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カテゴリ: 物語のかけら

人の夢を糸に紡ぎ
永い物語を機に織る
始まりははるか遠くにあり
終わりはいまだ見えることなく
時はまわる糸車
始まりもなければ終わりもなし
終わりもなし



その糸で機を織る。糸車の脇に置かれた籠には色とりどり
の綿が満たされ、彼女は色を混ぜることなく巧に綿から、
7色の糸を紡ぎだす。その糸で機を織り始めると、まるで
最初から決まっていたように様々な物語が表われる。彼女
は糸を紡ぎ旗を織るだけ、自ら思いついたものを、模様と
して織り込んだことはない。ただ四角く切り取られた青い
空に、白い鳥が飛ぶ姿だけは、彼女が直に目にした風景だ。
そのモチーフは物語の始まりと終わりに必ず織り込まれる。
それを彼女が意識しているのか、それはわからない。


広げた翼を 光に羽ばたかせ
飛び立つ青空 どこまでもつづく
白いくもの峰をこえても
はるかに遠き夢の国


 かごの中は常に綿が満たされ、どんなに糸を紡いでもい
っこうになくならない。織り上げた布は一度もはさみを入
れられたことはなく、美しい木彫りの箱にひとりでに流れ
るように入っていく。だが決して箱から溢れることはなか
った。彼女はいつから自分が紡いで織っていたのかおぼえ
ていないし、いつまで続けるのか考えたこともない。
 糸がなくなれば紡ぎ、紡いだら織る。その繰り返し。彼
女は休むこともしなければ、なにかを口にすることもない。
壁の高いところに設えた窓には常に青空があり、時折鳥た
ちが飛んでいくのが見えるだけ。この窓に夜が訪れたこと
はなく、星も月も太陽すらも彼女を照らし出したことはな
い。ただ鳥の羽ばたく音だけが、彼女の心を驚かし、手を
休めさせる。そのときだけ、彼女のおだやかな顔の口元に、
かすかな微笑みが浮かぶ。
 鳥を見た彼女は、その様子を旗に織り込み、物語の終わ
りと始まりを告げる。どんなに恐ろしい姿が自分の手で織
られようと、どれほどの悲劇が生まれようと、彼女はおだ
やかな表情のまま。模様は模様。彼女には紡ぎ、織ること
だけがすべてなのだ。もし彼女がこの扉もない部屋の唯一
の開口部である窓から顔を出したなら、自分がとんでもな
い高みに達した塔の片隅の部屋にいることを知るだろう。
見上げれば塔の上は雲に隠れ、見下ろせば塔の下が雲に
覆われていることを知るだろう。ただ鳥だけが訪れる。


人の夢を糸に紡ぎ
永い物語を機に織る
始まりははるか遠くにあり
終わりはいまだ見えることなく
時はまわる糸車
始まりもなければ終わりもなし
終わりもなし





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Last updated  Jan 28, 2005 03:10:10 AM
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charberry @ おっと yanmoさん、お元気ですか?壁の向こうより…
charberry @ Re:水についてのあれこれ(07/16) 本当にお久しぶりです。一年五ヶ月ぶりだ…
Yanmo @ Re[1]:雲の羽衣(02/15) *みくみく*さん >はじめまして >素…
*みくみく* @ Re:雲の羽衣(02/15) はじめまして 素敵な言葉の世界ですねー…
ゆりママ☆ @ Re[1]:おひさしぶりで~す(06/09) Yanmoさん >精神的ダメージがあると、結…

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