青藍(せいらん)な日々

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第22話 シンプルライフ



競争社会の現代ですから、人に勝つ事に重点が置かれます。優位性が重んじられる。それが満足感を与えてくれる。でも、勝つという事は負ける者が居るという事ですから、いつ何時自分が負ける側に立つかわからない。勝ちと負けの繰り返しです。一時期の負けが未来の勝ちに繋がる事もある。これは誰にも解らない。解らない事は考えても仕方が無い。ならば、その都度全力を尽くして、後はゲームのように楽しむのが良かろうと思います。人はああなったら、こうなったらどうしようと悩みます。反面、あれも、これもあれば良いとも考えます。そして余計な物を抱え込むことになります。

勝ち組み、負け組み、という言葉を耳にしますが、これを説く人は自分が負け組みになるとは思っていない。でも、この長い不況は、勝ち負けというより、全ての日本人にとって勝負を超えた、新しい価値観を持ち得る機会と捉えることもできる。バブルの大好況で得た物でさえ人は満足しなかった。これが例え、これから勝ち組になったとしても満足する事は無いでしょう。いつ何時、負け組みに転落しないとも限らないからです。それに勝って得た物では満足できない事はバブルが証明している。

シンプルライフとは勝負を超えて、自分の本当の価値観に従うことです。人生は勝つ為にあるのでは無く、楽しむ為にある。勝つ為にするのではなく、楽しむ為に全力を尽くす。他人の価値観で生きるのでは無く、自分の価値観を確認した方が良さそうです。この長い不況はそういう時期ではないかと思うのです。ですから、これから行うひとつひとつの事を自分の正直な価値観と照らし合わせることが大切だと思うのです。

ヨットを楽しむ場合も同じです。世界を回るのも良いし、日本一周でも二周でも、沿岸クルージングでも、デイセーリングでも、何でも良い。湾内から出た事無くても、船内に泊まった事なくても、小さくても、大きくても、豪華でも、貧相でも、速かろうが、遅かろうが、何でも良い。大切な事はどのように楽しみたいかという事だけです。それが掴めなければ、どんなヨットであろうとも楽しむ事はできないと思うのです。そこでヨットの楽しみは3つしかない。基本的にです。レースをするか、セーリングするか、そして船旅をするか、この3つです。もちろん、このうちのひとつだけという事は無いでしょう。重なり合います。
でも、その中で最も重要視する物をひとつ選ぶ。これを基本にする。その他の付随するものはおまけです。このおまけを重要視すると、やがては楽しめなくなります。おまけは不要とは言いません。あれば、より快適かもしれない。でも、無くても楽しむ事は充分できる。シンプルライフとは付随する機能より、本来の機能を充分楽しむ事を優先しようという事です。ですから、これからは勝ち組み、負け組みの他に自分組というのがあります。


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