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今夜はどうお過ごしですか?
涼しくなりましたね。
窓の外では、秋の虫が鳴いています。
かぼちゃの煮つけなど、薄味で炊いてみました。
栗おこわも炊きました。
秋のこんな季節になると思い出すのです。
京都の綾部というところの古民家にね、
ひところよく、行っていたんです。
昔は庄屋さんだったのか、大きなお家でね。蔵もあります。
そこには柿の木もあったけど、今頃は、たわわに実ってるんでしょう。
そこの蔵は、以前わたしが住んでいた家ほどもありました。
二階にあの、こおりでしたっけか?箱がありました。
まるで棺おけみたいに大きな、暗い色の箱です。
その家は、改築途中なものだから台所はなく、今でも空き家のままです。
もともとはない二階に届くように、梯子段が立てかけてあって、
まるでサーカスさながらにのぼると
部屋はないけど、煤だらけの空間が少しあります。
そこが一番落ち着く空間でした。
今でも、思い出すと、そこに居るかのような感覚になれます。
造りかけの囲炉裏は、火が入ることもなく。
団欒は想像のなか。
想像してみて・・
綾部は霧の日が多いのです。
京都から、亀岡のトンネルを抜けると、もう、霧で、いつも曇ってた。
京都は晴れてても、そのトンネルを抜けると曇りなんです。
綾部では、布団を干したくても、いつも霧の出る曇りでした。
そんな綾部でも、お天気のよい日の記憶もあります。
あけびのとれた季節でした。
青空の記憶は草むしりの記憶。
いつも、草ぼうぼうの綾部のお庭。
そんな季節に、近くの貯水池で、一度だけ写生をしてみたことがある。
山の中の深緑の池は、しんとして、誰もいなかった。
つるんとした池に、山の木々が写ってた。
冬になると、雑草は自然に枯れるけど、これまた寒い。
なにしろ、外と中は、障子で、廊下で、また障子だけだし、
とびきり大きなストーブを炊いていた。
蒔ストーブはあるものの、煙突が未完成だったから、
灯油で炊く大きなストーブを使った。
車で数十分走ると、鬼っ子という、小さな温泉があったから、よく出かけた。
子供たちはいつも楽しそうにはしゃいでいた。
子供たちは、どんどん大きくなるけど
記憶は記憶のままだ。
今のことも、もう明日には記憶になってしまうね。
脳の彼方へさようなら。
そして、またいつでも遊びに行けるよ。
帰ってきたなら、過去は過去に戻ってね。
さようなら、過去。