ロックンロールベイビーのラッキーストライク!

ロックンロールベイビーのラッキーストライク!

愛は地球を巣食う(2)


アヤと呼ばれた女は灰皿を見つけるとカゼのテーブルに置いた。
「吸ってないわよ。あんたが来る時の為にわざわざ買っておいたのよ」
不機嫌そうに言うと再びカゼの隣に座った。
「そんなしょっちゅう来るつもりもないんだがな。これもあるし」
カゼは携帯灰皿を手に取るとヒラヒラと振ってポケットにしまった。
「それはそうなんだけど…」
アヤは顔を赤くしながら俯いた。
「まあいいや。携帯灰皿持ってくる手間も省けたし。ありがとうな」
カゼはタバコを口に咥えながら微笑んで言った。
アヤの顔はさらに赤くなった。
「どうした?暑いのか?ストーブの温度下げようか?」
「違う違う!そうじゃなくて…」
(どうして二人きりだとちゃんと話せないんだろ…)
アヤは心の中で自分自身に問い掛けた。
「そうか。そういや、あのダンボール何が入ってんだ?」
カゼはタバコに火を点けると『本』と殴り書きで書かれたダンボールを指差した。
「ん?あれはシゲの書いた本が入ってるんだよ」
シゲという人物はカゼ達の友人の一人だ。
彼は高校生作家で、かなりの売れっ子作家なので映画化された作品もある。
「ふーん…見てみていいか?」
「いいわよ。でも、あんまり汚さないでよ」
カゼはそれに近づいてダンボールを開けた。
その中はかなりの数の本が山積みになっている。
その一番手前にはボロボロになっているノートがあった。
その表紙には『日記』と記されていた。
「なんだよ。お前日記なんてつけてんのか?柄にもねーな」
副流煙を吐き、ノートを取り出してカゼはアヤに見せた。
「それ見ちゃ駄目!」
と言ってアヤが叫ぶ。
アヤの様子を見てカゼは「…チェック!」と言うと両手でノートの1ページ目を開こうとした。
それと同時に部屋のドアが勢いよく開いた。
「外寒み~…!」「もっと厚着して来ればよかったぜ…」
「遅かったのね。何道草してたの?」
安堵の表情を浮かべてアヤが聞いた。ほぼ同時にカゼが小さく舌打ちした。

下手なら下手って素直に言ってくれ!



© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: