ミステリの部屋

ミステリの部屋

2006年12月19日
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世界探偵小説全集の一冊です。
1951年に書かれたこの作品には英国のクリスマスの雰囲気が出ていると聞いて、12月に読もうと決めていました。


雪に降り込められたカントリーハウス、一族を集めたクリスマス・パーティの夜、事件は起こった。
病の床につく老貴族、ファシストの青年、左翼系の大蔵大臣、政治家の妻、伯爵令嬢、忠実な執事と野心家の娘──邸内には事件前から不穏な空気が漂っていた。
地域を襲った大雪のため、周囲から孤立した状況で、古文書の調査で館に滞在していた歴史学者ボトウィンク博士は、この古典的英国風殺人事件に如何なる解決を見出すか。



英国の田舎に建つ貴族の邸宅にて、しんしんと雪が降り積もる景色を見ながらクリスマスの乾杯をした時に最初の殺人は起きました。
古い屋敷の恐ろしく冷え込む様や、庭園も野原も真っ白に覆いつくされていく窓の外の景色など、英国にに行ったことはないのですが、これこそ英国風だと思われる描写に想像力をかきたてられます。

ただ、犯行の動機までが英国風でした。
イギリス固有の政治システムに関連しているものなので、全く予想する事はできません。
さらに犯人を指摘する論拠も弱く、全体に地味な感じがします。

けれども、この作品の雰囲気が私には魅力的でした。

第二次世界対戦後あたりのイギリス。


英国の慣習にうとく、ことあるごとよそ者扱いされる博士や、あわてて上着を着ないで客の前に出て赤面する執事の様子などには、穏やかなユーモアさえ感じました。

作者のシリル・ヘアーはイギリスの名家に生まれ、オックスフォード大学を出て弁護士となり、後に裁判所判事を務めました。この作品もそうですが、法曹界での経験が生かされた探偵小説を幾つか書いているようです。

英国風の雰囲気が好きな方には特に今の時期、おすすめです。

静かな雪の夜、赤々と燃える暖炉のそばで安楽椅子に座って読めれば最高ですが……。



英国風の殺人 : シリル・ヘアー









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最終更新日  2007年01月16日 19時23分31秒
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