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カテゴリ: 【滝が~】 関連
*****

 僕は改めて、部屋の中を見回してみた。僕がいるのは、少し大きめのベッドの上。部屋の中ほどに、小さくてまあるいテーブルがあって、白いクロスがかかっている。その上には花瓶が置いてあって、色とりどりの花が飾ってあった。砂漠の中だって言っていたけど、こんなに花が咲いているんだ……。
 大きな本棚がある。そこにはいろいろな大きさと幅の本が、きっちりと並んでいた。壁にはホワイトボードが掛けてあって、日付と───村の名前、かな?───が、書いてある。なんだかスケジュール表みたいだ。
 レターラックも掛かっていて、たくさんの手紙が入っている。

 僕がそうやって部屋の様子を見ていると、下のほうで、戸を開ける音が聞こえた。シフが戻ってきたのかな……早く帰るって言ってたけど……早すぎじゃないかな。
「シフー?」
 女の人の声だった。
「…………いないのー? 勝手にあがっちゃうよー」
すぐに階段を昇る音がして、部屋のドアノブが、がちゃりと回った。入ってきたその人と、僕の目が合う。

「ううん、ずっと起きていたから……」 
 ふわふわした長い髪の女の人が、自分のその栗色の髪の毛に指を絡めながら、笑顔で僕に話しかけてきた。
「ね、部屋入っちゃっていい? ……っと、もう入っちゃってるようなものだけど」
「……え? あ……うん」
 僕はしどろもどろに答える。だって、入っていい? って言われても、ここは僕の家じゃないし……僕があれこれ考えていると、彼女はこっちに来て、僕のいるベッドの上に腰を掛けた。
「ねえ、シフは? やっぱり家の修理に行っちゃったわけ?」
「うん」
 僕が答えると、彼女はふーん……といって空を見つめた。そして急に僕のほうに向き直って、問いかけてくる。
「外の様子はどう? 水は大丈夫かしら」
「……え?」
「え、じゃなくってー。ほら、このあたりはあいつがいるし、森に囲まれてたりしてるけど、ちょっと外に出たら砂漠でしょ? だからあいつが周辺に、ちょくちょく水の補給にまわってるわけ。ほんっと、よかったー。火が出たのがこの村で。さばくで火事なんて、とんでもないもの」

「そ。砂漠に点在する集落に、あいつが行く日程。水がなくなってくると、手紙で知らせてくるんだけど、それじゃあ間に合わなかったりするじゃない? ……だからラ・ルーダの外から来た人には、その辺の様子を聞いてるの。あ “ラ・ルーダ” って、この村の名前よ。知ってた? ……で、どうだった?」
 話し好きなんだな……と思いつつ、考える。どうだったって聞かれても、僕は奨月の力で、いきなりここのそばの森に降ろされたんだから、知っているはずがない。
 でも、それを正直に言うのもなんだか……どうかと思う。
「……えっと……あたしはサラ。サラ・ディーン=ウル・エール。サラって呼んでね」
 僕が黙っていると、彼女はそういって、自分の名前を教えてくれた。

「な~に病人くどいてんだよ、サラは」
サラがシフのほうを振り向く。
「なにがくどいてる、よ。あんたこそ今まで二人っきりで、さんざんくどいてたんでしょう!」
「……サラ、その発想アヤシイぞ」
「……そういうふうに意味を取る、あんたの方があやしいわよっ」
「……ヒステリー」
 シフがボソッといったそれを聞きとがめて、サラが逆襲してる。
「……たらし」
「誰がたらしだっ、誰がっ!」
「あんたに決まってるでしょう! たらしたらしタァラァシィ~だ」
「…………まあ、いいや。俺はもう行くぞ」
「いけばっ! だいたいあんたなにしにきたのよっ」
「あん? ……ああ、こいつのことおまえに頼もうと思って。おまえン家いったらいなかったし……ここにいるんじゃないかな~と。……で、来てみたらやっぱり勝手にあがりこんでるし……こいつのこと、よろしくな。ま、大丈夫だな。口説いてるくらいだし」
「……さっさと行っちゃえば」
 サラは冷たくシフに言う。
「はいはい。じゃあな。……あ、そうだ、タキ」
 シフは僕に向かって、真顔になって言う。
「コイツ襲うかもしれないから、気をつけろよ」
「…………女の子どうしで、襲うも襲われるもないわよっ!」

 ───おんなのこどうし───

 なんとなく白い空気が、僕とシフの中を走った気がする。ほんの少しの間、ほんとうに沈黙が降りた。それを引き裂くように、シフが爆笑する。
「───ッぶははははッ!! おま……オマエってば……ククッ……サイコー」
 シフが笑いをこらえながら言っている。
「え? なに、なんなのっ?」
 状況を飲み込めていないサラ。そして、ただふるふるとるることしかできない僕がいた。
 ……情けないよぉっ。

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励みになります。がんばれる気がします。


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最終更新日  2010.05.09 10:58:11
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2-4 のこと  
……出ましたね。例のあの人。
どこにでも出てくる彼女。この話の、ここが、初登場です。

(2010.05.09 11:35:20)

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