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私がキックボクシングの世界に入って、かれこれ20年になるのであります。
当時まだ十代だった私は、軽い気持ちでジムへ見学に行ったまでは良かったのですが、次々にジムへやって来る連中が全員パンチパーマにヒゲ、もしくはボウズ頭のイカツイ男ばかりなので、「これはエライ所へ来てしまった」と、思ったのでした。実際、時代が中世なら鬼に間違えられてしまうようなオソロシイ面構えの男ばかりなのです。
おどされすかされ結局入会することになってしまったのですが、私は鬼ヶ島へ鬼退治に行く桃太郎の気持ちになったのです。
もっともキックボクシングは、もともとヤクザがケンカに強くなる為にやるものですから、その手のエピソードには事欠きません。世間の常識はここでは通用しないのです。
エピソードその一
ランニングに黒塗りのベンツで伴走してくる
エピソードその二
電車に乗るのに切符を買わない
エピソードその三
遅刻したしないでケンカになり、駐車場で日本刀で斬り合いになった
エピソードその四
やめると言ったら土佐犬の檻の中に入れられた
エピソードその五
きつねを飼っている
ところが、気がついたら私もすっかりヤクザな男になってしまっているのですから、時の流れというのは恐ろしいな、と思うのであります。
大道三元軒先三寸借りましての稼業
わたくし野中の一本杉でござんす