった場合株主資本は169億円→46億円へと大幅に減少する事になりBPSも1247円→338円へと大幅に減少する事になります。1.2割程度の誤差なら大きな影響は無いと思いますが企業によっては株主資本の大部分を「のれん」が占めているケースもあり、これがもし減損されたのならば大損害となります。まあ、当該企業は現在の収益状況を考えると近々減損損失が発生するリスクは低いと思いますが突発的な事態が発生した場合に多額の減損損失が発生するリスクがゼロではありません。

もう一社、先日上場廃止になった企業にバリオセキュアと言う会社がありましたが(数年前に利益が出ているのにいきなり無配発表して株価を急落させた企業です)、ここは株主資本62億円、自己資本比率80.5%とこれだけ見ると超高財務企業だと見えますが「のれん」として50億円が計上されています。これが無いとしたら株主資本は62億円→12億円へと急減する事となり、自己資本比率も80.5%→44.4%へと大幅に減少します。



私は「保守的な投資」を信条としているため企業会計に於いても「保守的な会計処理」を望んでいます。なので日本基準の企業の財務諸表は基本的にはそのまま受け入れて投資判断を行っていますが、IFRS基準を採用している企業の財務諸表は内容をより綿密に精査して「のれん」や「無形固定資産」等については割り引いて判断するようにしています。

この辺りは会計を勉強してきた側からの見方になるかと思います。投資家それぞれの視点は違うと思いますがさまざまな情報や資料等を総合的に判断して「負けない投資」をしていきたいと思います。





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最終更新日  2026.07.22 08:09:58
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