リバーサイド

リバーサイド

February 23, 2007
XML


 台風が去ってみれば 



いきました。
それでも雨風の激しさは相当なものでした。

台風.JPG

次の朝、私ははめごろしの小窓の明るさに驚いてベッドから跳ね起
きます。一晩中ヒヨドリの雛たちのことを気にしながら、寝入った
のは明け方近くになってからだったのです。

もどかしい気持ちで広縁の雨戸の一枚目をくると、おそるおそる白
樺の根方に眼をやりました。
(よかった!)
濡れて光る地面には、ヒヨドリの巣はおろか、一羽のヒナも落ちて
いなかったのです。親鳥の騒ぐ声もまったくしません。
(すごい。あんなに雨と風がひどかったのに、なんともないなんて。
白樺が守ってやったんだ)

夫も昨夜は、雛たちのことが心配でまんじりともしなかったといい
ました。そして、「みんな無事っていうけど...」、と寝不足のはれぼったい目をこすりこすり、半信半疑の顔を白樺の上のほうに向け
ながらいいました。「巣が遠くに吹き飛ばされているかもしれない」

二人で二階に行き、窓からそろって身を乗り出しました。白樺の葉
むらに目を凝らすと、巣は元の位置にちゃんとあるではありませんか。
そればかりか、雛の頭も見え隠れしていたのです。
「たいしたものね。台風にもびくともしないなんて」
ヒヨドリは、大切なわが子を守るために、われわれが想像するより
ずっとしっかりした巣を作るようです。

夏091.jpg

夫はそのあとすぐ、台風の予報で取り外しておいた望遠レンズを、再び窓にセットしました。

ピント合わせをしていた彼が、首をかしげました。
「どうしたの?」
「.........」
「ね、どうしたの?」
「う、うん。どうもヒナが一羽足りないみたいなんだ」
「エーッ、ほんと?」

私は彼を押しのけ、レンズをのぞきこみました。 
四つあるはずの雛の頭が、たしかに三つしか見えません。
まだ眠っているのがいて、親鳥が餌を運んでくれば、その子もきっ
と大きく口を開けて伸び上がるかもしれない。
私たちは、四羽いると信じようとしました。

親鳥は二羽ともまだ姿をあらわしません。それもまた心配でした。
ことに母鳥のほうが気になります。あの尾羽では、強い雨風の中で
バランスをとるのは難しかっただろう。わが子を守るために力つきて、
いまごろ...?
いやなことばかり考えてしまいます。

親鳥たちへの心配がいよいよつのって、このまま雛たちだけが残さ
れたらどうしようなどと考えているとき、やっと一羽がエサをくわえて
巣にやってきました。
ボロボロの母鳥のほうでした。
雛たちは機械仕掛けのボタンをおされたようにいっせいに大きく口を
あけ、またいつものようにピィピィにぎやかに鳴きだしました。

しかし、レンズの中の雛は、いくら数えても、三羽しかいません。

姿の見えない一羽は、巣の中で死んでいるのだろうか。それとも昨夜
の雨と風にやられて地面に落ち、猫に食われてしまったのだろうか。巣立ちまえの、羽ばたきの練習さえもまだだった雛がいないとなれば、
どうしても悲観的な想像をしてしまいます。

羽が散っていたり、死骸の一部が残っていたり、むごたらしいあとがないのがせめてもの救いでした。

野鳥には卵のときから危険がいっぱいで、天寿を全うできるのは、よ
ほど運がいいとききました。それにしても、あそこまで育ちながら残念
でしかたがありません。

ところが、おそい朝食をすませて、まだ食卓でゆったりしているときでした。
どこからか、チィチィと幼げな弱々しい声がしてきました。それは、白樺と
は違う方向からで、しかもどうやら地面から―。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  February 24, 2007 12:53:51 AM
コメント(12) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


こんばんは  
自然薯パパ  さん
自然界で小さな命が
まともに大人になるって何パーセントなんでしょう?
ボクも毎年バンの産卵を見かけますが
まともにヒナの姿を見たのは一度限り・・・
あとは親鳥だけが。。。
よしましょう、この話は。

次回、楽しみにしていますね。 (February 24, 2007 12:28:22 AM)

自然薯パパさんへ  
☆こんばんは
★こんばんは♪

☆自然界で小さな命が
まともに大人になるって何パーセントなんでしょう?
ボクも毎年バンの産卵を見かけますが
まともにヒナの姿を見たのは一度限り・・・
あとは親鳥だけが。。。
よしましょう、この話は。
★そうですか、探鳥家の自然薯さんでも、一度だけですか!
自然薯さんのところで、バンのお写真を拝見して、
とても懐かしくなりました。
都会で暮らしているとき、昔、農家が共同で作って、
後に埋め立てしたくも不在地主が多くてそのまま残ったという池がそばにありました。
そんなところでも、けっこう野鳥の観察ができたんですよ。
私のような鳥の知識がないものが、ざっと数えただけでも、
いろんなカモ類、ウ、コアジサシ、カワセミ等々、二十数種。
バンもたまにやってきました。でも子連れのときは一度も
ありませんでした。
子連れでかわいかったのは、カイツブリです。
しかし、この「ヒヨドリを―」の夏だったと思うのですが、大変な猛暑で、
カイツブリの親が背中に乗せたり、潜りを教えていたりしていた
数羽の雛が全滅してしまいました。
あのときも、自然界の厳しさをつくづく感じました。

☆次回、楽しみにしていますね。
★ありがとうございます♪

(February 24, 2007 07:42:28 AM)

Re:ヒヨドリをよろしく 【八】 一羽、足りない!(02/23)  
おやおや、続きが気になります(^^)。
地面にいたのかな・・。

毎回、素敵なお写真なども効果的ですね♪とってもとっても! (February 24, 2007 08:28:00 PM)

KeiKei. F さんへ  
☆おやおや、続きが気になります(^^)。
★うれしいです♪

☆地面にいたのかな・・。
★はい、いたのはいたのですが…。
巣にもどそうとして、
大変なことになってしまいました。

☆毎回、素敵なお写真なども効果的ですね♪とってもとっても!
★ありがとうございます♪
そのお言葉に元気が出ます♪
当時はデジカメなどもっていなかったので、
ここに写真があったらいいのに、
と思う場面が結構撮ってないんですよ。
今回のような場面は、
例えデジカメがあっても、写真に残せなかったと思いますが。 (February 24, 2007 09:15:32 PM)

前回でヒヨドリに何が起こったかと??  
mimityan2842  さん
思っていたら・・・。台風だったんですね!
自然界にはいろんな事があるのでしょうね。
以前ペンギンの映像をみましたが厳しい自然界で生きていく厳しさを・・・。
この後ヒヨドリさんたちどうなっていくのでしょうね??? (February 25, 2007 01:50:14 AM)

mimityanさんへ  
☆前回でヒヨドリに何が起こったかと??
思っていたら・・・。台風だったんですね!
★そうなんですよ。
このあと雛の救助でおおわらわ、思いがけない展開になってしまうんですよ。

☆自然界にはいろんな事があるのでしょうね。
★私も時々それを思います。
想像以上に厳しいことや、神秘的なことがくりひろげられてるんだろうなって…。

☆以前ペンギンの映像をみましたが厳しい自然界で生きていく厳しさを・・・。
★やはり、ペンギンもそうですか。
自然界に生きとし生けるもの、みんな一生懸命なんですね。

☆この後ヒヨドリさんたちどうなっていくのでしょうね???
★ありがとうございます♪ (February 25, 2007 04:57:26 AM)

Re:ヒヨドリをよろしく 【八】 一羽、足りない!(02/23)  
落ちちゃったんですか??? (February 25, 2007 05:02:39 PM)

namiさんへ  
☆落ちちゃったんですか???
★そうなんですよ~!
だけど、もどしても、元の数4羽にならない―、それをこれから書きます~。 (February 25, 2007 05:30:55 PM)

Re:ヒヨドリをよろしく 【八】 一羽、足りない!(02/23)  
昔は山林にいたヒヨドリが都市型野鳥となったのも
生命力あふれる知恵からかくるのかもしれませんね。
次回楽しみにしています。
(February 25, 2007 08:16:34 PM)

トミーKさんへ  
☆昔は山林にいたヒヨドリが都市型野鳥となったのも
生命力あふれる知恵からかくるのかもしれませんね。
★都市型野鳥。いままでそのことをあまり意識したことはなかったのですが、そういわれてみれば、私がかかわったヒヨドリたちは、どの子も出会いは山林ではありませんでした。つまり都市型野鳥だったのですね。
この話の当時は、ヒヨドリが人里に暮らすようになって、まだ十数年ほどしかたっていない、研究し尽くされていない野鳥だと何かで読んだことを思い出しました。
身近に観察してわかったのですが、ヒヨドリはたしかに、生命力あふれる野鳥ですよね。知恵もあって驚くことがいっぱいでした。

☆次回楽しみにしています。
★ありがとうございます♪
(February 26, 2007 01:24:23 AM)

Re:ヒヨドリをよろしく 【八】 一羽、足りない!(02/23)  
自然は恵みも与えてくれますが、時としてたいへんな試練も与えますね。
野鳥の子育てはなかなかたいへんですね。

そんなときに、四季の風さんご夫妻がお家にいらしてよかったですね。
でも、全部見つかるまでは気が気ではないですね。

(March 7, 2007 04:13:44 PM)

wind・JOYさんへ  
☆自然は恵みも与えてくれますが、時としてたいへんな試練も与えますね。
★ほんとうにそう思います。
試練といえば、昨年つくづく感じたことがあります。こちらにも熊がたくさん里に出てきて、みんな痩せていたそうです。特に親子連れの話は、ほんとうに哀れでした。
野鳥が話題なのに、いきなりまた熊の話でごめんなさい。

☆野鳥の子育てはなかなかたいへんですね。
★私たちが知らないところで、いろんなドラマがくりひろげられているのでしょうね。私は、このヒヨドリの子育ての苦労を知りえたおかげで、ほかの野鳥の子育ての苦労も少しは類推できるようになりました。
とにかく並大抵の苦労ではないんですね。

☆そんなときに、四季の風さんご夫妻がお家にいらしてよかったですね。
★そう思っていただけるとありがたいです♪

☆でも、全部見つかるまでは気が気ではないですね。
★そうなんですよ。
実は、あとでお話しすることになりますが、ヒヨドリ夫婦の連携プレイがまたすばらしくて…!
(March 8, 2007 06:08:00 PM)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Calendar

Comments

ハンサムクン3714 @ Re:命拾いした老犬のその後(02/05) はじめまして。勝手に訪問させて頂いて、…
[ おとなの時間です ] @ ざこだんなさこえ ざこだんなさこえざこだんなさこえざこだ…
四季の風365 @ mimityan2842さんへ たいへん遅くなりました。そちらへ伺わせ…
mimityan2842 @ Re:命拾いした老犬のその後(02/05) 今年になってあまりにいろんな出来事が一…
四季の風365 @ モモねこさんへ ☆なんて幸せな結末!! ★首輪をしてなか…
四季の風365 @ ☆赤う頭さ巾ぎ☆さんへ ☆りんご猫さんのお宅から伺いました。 ★…
モモねこ @ Re:命拾いした老犬のその後(02/05) なんて幸せな結末!! チビちゃん、本当…
☆赤う頭さ巾ぎ☆ @ Re:側溝から犬の鳴き声(01/30) りんご猫さんのお宅から伺いました。 私…
四季の風365 @ りんご猫さんへ ☆よかったです。。ほんとよかった。。 ★…
四季の風365 @ smilemamaさんへ ☆チビ君、元の飼い主さんが見つかったんで…

Favorite Blog

晩ゴハンください New! つれりんさん

最近のルーティーンは mimityan2842さん

セイタカシギ どじょう家族さん

◆鎌倉 5・6月の花情報 @nagasiさん

*たからさくら* … たからさくらさん
中華街に住まうネコ spiky09さん
すくらんぶる トミーK46さん
古書ぐりぜら店主*ak… *akane*さん
一緒に楽しむ 絵本… ash-treeさん
Life Goes On まだ… しゃるこうさん

Archives

May , 2026
April , 2026
March , 2026
February , 2026
January , 2026
December , 2025
November , 2025
October , 2025
September , 2025
August , 2025

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: