低予算のチームを強くするためのアイデアが、空力とエンジンの自由化になる。これまで課せられてきたさまざまな規制を撤廃して、空力面で優位に立てる。回転制限のないエンジンや2倍パワーのKERSを搭載することもできる。高価な素材や先端技術を網羅しなくても,速いマシンが製造できるというアイデアになる。予算に縛られないワークス側には、さまざまな規制が課せられるので、マシンの戦闘力は相当抑制されてしまう。つまり、低予算チームが勝てる可能性が高まってくる。 レッドブルやブラウンは低予算案に賛同している。しかし、59億円では、戦闘力のあるマシンを開発するのは難しい。せめて75億円程度に設定されれば、プライベーターたちは低予算システムを取り入れると公言している。ワークス側はどんなに予算を削っても、100億円以下にすることは難しいので、この条件を満たすことはできないだろう。つまり、ワークスとプライベーター用のF1マシンは、根本的に構造が異なることになる。そんな制度が始まれば、ワークス側はさっさと撤退するしかない。となると、供給されるエンジンが不足するので、新世代のF1エンジンも準備しておく必要が出てくるだろう。
多くのチームは、いまだにコンコルド協定に調印していない。条件闘争の最中ということもあるが、一度契約してしまうと長期間協定に縛られることを嫌っている。F1チーム側は50%に制限されているTV放映権料の分配を80%まで増やす運動を展開している。それが実現できると、年間80億円程度の配分プラス59億円合計139億円で参戦できる。プライベーターの狙いの第一はここにあり、経営難からF1撤退を迫られるワークスに代わって、新たな主人公になろうと身構えている。FIAが低予算案を打ち出したのも、それに同調する動きだろう。これらはフェラーリやマクラーレンの存在を無視するものだから、どういう展開が待っているかは読みきれない。