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桂 幹人/儲かるも儲からんもアンタ次第!06


日経ベンチャー2004年3月号

これまで5回にわたって、「会社再生」のために経営者がすべきことを
お話ししてきた。今回はそのポイントをおさらいしたい。

会社再生の大前提は、「業績不振の責任はトップにある」ことを自覚する
ことだ、と最初に指摘した。

駄目な会社の経営者は愚痴ばかりこぼし、「お客が今、何を欲しいのか」
という一番大切なことへの関心が薄れている。

「お客が買いたいものを、買いたい値段で、買いたい時に、買いたい方法
で売る」という商売の基本に立ち戻り、自社のやり方のどこに問題がある
のかを熟考しなければならない。それこそ考え過ぎて毛細血管が破れ、
頭から血を流すくらい徹底してほしい。

考える際の視点は、従来の印刷業や金属加工業……といった業種の枠を
離れ、旧来の商習慣や常識にとらわれない「顧客支援業」でなければなら
ない。お客さんが面倒だと思っていることを代行してあげたり、売り上げ
が増加するように支援するのだ。

顧客支援業は絶対に儲かる!

こうした仕組みを作れば、絶対に儲かる。それに外部(社外)の力を利用
すればカネも掛からない。例えば、契約社員やパートタイマーを活用したり、
他社とアライアンス(提携)を組めば、新規投資を抑えられる。

顧客支援業に生まれ変わるには、強力なエネルギーが必要だ。それが
「儲けたい」という欲望だ 何年後に売上高何億円を上げたいのか、
あるいは年収がいくら欲しいのか・目標を決めて、そこから逆算して
いけば、あなたがすべきことが自ずと分かってくるはずだ。

また、簡易版でいいから資金繰り表を自分で作成すること、利益の一部を
積み立てて絶対に使わないことをお勧めした。

経営者が本気になれは、それは従業員にも広がって会社全体が活気づき、
「正の回転」を生む、一度そうなれば、業績は瞬く間に改善するはずだ。
すべては経営者次第なのだ。

実は私自身、かつて己の甘さから会社を潰している。

ある事業を20代半ばで始め、「全国制覇」と「株式公開」を目指した。
事業は順調に伸びたが、いつしか私は経営者として慢心するようになって
いた。大阪の繁華街、キタやミナミで毎晩のように豪遊した。

その一方で、つまらない見栄を張るようにもなっていった。とにかく
「全国制覇」のために支店を次々に作ったが、無理な拡大戦略で収益力が
低下した。不採算店を閉めるべきなのに、周囲の評判ばかりが気になり、
その決断さえできなくなっていた。

とどめは、親族が事業資金を借りる際の保証人になったことだった。莫大
な借金を私が肩代わりしなければならず、会社を整理せざるを得なかった。
債権者達には罵られ、睡を吐かれたこともある。土下座もした。

手元に残ったのは50万円。他はすべてを失ったが、この「破滅」で私は
経営者として生まれ変わった。再起のために始めたのはカレー屋。料理の
心得があるわけではなかった。腹を壊しながら、大阪中のカレー屋を回って
研究し、繁盛店にした。

最後は「経営者の覚悟」だ

その店を売却した資金で起こしたのが、現在の日本アシストだ。当時の
目標は3年後に家を買うこと。そのために必要な年収や会社の売上高を
逆算し、死に物狂いで働き、目標を優に上回る業績を上げた。後に人材
派遣に進出し、現在のような再建ビジネスも手掛けるようになった。

「絶対に儲ける!」という強い信念があったから、ほとんど徒手空拳の
状態からでも復活できたんだと思う。多くの中小企業が業績不振に苦しん
でいるが、同じように経営者が覚悟を決めれば、今よりずっと儲かるよう
になる。

次回からは、私が指導している会社の事例を1社ずつ取り上げていく
「実戦編」をスタートする、「会社再生」のテクニックだけでなく、
経営者が変わっていく様も見ていただきたい。

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桂流 企業再生の要点
5つのステップでもっと儲ける経営者に生まれ変わる!

業績不振の原因は経営者自身にあることを自覚する
  ↓ ↓ ↓
「もっと儲けたい」と強く願い、具体的な目標を決める。
そこから逆算して、やるべきことを決める
  ↓ ↓ ↓
○○のメーカーや××の販売といった考え方を捨て、
「顧客支援業」という視点に立つ
  ↓ ↓ ↓
外部の力を借り、無駄な投資をせずに顧客を支援する
  ↓ ↓ ↓
業績回復の正の回転が始まる。
「社員」の意識も変わる

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【中古車を使った低価格のレンタカー事業】

皆さんはレンタカーを利用した時、「料金が高過ぎる
のではないか」と思ったことはないだろうか。
一般的に、レンタカー会社は新車を購入して利用者に
貸している。新車の価格は1~2年で半額程度になって
しまう。レンタカ一会社は購入した自動車を最終的に
売却するので、その価格下落分を補える料金を設定せ
ざるを得ないのだ。

そこで私が提案したいのが、中古車を使ったレンタカ一
事業だ。中古車は購入価格も安く、新車に比べれば将来、
売却する時の価格の下落幅も低い。お中元・お歳暮
シーズンなどレンタカーヘの季節需要がある法人や、
転居を控えたり、身内が入院したりでニーズのある個人に、
2週間~1年程度の中長期でレンタルするのだ。
私の試算では、これまでの半額以下の料金で十分採算に
乗るはずだ。既に、私の提案で、ある中古車販売業者が
この事業を始めて成果を上げている。

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かつら・みきと
1953年大阪府生まれ。
87年日本アシストを設立し、社長に就任。
ナニワの再建話負人として、大阪市と愛媛県
西条市で地方自治体が主催する社長向け
経営塾の講師を務める。
連絡先=Tel06-6947-2751

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日経ベンチャー2004年3月号より

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