深夜魚

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Sep 10, 2004
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カテゴリ: 心象風景
すっかり日記の更新を遅らせてしまった。

書くことがない、のではなく書く気力が失われてしまった。
ここには即興でもよいし、二度と読み返さなくてもよいから、
必ず日常の刺激を受けて(それはその日でなくてもよかった、
たとえば10年かけて次第に蓄積されたものでもよかった)生
み出される非日常を書こうと決めていた。だが、時には非日
常への扉が閉ざされ、その鍵を所有しているはずの私自身が
締め出されてしまうことがある。そして私は扉の外側で、う
ねり、渦巻き、押し寄せる日常に相対することを余儀なくさ

うなものだ。
 こうして、いまはどうにか入力を続けられるが、体が重く、
また両腕も重い。少しくたびれて(まるで湿気をたっぷり吸
った、塩が詰まった麻袋のような)はいるけれど、あと、も
う1日ぶんの日記を書くとしよう。

 大きく傾いた太陽が蜜色に輝き始め、公園の片隅にあるベ
ンチに座ってぼんやりとしている僕の視界に収まるすべての
空間が同じ色に包まれ始めた。楽しげに言葉を交わす親子、
ボールを追いかける子供たち、はにかみながらも幸福そうな
アベック、互いにいたわりあってゆっくりと歩む老夫婦。な
にもかもが平和で、涙が出るほど幸福な風景だ。誰も彼もが

を寄せたりしないし、声を荒げたりはしない、公園の外で起
きている災厄はここに入ってくることはない。
 僕は激しい感情にとらわれた。それは、突然に盛り上がる
熱いマグマのようなものだ。僕はベンチから飛び出して人々
の間に交わりたい、「平和です、ここは平和です、ここにい

にいれば、大丈夫なんです!」そう言いながら、公園を散歩
する人々を抱きしめて、握手してまわりたい、そんな気持ち
にとらわれたのだ。
 そして、ついにこらえきれず、僕はベンチから体を起こし
て、蜜色の空間に飛び出した。すると、周囲の空気は本当の
蜜のように、体にまとわりついて、僕の動きを困難にする。
いくら手足を動かしても光に包まれたみんなの処へは行けな
い。そのうち、みんなが光の中に輪郭を失い、溶け合い始め
た。誰も彼もがネットリとした蜜になり、夕日の光を吸収し、
そして放出しながら、溶けて行く。僕も僕も連れってくれ、
僕も蜜色の時間へ連れってくれ! 暗い森の向こうに太陽が
沈むと、潮が引くように蜜色の光は消えて、誰もいなくなっ
た公園は静かに夜の中に沈んでいく。僕は体についた砂を払
う気力もなく、ゆっくりと起き上がると公園を後にした。明
日、明日またここにこよう。そうすれば、そうすれば……。





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Last updated  Sep 12, 2004 04:02:07 PM
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charberry @ おっと yanmoさん、お元気ですか?壁の向こうより…
charberry @ Re:水についてのあれこれ(07/16) 本当にお久しぶりです。一年五ヶ月ぶりだ…
Yanmo @ Re[1]:雲の羽衣(02/15) *みくみく*さん >はじめまして >素…
*みくみく* @ Re:雲の羽衣(02/15) はじめまして 素敵な言葉の世界ですねー…
ゆりママ☆ @ Re[1]:おひさしぶりで~す(06/09) Yanmoさん >精神的ダメージがあると、結…

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