~*卒業TIME*~

~*卒業TIME*~

2006.07.14
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カテゴリ: *※小説1※*
「ふふ~ん♪」
海は櫂のいたベッドの横で鼻歌を歌っていた。その姿はまるで幼稚園児だった。退化していた。海は。
「ガラッ!」
急にドアが開いた。海は立ち上がり叫んだ。
「櫂!!」
そこにいたのはもちろん櫂ではない。基樹だった。
「もと・・・。」
海は残念そうに椅子に座った。
「ねぇ、もとぉ・・いつになったら櫂は来るの?」

「いくら待っても来ないんだ・・・。いつになったら来るのかなぁ?」
「海、もう櫂は来ないよ。」
基樹は思い出していた。櫂の手紙に海を支えて欲しいと言われていたことを―
「えっ!?何、言ってるの?」
「海・・もう櫂はいないんだ。どこにも・・。」
「・・・」
「海、海にはここにいちゃいけないよ。やることがあるだろ?」
「やること?何?」
「忘れたのか?櫂と約束したんじゃないのか?本当に忘れたのか?」
「わかんないよ。私のやらなきゃいけないことは櫂を待つことだよ。」
「違う。櫂はそんなことしてほしくない。海、ちゃんと役目を果たさなきゃ。櫂の頼み。」

「海!思い出せよ!」
「・・・・・・」
海はなんとなく思い出していた。忘れていた。櫂との思いでも。櫂が死んだときから。フッと何かの拍子で忘れてしまったんだ。櫂との大切な大切な思い出を―でも、そんなの駄目だよ。死んでから新たに始まることだってあるから。
「・・・・・・・愛・・・・・・・・・・」
ボソリと海は呟いた。

「愛、にあわなきゃ。『愛』って呼ばなきゃ。櫂と約束した。櫂の分まで愛情注ぐの。」
「そうだよ!行こうよ!」
「うん!」

「海、よかった。俺は見てるから。ずっと見守ってるから―」
空からそんな声が聞こえてたような―櫂もきっと微笑んでいるよ。海らしく生きてほしいから。

「お母さん!」
海は花の元へ向かった。そこにはちいさな赤ん坊を抱えていた。
「産まれたんだ・・・。」
「うん、女の子・・。」
櫂の予想通り、女の子だった。
「愛・・愛、愛。」
何回も呼んだ。花も星も空も太陽もみんな笑っていた。愛が産まれた事も嬉しいけど、海がこうして元気になってくれたのも嬉しかったから。錦田家、四人目の子―愛が産まれた瞬間だった―

「この子はきっと幸せを運んできてくれたんだね。ありがとう―」

「もと、私、看護士になる!」
「えっ?いいと思うよ。海らしい!」
「本当に!?」
「私・・櫂みたいな病気をもっている人を助けたい。」
「櫂も喜んでいるよ。」
「ハハッ、ありがとう。」

櫂、辛くなったら海に行くね
海を見てると辛いことがちっぽけに思えるんだ
海が大きいから
海に伝えるよ
今の想い
精一杯伝える
愛してるよ―
永遠に―

≪完≫





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Last updated  2006.07.14 16:21:53
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