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桂 幹人/儲かるも儲からんもアンタ次第!05


日経ベンチャー2004年2月号

昨年12月に、足利銀行が一時国有化された。2005年4月のペイオフ
解禁を前に、今後、地方金融機関の再編が進む可能性が高い。再編の
過程では、局地的な「金融不安」が発生することもあり得る。そこで、
今回は資金繰り対策について話をしたい。

カネが無い分、知恵を使え

カネに困りたくないなら、どうすればいいか?私はその答えを「カネの
におい」に敏感になることだと考えている。

そのために私自身、二つのことを実践している。その一つが、資金繰り表
を自ら作成することだ。完璧なものではなく、10万円、100万円単位の
もので構わない。カネの流れを細部まで把握していると、自然とカネを
寝かせるような無駄な投資や取引をしなくなってくる。

金融機関との関係も今より良好なものになるはずだ。金融機関には数字に
弱い人間を見下す人がいるが、逆に数字に強いだけで一目置いてくれる。

さて、もう一つ私が実践しているのが、毎月、税引き前利益を一定の比率
で、定期預金として積み立てること。私は、積み立てたカネは最初から
無かったものとして、仮の財務諸表を作成し、その数字を基に経営計画を
立てる。そうすると、常に資金不足の状態になるのだが、カネが無い分、
知恵を使うように自分を追い詰めることができる。

この二つを実践すると、資金繰りに窮することはなくなるはずだ。しかし、
既に金融機関に見捨てられている場合には、“死闘”を覚悟するしかない。

実際、私がコンサルティングを引き受ける企業の多くは、金融機関から
「不良債権」と見なされている経営不振企業だ。金融機関からの取り立て
に遭い、「月末には資金ショートで倒産です。助けてください」と言って
私の所に駆け込んでくる人もいる。

自分の会社が金融機関からどう評価されていたのか、見捨てられる瞬間
まで知らない経営者が多過ぎる。社長が資金繰りに掛かりっきりだと、
売り上げも急減するから、負のスパイラルに入るのは必然だ。

堂々と“リスケ”を求めろ

その上、金融機関は、債務者をカタにはめるテクニックに長けている。
「借りたカネはきちんと返せ!」と言われると、真面目な人ほど自責の念
にとらわれる。

その結果、個人資産まで借金返済に充て、揚げ句、高利貸しから借りたり、
自殺して保険金で借金を返済しようとする人までいる。私は声を大にして
言いたい。金融機関の人間にとって、1000万円、2000万円は
“カネ”ではない。その程度の貸し倒れで本当に困る銀行員などいないの
だから、絶対に思い詰めてはいけない、

本来、金融機関と借り手企業の関係は対等のはずだ。借り手が自社の
経営計画や財務データを提出し、担保・保証人まで差し出す。金融機関は
その内容を見て、プロとして審査し金利を取っている。計画通りに進まず、
返済スケジュールに修正が必要なら、貸し手にも責任の半分があるのだ。

だから、危機的状況なら、金融機関に債務の返済を待ってもらったり、
月々の返漬額を減らしてもらう“リスケジュール”を堂々と求めるべきだ。

売り上げ数億円のある建設会社A社は、私が再建を引き受けた直後に
メインバンクが経営破綻し、債権者が整理回収機構(RCC)に変わった。
                         ~
RCCは当初、借入金の一括返済を求めてきたが、私は3年で売り上げを
2倍にする事業計画を実行中で、その計画を上回るペースで収益が向上
していた「あなた方が待ってくれたら、この会社は絶対に借金を完済できる」
それを実績として示すことで、借入金の返済を長期の延べ払いにすることを
認めてもらった。ちなみに、A社は短期間で再建に成功し、今では金融機関
からの新規融資も受けている、、

この事例が示すように、追い込まれても打つ手はいくらでもある。経営者が
本気なら、再建できない会社など無いのだから


   【今日からできる財務リストラ】
   『資金繰りで困りたくない』
       ↓ ↓ ↓
   『カネのにおいに敏感になる』
   ↓ ↓ ↓         ↓ ↓ ↓
(1)経営者自ら     (2)毎月、利益の一部を
  資金繰り表を作成    積み立てる
   ↓ ↓ ↓         ↓ ↓ ↓
  数字に強くなると    カネが足りない分、
  金融機関からも     知恵を使うように
  一目置かれる      なる

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かつら・みきと
1953年大阪府生まれ。87年
日本アシストを設立し、社長に就任。
ナニワの再建請負人として、大阪市と
愛媛県西条市で地方自治体か主催する
社長向け経営塾の講師を務める。
連絡先=Tel06-6947-2751

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やったら儲かる!?ニュービジネス
【ガラス作家・陶芸家作品の格安ショップ】

デフレの影響もあって、グラスなどの
ガラス容器や、陶磁器の皿などがかなり
の低価格で売られている。しかし、安い
ものはデザイン面で見劣りすることは
否めない。低価格とデザインを両立させ
れば、大きな二-ズがあると私は踏んで
いる。

そこで私が提案したいのが、ガラス作家・
陶芸家作品の格安ショップだ。ガラス
作家や陶芸家などと人的ネットワークを
構築し、芸術品として完成度が低いもの
や売れ残り作品を扱うというもの。言う
なればB級品の専門店だが、一つ500円
程度からの廉価で販売すれば、既製品に
比べてファッション性の高さが際立つ
はずだ。

レストランや居酒屋などは、おしゃれな
食器を低価格で仕入れたいと考えている
はずで、潜在的な需要が相当あると
踏んでいる。

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日経ベンチャー2004年2月号より

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