MATRIX7

MATRIX7

2009.06.21
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カテゴリ: モータースポーツ
 ベッテルの速さは突出していた。誰もベッテルの後姿を追いかけることはできず、最終ラップまで走りきってしまう。ブラウンGPとの速さの比較が問題になるが、バトンはまったく対抗できずに6位で終わっている。つまり、立場は逆転している。そのきっかけになったのは、フロントウィングなどの空力パーツの効用ということになっている。いずれにしても、レッドブルが上げ潮に乗ったことは間違いない。ベッテルがドライブするという条件を加味すれば、今後の戦いはレッドブルが圧倒的な優位に立つ。
 ベッテルの才能は、トロロッソ時代にすでに認められていた。プラスして、高性能のマシンを手に入れると、まさに「鬼に金棒」になった。序盤戦に先行したバトンと、中盤戦から追い上げるベッテルの勝負は面白い。これにフェラーリとマクラーレンがまったく絡んでこないのも、歴史の変動を感じさせる。ロス・ブラウンとエイドリアン・ニューイという天才的なエンジニアの汗の結晶が歴史の変化を呼び出した。とはいっても、もともとはフェラーリとマクラーレンのエンジニアなので、これだけ近代化されたF1マシン設計の現場においても、人間の才能や知能が結果を大きく左右するというのが泣かせてくれる。
 レッドブルの立場は複雑だった。FIAと契約を結んでいたので、契約を優先するのか、それともFIAを裏切るかという難しい選択を迫られていた。ウィリアムズはさっさとFIAと手を握ったのに、レッドブルは用心深くフェラーリとの提携を優先させた。伝統のないレッドブルは、「フェラーリのいないF1レースの未来」を予感できたのだろう。古強者だったウィリアムズのほうが流れを読み違えている。5ワークスだけでなく、レッドブルとブラウンGPがFOTAに残留したことで、FIAは面目を失っている。低予算のプライベートチームを味方にできないようでは、予算制限のアイデアも企画倒れに終わってしまう。
 ベッテルがレッドブルと契約したとき、いずれフェラーリに移籍するか、それともBMWに復帰するかと騒がれた。レッドブルではチャンピオンになれないという思い込みが世論に形成されていた。それを覆したのが、ニューイの設計力であり、チームの組織力になる。トラブルの出ないマシンというのは、熟成されたパールを使うので、革新的な設計ができない。斬新な設計は数多くのトラブルを引き起こしやすい。高性能で安定感があるマシンを開発製造することは、ワークスにおいても困難な目標なのに、レッドブルが成し遂げたということに価値があるだろう。歴史の転換点が近いのかもしれない。





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Last updated  2009.06.22 10:55:06
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