坂井 基浩のホームページ!

桂 幹人/儲かるも儲からんもアンタ次第!03


日経ベンチャー2003年12月号

最近、マスコミでは「企業再生」がブームになっている。企業再生の
専門家と称する人達が運営する「投資ファンド」が、民事再生法を申請
した倒産企業のスポンサーとして再建を進める・・・・・・といった報道が
連日のように流れてくる。

だが、ちょっと待ってほしい。法的整理で借金を棒引きにすれば、
黒字化するのは当たり前。誰でもできる簡単な仕事を、大袈裟に喧伝
するのは止めてほしいものだ。本当の企業再生とは、金融機関とぎりぎり
の交渉をしながら、企業を生かすことだ。

「破綻懸念先」のレッテルを張られ、日々の資金繰りに四苦八苦している
会社でさえ、亮け上げが2~3割アップすれば潰れることはない。要は、
「売り」さえ立てば何とかなる。そのためには、前回までに説明した通り、
旧来の商習慣や常識にとらわれずに、「顧客支援業」という視点に立つ
ことだ。しかも、カネを掛けないで顧客を支援する仕組みを作らねばなら
ない。

顧客支援にカネは掛からない

では、どうやってその仕組みを作るのか?それには、社外の力を活用する
ことが大切だ。

例えば、不況下では、優秀な人材をいくらでも契約社員・パート社員と
して集めることができる。彼らの力を借りて、取引先が面倒だと感じて
いる仕事を、あなたの会社が実費で引き受けてあげればいい。

ある地方のプラスチック加工機械メーカーA社は、同業他社と同じように
業績不振に悩んでいた。私がこのA社の社長に勧めたのが、取引先の
プラスチック加工業者に、機械を動かすオペレーターを派遣して、
生産工程の一部を請け負うことだった。

実は、プラスチック加工業者は繁閑の差が激しく、経営が安定しないこと
が悩みの種。だから、仕事が多い時に人を送ってあげることで、彼らの
調整機能を引き受けるわけだ。こうしたサービスでA社と取引先との関係
は緊密になり、プラスチック加工機械を買い叩かれることもなくなった。
当然、業績は急回復した。

取引先に役立つ商品やサービスを、他社と組んで提供するアライアンス
(提携)戦略も重要になる。

ある変圧器メーカーB社の社長は、「台湾メーカーに半値で注文を奪われ、
苦しい……」と、私に相談にやってきた。B社の重要な取引先は医療機器
メーカーだという。

そこで私は、海外のリース会社を紹介することにじた。B社の取引先で
ある医療機器メーカーにとってのお客は、病院など。彼らは、中古の医療
機器を有利な価格で下取りしてやると喜ぶ。海外のり-ス会社と提携して
こうした仕組みを作れば、それはつまり取引先である医療機器メーカーの
営業支援になる。このおかげでB社は、製品価格では台湾メーカーに
敵わなかったが、売り上げを大幅に伸ばした。

中国・ベトナムを「味方」に

他社と提携する場合には、中国やベトナムなど、広く海外にも目を向ける
べきだ。

中小メーカーの経営者はアジアのメーカーとの競争激化や景気の低迷も
あって、「もう、四面楚歌ですわ……」と悲嘆に暮れている人が多い。
だが、あきらめが良過ぎるのではないか。

中国やベトナムに自社で工場を作れなくても、提携工場を見つけて加工を
請け負ってもらえれば、コスト競争力を身に付けることができる。もし、
単独では手に余るというなら、数社で協同組合を作って協力すべきだろう。
ライバルだった中国やベトナムも「味方」に付ける。それでこそ、商売人
というものだ。

実は私の身近に、こうしたプランをコーディネートし、メーカーを
支援している若手経営者がいる。彼の本業は婦人服の卸で、
「ミニ・ファブレスメーカー」として活躍中だ。フットワークのいい男で、
いずれビッグチャンスをものにすると踏んでいる。本気で海外進出に
取り組むという方には、彼をご紹介したい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「カネを掛けずに勝つ」ためのポイントは

【願望】『顧客支援業に生まれ変わりたい』

      ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

【問題】『しかし、カネは掛けられない』

      ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

【結論】☆「社外の力」を利用する!!☆

    1.契約社員やパートを活用

    2.他社とアライアンス(提携)を組む

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やったら儲かる!?ニュービジネス
【高齢者用フィットネスクラブ】

総務省が今年の「敬老の日」に発表した65歳以上の人口は2431万人で、
日本人の5分の1を占めるそうだ。さらに2015年には、その比率が
4人に1人まで増加するという予測もある。言うまでもなく、高齢者向けの
各種サービスは数少ない成長市場だ。

その中で、私が注目しているニュービジネスの一つが、お年寄り向けの
フィットネスクラブ運営だ。

いくら最近のお年寄りは元気だと言っても、既存のフィットネスクラブで
若者と同じ器具を使ってトレーニングをするのは難しい。そこで、米国製の
高齢者向けトレーニング器具を使って一回30分程度、体力に合った運動を
してもらう。場合によっては、大病後のリハビリに通ってくる人もいるだろう。

私のシミュレーションでは、こうしたフィットネスクラブは、20~30坪
のスペースと数台の専用機器、それとインストラクターが一人いれば、
運営が可能だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

かつら・みきと
1953年大阪府生まれ。87年日本アシ
ストを設立し、社長に就任。ナニワの
再建請負人として、大阪市と愛媛県西
条市で地方自治体が主催する社長向け
経営塾の講師を務める。連絡先=
Tel06-6947-2751

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日経ベンチャー2003年12月号より

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: