厳格な鉄の規律を求めるカペッロがイングランド監督に就任すると、自由を求める選手との間でトラブルが起きることは見えている。小うるさい人間を煙たがる雰囲気がイングランド代表のスター選手にはある。「12時までに眠れ!」などという古めかしい命令を強制する人物はいまどき珍しい。反逆者は干してしまうというやり方にも反発が生まれるだろう。リアル・マドリードでの「露骨なベッカム外し」が話題になったことも忘れられない。独裁者とイングランド選手がうまく行くかは、誰が考えても疑問が残る。それでもモウリーニョに断られると、残された大物監督はカペッロしかいない。むしろ、カペッロはイングランド監督就任に意欲的なのである。
カペッロ・サッカーは典型的なイタリア方式になる。これを「負けないサッカー」と見るか、「退屈なサッカー」と見るかで評価が大きく分かれる。マドリード時代には、就任して即優勝したのに、そのサッカースタイルがファンの不満を呼び、2度とも監督を退任している。情熱的なスペイン人には、堅く守ってカウンターというカペッロ・システムが魅力的でなかったらしい。優勝してもまったく評価されなかったというくらい嫌われていた。同じことがイングランドでも起きるのか、それとも別の評価を受けるかは読みきれない。
低迷が続くイングランド代表には、「カペッロ襲来が薬になる」という見かたもある。試合に負けないことは、ACミランのリーグ3連覇プラスCL優勝、ローマの珍しい優勝、ユヴェントスのリーグ2連覇で実証している。マドリードでも2回監督をやって、2回とも優勝している。選手に実力があれば、それを生かす戦略は心得ている。問題は、イタリア式サッカーがイングランドで花を咲かすかにかかってくる。名門クラブと違って、代表監督が選手と過ごす期間は短いし、契約金は10億円以上にもなるから、すぐに飛びついたのも無理はない。カペッロほど契約金に弱く、すぐに札束に飛びつく名監督もいないだろう。選手時代も同じだったというから、性格なのかも知れないけれど・・・。
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