北海道のアウトドア!

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貴方の寿命

遠い昔のこと、面倒くさがりの神様がいました。
(メールのリクエストありがとうね!)

遠い昔のこと、とても面倒臭がりの神様がいました。
「オウゥッ!うぶぶ!私はもう、飽き飽きしている。生きている者達の種類が多すぎて寿命を管理することが至難の技である」・・・神様は悩んでいましたが膝を叩いて喜びました。

「そうじゃ!生きる者達の寿命をだいたいの30歳に統一してしまおう、、それで楽になるはずじゃ、。」、、、でも、この神様は少し気弱なところもあったようで、動物の代表を招いて意見を聞いてみることにしたのです。


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最初に現われたのは、疲れ果てて目もしょぼしょぼの「ロバ君」でした。

「ロバ君よ、汝の寿命を30歳にと考えておるが、どんなもんじゃな?」、ロバ君は腰を抜かした様にへたり込み口から泡を吹きながら訴えたのです。「神様・・・もう・・お許しください。私は毎日、自分の体重よりも重い荷物を運ばされて、馬車馬以上に人間に使われています。30年も苦しむことは地獄です。どうぞ20年で・・」ロバ君はヨタヨタと帰っていきました。

「ウーン神様は困ってしまいました。」

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 続いてやってきたのは、背筋が真っ直ぐに伸びて礼儀正しい「犬君」です。

「犬君よ、汝の寿命を30歳にと考えておるが、どんなもんじゃな?」、犬君は更に姿勢をただしきおつけをしながらハキハキと答えました。「神様!お言葉を返すようですが、私はこれ以上人間達の信頼や付託に答えていく事は不可能だと考えます。30年も生きるとうつ病になってしまうことでしょう。半分の15年にしてください!」犬君は180°回転するとさっさと帰っていきました。

「ウーン神様は困ってしまいました。」


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次に現われたのは、おどおどして小心な「サル君」です。

「サル君よ、汝の寿命を30歳にと考えておるが、どんなもんじゃな?」、「キィーッ!」彼は2メートルほど後に飛びのき堰切ったように話しました。「かかっ神様、私は頭痛に悩まされております。もう、これ以上知恵を絞っていくとノイローゼ、心身症、自律神経失調症・・とにかく、私も20年でお許しください。」一目散に逃げていくサル君です。

「ウーム神様は困ってしまいました。」


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 4番目にふてぶてしく登場したのは人間君でした。

「人間君よ、汝の寿命を30歳にと考えておるが、どんなもんじゃな?」、人間君は瞼を見開いたかと思うと怒鳴るように神様に噛みつきました。「冗談も休み休みにしてください。たったの30年でいったい何が出来るのですか!」、「では、汝はどれほどの寿命を必要とするか?」
人間は両手を広げて答えました。「いくらでも!たくさんください!」人間君はブツブツいいながら帰って行きました。

 神様は困ったまま考え込んでいましたが、しばらくして名案が浮かんだのです。「そうじゃ!ロバ君の体がもたないといって断った10年と、信頼や付託が辛い犬君の15年、更に知恵を絞ることに疲れたサル君の10年を人間に与えて、彼らの寿命を65年にすれば丸く収まるではないか!ムフフ」神様は安心してシナモンティーを飲みました。


 それから、大変な人間の苦労が始まったのです。
もともと神様からもらった30年は、人生がピカピカ輝いているのですが、31歳から40歳までの10年間は、あのロバ君に譲ってもらった10年なのです。人間はわき目も振らず馬車馬以上に働くことになってしまいました。

 41歳から55歳までの人生は、あの犬君に譲ってもらった15年です。人間は周りからの信頼や付託に答えなければならない人生を余儀なくされました。

 56歳から65歳までの10年間は、あのサル君から譲ってもらった10年です。一番の試練が待っていました。常に人々に知恵を分け与える仕事なのです。

 65歳になった人間は疲れ果てていましたが。なにか心が丸くなるような充実感と少しの幸福を感じていました。「神様!大変な人生でした。しかし、本当にありがとうございました。さぁ私をお召しください。お願いします。」その時です、神様がもう一度現われて人間に言いました。

「人間よ!数々の試練を良くぞリッパに果たしましたね。貴方の人生は本当に輝いていました。」

「ご褒美に、貴方の肉体が消滅するまで、あと少しユックリ生きていてください。ご苦労様」

人間はしばらくの間、泣いていました。



(ヨーロッパの寓話からヒントを得て。)

松尾多聞

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