青藍(せいらん)な日々

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第75話 ノルディックフォーク



このヨットは1942年に第一号艇が進水しています。当時、スウェーデンのヨット倶楽部がデザインを公募、ロイヤルスウェーデンヨットクラブがバックアップし、2艇を建造しています。もちろんですが、当時は木造でした。戦争という時期を乗り越え、現在に至るまで日本以外では非常に人気が高いヨットなのです。定番と言ってもよいヨットなのです。現在はFRPにて、同じようにクリンカー状に建造され、さらに広がりを見せています。

何故、世界中で高い人気を誇るのでしょうか。そして、何故、日本に入ってこないのか?こういうヨットを木造で建造すれば、それは非常に高いものにつきます。しかし、FRPで再現されたこのヨットは価格も抑えられ、手頃な価格、木造で3,000艇、そしてFRPで1,000艇を越えた実績を持っています。なのに、日本には入ってきていない。

私はこの造船所に対し、非常に多くの質問をしました。そして解った事は彼らは非常にシンプルにセーリングそのものを味わおうとしている事です。日常のデイセーリングを非常に大事にしている。

この深いコクピット、実は床面は外の海面より低いんです。包まれてるような感じですね。ウィンチもユニーク、ウィンチの下側にハンドルが取りつけてあるんです。このシンプルなインテリア。デイセーリングには充分なのです。あれもこれもと考えない。セーリングを楽しむのを第一に、最低限で充分ではないでしょうか。気軽になれます。

彼らのヨットはどんどん動きます。係留されたまま動かないなんて事が無い。ちょっときて気軽に乗りまわして帰る。大きなヨットがめったに動かないのはヨーロッパでも同じな様です。それを尻目に走りまわっています。40年も50年も経たヨットが今でも現役で走っています。このシンプルさが欧米では非常にうけている。

私の質問は皆さんが思っている事と同じです。あれはついているか、これはついているか、キャビンの広さや、多くの質問をしました。そしてひとつひとつに丁寧に返事をもらいました。しかし、最後に、このヨットは皆がセーリングを日常として気軽に楽しむ為のヨットです。何故、そんなに何でも付ける必要があるでしょう。という事でした。その一方で、セーリングに関してはちゃんと装備され、ウィンデックス、フェンダー、アンカー、船底塗装も標準なのです。この考え方にはちょっとショックでしたね。目からうろこが落ちたという気がしました。

美しいヨットを縦横無尽に、セーリング自体を堪能する。最も基本的な楽しみ方です。それをあれもこれもと付けて、結局は動かないヨットとなってしまう。本当はもっと、もっと楽しい乗り物なんです。皆さんも考え直してはいかがでしょうか。


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