ミステリの部屋

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2007年12月19日

遠まわりする雛：米澤穂信

(6)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：日本ミステリ（や・ら・わ行作家）

（「BOOK」データベースより）

やるべきことなら手短に／大罪を犯す／正体見たり／心あたりのある者は／あきましておめでとう／手作りチョコレート事件／遠まわりする雛

これまで出された、『氷菓』（感想）、『愚者のエンドロール』（感想）、『クドリャフカの順番』（感想）の間を埋めるような７編が収められた　楽しい短編集です。
古典部に入部してから春休みまでの１年間におきた　日常の謎が描かれています。

「心あたりのある者は」は日本推理作家協会賞短編部門ノミネートされただけあって、校内放送を聞いただけで、誰を、どんな理由で呼び出そうとしているのか、を推理するという優れた安楽椅子探偵ものです。
よくこれだけ推論が出てくることと感心します。。

この短編集では、特に千反田えるがクローズアップされていました。
個性豊かな他のメンバーも霞んでしまうくらいに。

「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら、手短に。」というモットーをかかげてきた省エネ男　奉太郎の信念をゆるがしたのも彼女です。

臆病なくらいに何とかかんとか理屈をこねてきた奉太郎が、「遠まわりする雛」でそれを自覚する瞬間には、鳥肌が立ちました。

不意を突かれた私は、本を閉じて表紙のみずみずしい緑を見つめて、「青春だね。」とつぶやくしかありませんでした。

これからがますます気になります♪