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 入院中、いろいろありました。
 わたしは車で自宅から往復4時間以上かかる病院に入院したので、見舞いも、家族の物資支援もありません。週に一度、あるかないか。

 そんなことになるとは思っていなかった。検査入院だけだと思っていたから、ろくな用意をしていなかった。

 入院中、同じ病室には、喉頭がんで入院して、退院待ちの50代の女性と、敗血症の40代の女性がいました。他にも居たのだけど、すぐ退院していった。

 50代の女性は  霊が見える らしい人で、

 ベットの 四隅に盛り塩 をしていた。

 心理カウンセラーの資格をもっていると、話していた。証書のシャメも見せてくれた。



 入院して10日ほどが経ち、早い退院は無理そうなことがわかって来た頃、同室に同じ病気の20代女性が、入院。

 杖をついていました。
 カリンコリンに痩せていました。
 話し方が、少しおかしいような感じがしました。
 3年くらい前から、脳幹に症状が出て、体がマヒしてしまったらしいです。

 一日目、わたしは普通でした。
 二日目、そのひとに50代のおばちゃんが話をしていて、

「たいへんだね」 とか言っていたら、その子が

「でも、もうすぐ新薬とかも出るし、じぶんは、がんばるだけです」

 と言った時、わたしの涙腺はおかしくなった。


 ふつうにしゃべっているのに。
 泣いていたらどんどん暗いほうに考えが行って。


 体が動かなくなって、がんばるなんて。
 このひとはどうしてこんなにしっかりしているのだろう。
 わたしには、絶対無理だ。

 同室の人たちに泣いてしまったことを謝って、一服しに屋上へ行った。

 病院敷地内全域禁煙のはずだが、スモーカーのひとは、いつも屋上にいた。

 みんな明るくて、楽しい話ばかりしていた。
 たわいのないことばかり話していた。

 わたしはそのころウンコ座りができなくなっていて、コンクリに体育すわりをして、その人たちと笑って話をしていた。

 屋上に同室の年上二人が、泣いて屋上へ行ったわたしを心配して、見に来た。

「大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。タバコ吸ったら、した行くよ」

 わたしは、もやもやした気持ちを抱えたまま、屋上のおじさまたちや若者たちと話をしていた。たわいのないことばかり。考えると、どんどん暗くなりそうだ。

 病室へ戻ったら、50代の人がいきなり
「わたし、タバコやめる」
 そう言って、煙草を紙袋に入れてゴミ箱へ捨てた。
「あんたもやめなよ」

 ……なんで?

「上にいって、あんな奴らとヘラヘラ笑って、あの涙はなに? って感じだよ」

 ……わたしはその人は、いいひとだと思っていた。

「急にやめるのは、無理なのわかるから、せめて食後だけとかさ」

 嫌いじゃなかった、おもしろいひとだと思っていた。だから言ってしまった。

「うん……ひかえるようにする」

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最終更新日  2011.09.17 21:38:59
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