花畑 風来(はなばたけ ふうらい)映画日記

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 私達が日常生活に疲れた時、自分自身の原点を知ることによって、見失った自分を取り戻すことがある。
原点さえ知っていれば,軌道修正のヒントをつかめるからである。

 この映画は、女優吉永小百合の原点である。

名匠浦山桐郎監督は、吉永小百合の隠れた資質を巧みに引き出し、後世に残る名作を創り上げた。
カラーではないモノクロの映像からは、構図の良さと量感のある画面構成にによって、この時代の日常生活が現実味を帯びて伝わってくる。

 浦山桐郎は、この「キューポラのある街」で監督デビューし、同じく吉永小百合主演の「夢千代日記」を最後に、この世を去った映画監督である。
生涯で監督した作品は、9作。寡作であるということは、自分の気に入った作品しか撮らなかったということを意味している。

 当時17歳の吉永小百合が、この物語の中では14歳の中学3年生のジュンの役を演じている。
「キューポラのある街」と「夢千代日記」を観くらべてみると、ジュンが自分自身の原点を忘れることなく成長していった姿が、夢千代ではないかと思えてくる。



 昭和30年代。
経済高度成長下の日本。
キューポラと呼ばれる鋳物工場の煙突が立ち並ぶ埼玉県川口市。
そこは鋳物職人達の町でもあった。

 ジュン「勉強しなくても高校へ行ける家の子に、負けたくないんだ。」

(ジュンは、高校進学を目ざす中学3年生の女の子。
一流高校県立第一へ確実に受かるほどの学力の持ち主。
ジュンの家は貧乏人の子だくさん。
ジュンには弟2人、それにもうひとり、母親から赤ちゃんが生まれ出ようとしていた。
ジュンは、弟達のめんどうをよくみる明るくてしっかり者のおねえちゃん。)


 ジュンの父親「ダボハゼの子はダボハゼだ。中学出たら、みんな働くんだ。鋳物工場で。」       

(ジュンの父親は、鋳物職人。
近代化の波についてゆけない職人気質が、家族の生活を窮地に追いやってゆく。)

 ジュン「勉強したって意味ないもん。やだよ。あたい、もう、みんなやだよ。」

(酒の力を借りて、現実から逃げる父親。

飲み屋で、酔っ払い相手に働く母親。
逆境にもめげず、あんなに元気だったジュンが崩れ始める。)

 ジュンの作文「私には、解らない事が多すぎる。
第一に、貧乏な者が高校へ行けないということ。
今の日本では、中学だけでは下積みのまま一生うだつがあがらないのが現実なのに、下積みで、貧乏で、喧嘩したり、お酒を飲んだり、博打をうったり、短気で気が小さく、その日暮らしの考え方しかもっていない皆弱い人間だ。
元々弱い人間だから、貧乏に落ち込んでしまうのだろうか。
それとも貧乏だから弱い人間になっていまうのだろうか。
私にはよく解らない。」

 (父親から、ダボハゼの子はダボハゼだと言われたジュンの苦悩。)

 この映画には、ジュンの友達のヨシエと弟のタカユキ(市川好郎)の友達のサンキチが、父親といっしょに北朝鮮へ帰る話が出てくる。
当時の社会問題をジュン達の日常生活にからませることによって、この物語をスケールの大きなものにしている。

 ジュン「一人が5歩前進するより、10人が1歩前進する方がいい。
とにかくさ。あたいは、ダボハゼじゃないから安心してよ。かあちゃん。」

 (進学を諦め、就職することにしたジュン。
定時制高校で、働きながら勉強する事に生きがいをみいだしたジュン。)

 ジュンとタカユキが、元気に走ってゆくラストシーンからは、逆境を切り開いて力強く生きてゆく2人の未来を暗示させる。








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Last updated  2005.07.31 23:03:57
コメント(18) | コメントを書く


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いいお話ですね。  
こんばんは。ポンタです。

映画の日記をいつも楽しみに拝見しています。
いいお話ですね。今は何かが欠けている時代ですのでこのような新鮮なお話がなんか心にグッと来るものがあります。心にほのぼのとした感情も来ます。

地上波TV(NHK等)で放送してもらえれば見るのですが。。この手のレンタルビデオが無いもので。。見れなくて残念です。 (2005.07.31 23:42:12)

sakuraです  
ゆう4184  さん
はじめまして・・
訪問ありがとうございました。
素晴らしいページですね・・
映画をほんとに見たような気分になります。
描写もすばらしい・・

私なんかのページでももしよろしければコメントくだされば嬉しいと思います

sakura (2005.08.01 01:13:44)

Re:いいお話ですね。(07/31)  
風来2004  さん
ポンタお腹一杯さん
>こんばんは。ポンタです。

>映画の日記をいつも楽しみに拝見しています。
>いいお話ですね。今は何かが欠けている時代ですのでこのような新鮮なお話がなんか心にグッと来るものがあります。心にほのぼのとした感情も来ます。

>地上波TV(NHK等)で放送してもらえれば見るのですが。。この手のレンタルビデオが無いもので。。見れなくて残念です。
-----
ポンタさん、コメントありがとう。
この映画の良さをわかってくれたようで、
たいへんうれしいです。
これからもよろしく。
(2005.08.01 01:41:55)

Re:sakuraです(07/31)  
風来2004  さん
ゆう4184さん
>はじめまして・・
>訪問ありがとうございました。
>素晴らしいページですね・・
>映画をほんとに見たような気分になります。
>描写もすばらしい・・

>私なんかのページでももしよろしければコメントくだされば嬉しいと思います

>sakura
-----
書き込みありがとう。
そんなに褒められると舞い上がって困ったことになりそうです。
ゆうさんもブログがんばってください。
(2005.08.01 01:54:02)

Re:キューポラのある街 1962年 日本映画 監督(浦山桐郎) 出演(吉永小百合/浜田光夫)(07/31)  
ty*  さん
貧乏で絶望的な環境や親の負の性質を自分も受け継いでいるんじゃないかという不安から抜け出すって大変そうだなあ…でも抜けだそうとしない限りは進めませんね、わたしもがんばろう
『夢千代日記』ってドラマでもありませんでした?それなら見たような気もするのですが…なかなかいいドラマだったと思います…それを見て吉永小百合っていいなとはじめて感じたように思います (2005.08.01 01:54:53)

Re[1]:キューポラのある街 1962年 日本映画 監督(浦山桐郎) 出演(吉永小百合/浜田光夫)(07/31)  
風来2004  さん
ty*さん
>貧乏で絶望的な環境や親の負の性質を自分も受け継いでいるんじゃないかという不安から抜け出すって大変そうだなあ…でも抜けだそうとしない限りは進めませんね、わたしもがんばろう
>『夢千代日記』ってドラマでもありませんでした?それなら見たような気もするのですが…なかなかいいドラマだったと思います…それを見て吉永小百合っていいなとはじめて感じたように思います
-----
tyさん、コメントありがとう。
いつも感謝しています。
誰しも今の環境から抜け出すのはたいへんだよね。
ロケットが地球の引力を振り切って宇宙へ向かうようなものかもしれない。
私もNHKの連続ドラマ「夢千代日記」は感動的な作品で思い出に残っています。
(2005.08.01 06:51:07)

Re:キューポラのある街 1962年 日本映画 監督(浦山桐郎) 出演(吉永小百合/浜田光夫)(07/31)  
kinocochan  さん
こんにちわ。
風来せんせぃのレビュー毎回楽しみにしております。
まるで1冊の薄い本を読んだ気分になりますね。

たくさんのイィ映画を観られてますね。(*゜.゜)

次回の日記も楽しみに待ってます♪
                だぼはぜってどんな<゜)))彡なんでしょうか・・・・・。 (2005.08.01 12:56:34)

はじめまして!  
kuri-kurumi  さん
リンクさせて いただきました。 (2005.08.01 19:25:22)

こんばんは~  
飛翔天馬GTR  さん
自分自身の原点ってどこなんでしょうか?
自分の原点は難解です。 (2005.08.01 23:20:58)

Re[1]:キューポラのある街 1962年 日本映画 監督(浦山桐郎) 出演(吉永小百合/浜田光夫)(07/31)  
風来2004  さん
kinocochanさん
>こんにちわ。
>風来せんせぃのレビュー毎回楽しみにしております。
>まるで1冊の薄い本を読んだ気分になりますね。

>たくさんのイィ映画を観られてますね。(*゜.゜)

>次回の日記も楽しみに待ってます♪
>                だぼはぜってどんな<゜)))彡なんでしょうか・・・・・。
-----
コメントありがとう。
ありがたいお言葉いつもありがとう。
ところでダボハゼとは、広辞林によると、
淡水産の、小型のハゼの俗称。あまり利用されない。だそうです。
(2005.08.02 00:37:56)

Re:はじめまして!(07/31)  
風来2004  さん
kuri-kurumiさん
>リンクさせて いただきました。
-----
ありがとう。
これからもよろしく。
(2005.08.02 00:40:00)

Re:こんばんは~(07/31)  
風来2004  さん
飛翔天馬GTRさん
>自分自身の原点ってどこなんでしょうか?
>自分の原点は難解です。
-----
書き込みありがとう。
私も自分自身の原点を知ることほど難解なものはないと思っています。
(2005.08.02 00:42:24)

自分自身の原点  
くすか  さん
またひとついい映画を紹介いただきました。
自分自身の原点て、いつもは意識しないけど
これが自分の原点かなあ・・・と思うような
瞬間がいつかあると思います。
原点は同時に目標であることも・・・
だから原点を意識できた時、目標にグンと近づくと思います。
偉そうに書きました。ごめんなさい。
またおじゃまします。 (2005.08.02 02:08:25)

Re:キューポラのある街 1962年 日本映画 監督(浦山桐郎) 出演(吉永小百合/浜田光夫)(07/31)  
いつもながら、読み込んでしまう文章ですね。
流石!
私は、実際、古い映画にはあまり興味を持たない方ですが、風来さんの文章を読むといつも見たくなります。
なぜだろう・・・ (2005.08.03 09:22:46)

Re:自分自身の原点(07/31)  
風来2004  さん
くすかさん
>またひとついい映画を紹介いただきました。
>自分自身の原点て、いつもは意識しないけど
>これが自分の原点かなあ・・・と思うような
>瞬間がいつかあると思います。
>原点は同時に目標であることも・・・
>だから原点を意識できた時、目標にグンと近づくと思います。
>偉そうに書きました。ごめんなさい。
>またおじゃまします。
-----
コメントありがとう。
これが自分の原点かな、と思うような瞬間がいつかある。なるほど、心が明るくなる言葉ですね。
(2005.08.05 06:43:54)

Re[1]:キューポラのある街 1962年 日本映画 監督(浦山桐郎) 出演(吉永小百合/浜田光夫)(07/31)  
風来2004  さん
まりりん先生さん
>いつもながら、読み込んでしまう文章ですね。
>流石!
>私は、実際、古い映画にはあまり興味を持たない方ですが、風来さんの文章を読むといつも見たくなります。
>なぜだろう・・・
-----
まりりん先生、コメントありがとう。
古い映画は、とっつきにくいのですが、
いったん観てしまうと、なかなか良いものです。
たまには、古い映画も観てください。
(2005.08.05 06:48:15)

Re:キューポラのある街 1962年 日本映画 監督(浦山桐郎) 出演(吉永小百合/浜田光夫)(07/31)  
有名な映画ですね。題名はよく聞いてまして、そのタイトルから青春の恋愛映画と思ってたら結構重厚な内容なのですね。 (2005.08.08 10:41:43)

Re[1]:キューポラのある街 1962年 日本映画 監督(浦山桐郎) 出演(吉永小百合/浜田光夫)(07/31)  
風来2004  さん
レッドクジラさん
>有名な映画ですね。題名はよく聞いてまして、そのタイトルから青春の恋愛映画と思ってたら結構重厚な内容なのですね。
-----
この映画は、奥が深いです。
機会があったら、ぜひ、観てください。 (2005.08.10 01:29:51)

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