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2026.07.18
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テーマ: アイドル(1486)
​​​​きゅーすとの「ラブトレ」という曲がお気に入りである。
明るい。かわいい。速い。
髪型を変えてデートの待ち合わせ場所へ向かい、相手がほかの女子から人気だという噂に心を乱され、アサイーを一緒に食べ、恋の優先席をめぐって大騒ぎする。
僕は今回この曲を知る前までアサイーというものはフルグラとかシスコーンみたいな牛乳かけて食べるスナック菓子だと勘違いしていた。

これは恋する女の子の感情を電車にたとえた曲である。
これを聴いていたら、僕の頭の中を別の列車が走り始めた。
「恋の始発列車」は1999年、「ラブトレ」は2025年の楽曲。つまり、同じく恋を列車にたとえたアイドルソングでありながら、両者の間には26年の開きがある。僕はその26年間、いったい何をしていたのか。仕事をして麺を売っていた。話を戻そう。
「恋の始発列車」に登場する二人は、すでに二度目の夏を迎えている。
デートの前日は時間がなかなか進まず、眠れない夜には電話をかける。すると相手も起きている。つらい時にも楽しい時にも、そこには相手がいる。
この曲の中で大事件は起こらない。
ライバルの女も出てこなければ、流行の食べ物も出てこない。恋の駆け引きを表す鉄道用語が次々に飛び出してくるわけでもない。
ただ二人で列車に乗り、行き先の分からない場所へ行こうとする。
曲名は「始発列車」なのだが、恋は始まったばかりではない。すでに二人はひと夏を一緒に過ごしている。それでも、この先どこへ行くのかは分からない。
おそらくこの曲における「始発」とは、付き合い始めた瞬間というより、二人でこれからの時間へ向かう出発点なのだと思う。自分で書いててよくわからなくなってきた。
恋の先に何があるのかは分からない。それでもあなたとなら乗ってみよう。
ずいぶん悠長な列車である。例えれば 身延線の西富士宮駅から甲府駅までの区間 だ。
対して、きゅーすとの「ラブトレ」は満員電車だ。例えれば 身延線の富士駅から富士宮駅の区間 だ。
恋心も満員。情報も満員。感情も満員。
聞けばわかるが髪型、待ち合わせ、女子の噂、嫉妬、食事、かわいい仕草、優先席、ダイヤ、車窓と、短い間に次から次へと場面が切り替わっていく。
主人公の女性は行き先の分からない列車に身を任せるのではない。

(富士駅) まで一緒に行きたい。

ワンマン列車の発券機を破壊し切符を奪い、相手の腕を引きちぎり、発車ベルが鳴る前に拉致る勢いである。
モー娘。の列車が「この先どうなるか分からないけれど、一緒に行ってみよう」だとすれば、きゅーすとの列車は「行き先は二人一緒に決まっているので、今すぐ乗ってください」である。
令和の恋する女子は強い。
以前、カワラボの曲は短く感じるという話をAIとしていた。
実際の演奏時間だけでなく、曲の中に空白がほとんどないのである。
数秒ごとに歌うメンバーが変わり、振付の見せ場があり、新しい言葉が出てきて、新しい表情がある。
モー娘。の「恋の始発列車」は、デートの前日の時間が遅く感じることを、わざわざゆっくり歌う。
一方「ラブトレ」は、待ち合わせ場所へ向かう短い距離の間に、恋心が車内へ入りきらないほど膨らんでいる。
同じ電車の歌なのに、一方は時間が進まないことを歌い、もう一方は感情が止まらないことを歌っている。
ここが非常に面白い。
僕の知るアイドルソングは、一曲の中で恋の時間を見せていた。
今のアイドルソングは、一曲の中に恋の瞬間を大量に詰め込んでいる。
「恋の始発列車」は、二人で過ごしてきた時間の積み重ねから恋を描く。
「ラブトレ」は、髪型を変えた瞬間、相手に嫉妬した瞬間、同じものを食べた瞬間、手を握った瞬間といった、一つ一つの場面から恋を描く。
昔は一本の物語だったものが、今は大量のかわいい場面になっている。
これは音楽が浅くなったという話ではない。
恋の見せ方が変わったのである。
僕がかつてモー娘。の曲を聴いていた頃は、「恋の始発列車」のゆっくりとした時間の流れが自然だった。
それから二十数年たち、久しぶりにアイドル曲を聴いたところ、列車はいつの間にか高速化し、車内は満員になり、彼女らはアサイーを食べていた。※身延線も数年前から315系という新型車両を導入しています。

そりゃあ違和感もある。
しかし、この違和感は嫌なものではない。
むしろ僕がカワラボを面白いと感じている理由は、昔と同じアイドルソングの線路を走りながら、車両も速度も車内広告も、すべてが入れ替わっているからなのだと思う。
そして結局のところ、26年前も今も歌っていることは同じである。
好きな人と同じ列車に乗りたい。
できれば、ずっと一緒にいたい。
列車の速度は変わったが、目的地はそれほど変わっていない。
変わったのは、ホームに取り残され、きゅーすとの曲を聴きながら時代の変化を考察している僕の年齢だけなのであった。





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最終更新日  2026.07.18 21:52:53
[実家暮らし独身41歳男性が令和のアイドルに魅せられ成長していく物語] カテゴリの最新記事


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