ミステリの部屋

ミステリの部屋

2008年01月24日
XML



対抗する手段はただひとつ、読む者を狂気に導き、歴史さえも覆す一冊の書―。
(「BOOK」データベースより)


日本推理作家協会賞と日本SF大賞をダブル受賞した話題作をついに読みました。

舞台はエジプトのカイロ。
ナポレオン率いるフランス軍が、侵略のため 刻一刻と迫りつつあります。

マムルークと呼ばれる 支配階級の奴隷であるアイユーブは、主人・イスマーイール・ベイのために策を進言します。

それは、読み始めた者は その本と『特別な関係』に落ち入り、うつし世のことを全て忘れ去るという『 災厄(わざわい)の書 』をナポレオンンに献上することでした。

夜の種族は夜毎に『 災厄の書 』を語り続けます。

『もっとも忌まわしい妖術師アーダムと蛇のジンニーアの契約の物語』、 または『美しい二人の拾い子ファラーとサフィアーンの物語』、 あるいは『呪われたゾハルの地下宝物殿』

物語は何夜にもわたり続きますが、その間にも戦況は悪くなるばかり。
ナポレオンの軍はカイロに近づいてきます。
アイユーブの策は間にあうのでしょうか。


醜くて悪だけれど 純な心を持つ妖術師アーダム。
機智に富み剣の才にも優れ、どこか能天気で人に愛されるサフィアーン。
色彩のない皮膚に魔法のオーラをまとい、野望のためには人を犠牲にすることも厭わない 魅惑の魔術師ファラー。

3人別々の話が一つになり、大団円の終焉を迎えるでまで、語り部が語る濃密な物語には、くらくらしながらも引き込まれます。

結局アイユーブの策は思いもよらないところへ向かっていくのですが、それ以外にもこの作品は作者の大いなる企みに満ちています。
その企みは巧みなので、気付かない人もいると思います。
私もまんまと乗せられるところでした。

『ベルカ、吠えないのか?』( 感想

本について語られる場面も印象に残り、本に向き合い本を読むことの喜びをふつふつと感じることができます。
この書物も私を選んだのだろうか、などと思ったりしました。

長いので、少し体力がいります。
私も物語の壮大さに途中で息切れしそうになりましたが、最後まで読んで良かったと思います。












お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008年01月24日 19時19分07秒
コメント(8) | コメントを書く
[ミステリではないがミステリ的要素を持つ本] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

バックナンバー

2026年08月
2026年07月
2026年06月
2026年05月
2026年04月
2026年03月
2026年02月

コメント新着

月見草@ Re:夜のピクニック:恩田陸(07/06) 「夜のピクニック」のご紹介ありがとうご…
アルビレオ@ Re:白馬への旅、2日目(07/30) 白馬 行って見たくなりました。ワタスゲ…
アルビレオ@ Re:マフラー(01/29) samiadoさんの優しさがしみます。36ufh
アルビレオ@ Re:冷凍ロールケーキ(02/07) 書き出しの「待っていたロールケーキが届…
アルビレオ@ Re:節分もどき(02/03) 恵方巻きって確かに子どもの頃 福岡には…
アルビレオ@ Re:つらいときは(02/02) 「情けは人のためならず」って、何か辛い…
アルビレオ@ Re:マフラー(01/29) samiado さん 編み物も🧶されるんですね…

お気に入りブログ

『ゴシックタウン』買 shovさん

未定の予定~ラビ的… みっつ君さん
留年候補生W2.0… 留年候補生W2.0さん
魔女の隠れ家 たばさ6992さん
ちょっと休憩 ときあさぎさん

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: