深夜魚

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Nov 12, 2004
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カテゴリ: 物語のかけら
星ひとつとしてない夜空の中を列車は行く。

乗っているのは私ひとりだ。
結局少年はいなかった。となりの客車にも
そして機関車へのドアはしっかりと閉ざされていた。
車掌もこの列車には乗っていないのだ。
私は窓を開けてみようとしたがこれも開かない。
本当に少年は消えてしまったのだろう。
この列車のことだ。そんなこともあるだろう……

列車が止まらなくても、星が見つかれば下りれる
かもしれない。私には下りる星はない。

思い出の汽車は夜空をめぐる
銀と金の星を結んで
夕焼けの明星
夜更けの極星
朝焼けに消える白い月
にじむような遠い銀河よ
……
声にならない。少年はたどたどしく歌っていたが、

思いっきり泣けばいい。
ホイッスル
ガタゴトと揺れるたびに懐かしい顔が思い浮かぶ
小さな座卓を囲んだ我が家の夕餉
父は無口だが、終始にこやかだった

夕焼けの道をいく友の影
桜よりも桃の花が鮮やかだった校庭
私を励ましてくれた仕事の仲間たち
強い口調で私をどやしつけ、勇気をくれた先輩
……先生
私は彼らが長い長いプラットホームに立って
車内にいる私に手を振っているような気がした。
私は彼らの笑顔に見送られて、私はどこへ行くというのか。

少年の歌うアリアが聞こえる

ようやく涙をぬぐって顔を上げると、
夜空が明るくなっていた。
星が戻ってきたのではない、もう世が明けようとしている。
まるでトンネルを抜けて来たようだ。
もう涙は止まっていた。私は少年の声がいつの間にか
若い女性の声になっているのに気づいた。
しかもちゃんと歌っている!

Tarde, uma nuvem rosea lenta e transparente
Sobre o espaco sonhadbora e bela!
Surge no infinito a lua docemente

夕暮れの情景を歌っているのだが、いまは夜明けだ。
それははっきりとわかる。私の短い旅も終わる。
私はいま誰に会いたいのか、しっかりとわかった。
そして誰に会うのかも。この歌声を忘れることはない。
私は歌う星へ向かうのだ。輝きに充ちた星へ、
若い恒星をまわる音階の順に並ぶ惑星たち、
その中でもっとも高い音階をまわる星へ、
彼女がいる星へ、夜明けの光とともに。






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Last updated  Nov 13, 2004 02:19:53 AM
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charberry @ おっと yanmoさん、お元気ですか?壁の向こうより…
charberry @ Re:水についてのあれこれ(07/16) 本当にお久しぶりです。一年五ヶ月ぶりだ…
Yanmo @ Re[1]:雲の羽衣(02/15) *みくみく*さん >はじめまして >素…
*みくみく* @ Re:雲の羽衣(02/15) はじめまして 素敵な言葉の世界ですねー…
ゆりママ☆ @ Re[1]:おひさしぶりで~す(06/09) Yanmoさん >精神的ダメージがあると、結…

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