その四 ゴンの贈り物




去年の冬に母さんクマとはぐれたゴンは1人では冬眠をすることが出来なくて里で冬を過ごしました。

優しい人間の子供のケンタと仲良くなって家においてもらったのです。


一年経って二度目の秋ゴンはすっかり体も大きくなり1人で冬眠できるよう穴を掘って森のクマの五郎さんに色々聞いて冬支度をしました。


木の実や果物もたくさん用意しました。


ある日ゴンは川原にやってきました。


春にお花が一杯咲いていた川原はすっかり枯れ草ばかりになっています。


そこでゴンは漁師が忘れていった網を見つけました。


五郎さんに聞くとコレで人間は魚を取っているということでした。


それでゴンは人間がやるように網で魚をとってみることにしました。


何日も何日も練習をしてある日1人では食べ切れないほどの魚を取ることが出来ました。


ゴンは考えました。「そうだ、人間のお友達に持って行ってあげよう」


ゴンはお友達の顔を思い浮かべました。

まず最初にお友達になったケンタ君。


おばあちゃんと2人で美味しい美味しいと言って食べてくれるかな。


そしてその次にお友達になった花ちゃん。


歌がとっても大好きだったね。お母さんの病気はもうよくなったかな?

そして罠にかかったゴンを助けてくれた漁師の源さん。


皆に持っていってあげよう。


ゴンタは魚を木の枝に通して持ちやすくしました。


他の人がビックリするといけないのでお魚は夜の間にもって行くことにしました。

暗い道はチョッと怖かったけど朝起きたお友達が喜ぶ顔を思い浮かべながらゴンは夜の村へ下りて行きました。


村の中は寝静まっていてシンとしています。寒くて息も白くなります。
ゴンの手は冷たくなって何度も息を吹きかけながら村の中を歩き回りました。

幸い誰にも見つからずゴンは朝になる前に全ての魚を配り終えて無事に家に帰り着くことが出来ました。


「みんなよろこんでくれたかな?」

ゴンはとても幸せな気持ちで穴の中で眠りにつきました。

みんな春になったら会いに行くから待っててね。


穴には枯れ草や落ち葉を1杯敷いてほかほかの冬眠用のベッドが出来ました。

みんな温かい春が待ち遠しいのです。みんなゴンにまた会いたいのです。ゴン、いい夢を見てね

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