深夜魚

深夜魚

PR

×

Profile

Yanmo

Yanmo

Calendar

Archives

Aug , 2026
Jul , 2026
Jun , 2026
May , 2026
Apr , 2026
Aug 1, 2004
XML
カテゴリ: 深夜魚
今日は趣向を変えて、深夜魚を見るための



夕焼けの空を見上げると、銀色の紙ふぶき
のようなものが、風もないのに離合集散を
繰り返し、翻って、翻っては細かな輝きを
放っている。真っ赤に染まって焼け落ちそ
うな茜いろの幻想的な空の中で、ただそれ
だけが異質なもののように、現実からのシ
グナルのようにまたたいている。目を凝ら

色の小魚であることがわかる。

ふと目を覚ますと、部屋の白い壁に擦りガ
ラスを透かした夏空の青さが映っている。
半ば夢見心地で、エッジのボケた青い矩形
を見ていると、その中にぼんやりと魚影が
見えてくる。中ぐらい影、それが絶えずフ
レームイン、フレームアウトを繰り返して
いる。多分窓を振り向いても、ガラス越し
にはなにも見えないだろうと感じる。

家の外灯に群れる大きな蚕蛾を時折光の外
から素早く入って大きな口に咥えて去って


土砂降りの雨がアスファルトを音を立てて
打つとき、はねる水しぶきのなかで白魚が
ピチピチと飛び跳ねている。

今日すれ違ったフリルのついた日傘の影に
踊っていたのは桃色の唇ではなく、クラゲ


深夜あなたがすっかり熟睡しているとき、
部屋に深い緑の闇と光が揺れながら広がっ
ていく。部屋の壁が見えなくなると、そこ
から大き魚影が音もなく泳いでくる。そし
てゆっくりとあなたの上を通り過ぎていく。
寝ているあなたにはまったく無頓着だ。け
れど巨大な魚の取り巻きの中には、好奇心
で、あなたの髪や耳たぶをつっつくヤツが
いるかもしれない。けれどあなたは目を覚
まさない……。魚がすっかり泳ぎ去ってし
まったあと、一人の男が枕元に立てひざで
座っている。男はすっと顔を近づけて囁く。
「魚を探しなさい、闇を抜けて地上を泳ぐ
魚を、そしてその中かから私の魚を見つけ
なさい、私の名は……」
とても短いのだが、男の名は聞き取れない。
彼が探せという魚の名はあまりにも聞きな
れなくて覚えられない。違う、聞き取れな
かったのは私。あなたなら聞き取れるだろ
う。もしあなたの元を男が訪れたなら、そ
の名を聞いて欲しい、魚の名とともに。そ
してできるなら私に教えて欲しい。私はい
まもわからずじまいだ……。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Aug 2, 2004 02:41:01 AM
[深夜魚] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

charberry @ おっと yanmoさん、お元気ですか?壁の向こうより…
charberry @ Re:水についてのあれこれ(07/16) 本当にお久しぶりです。一年五ヶ月ぶりだ…
Yanmo @ Re[1]:雲の羽衣(02/15) *みくみく*さん >はじめまして >素…
*みくみく* @ Re:雲の羽衣(02/15) はじめまして 素敵な言葉の世界ですねー…
ゆりママ☆ @ Re[1]:おひさしぶりで~す(06/09) Yanmoさん >精神的ダメージがあると、結…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: