深夜魚

深夜魚

PR

×

Profile

Yanmo

Yanmo

Calendar

Archives

Aug , 2026
Jul , 2026
Jun , 2026
May , 2026
Apr , 2026
Nov 12, 2005
XML
カテゴリ: どこかにある場所
冬の門は静かに開く

いまは誰も近づかぬ城壁に

オリオンの三ツ星が凍えて震える夜

月から零れた霜が見えぬ門の姿を現わし

静かに流れる笛の音が錠をはずして

門はため息のような白いもやを吐いて

鋭い軋みを上げて開いて行く

城壁はたちまち白く霜に凍り

枯れた草もすべてが鋭く透明になっていく




夜空に雪の結晶を振りまいて

白いパレードの道を作る

笛を手にした白い小鬼がはぜるに門から繰り出し

滑るように踊りながら街への道をかけていく

門から噴出す冷気が一段と強くなれば

体中にツララを下げた巨人たちがゆっくりと

そして雪の息を吐きながら門の外へと歩き出す


二列に並んだ巨人たちの肩には鎖

そのまわりには白い粉のような結晶を振りまいて

無数の妖精たちが踊り飛び舞い飛びちりちりと笑う

鎖が巨大な輿



ついに門には吹雪が吹き荒れ

妖精は慌て巨人のツララの影に身を隠し

遠くで小鬼のよろこびの声があがる


夜空すら霜に凍り

風は白くシャーベットのように



吹雪の音は角笛のごとく街に響き

人々を襲れて家に駆け込み薪をくべる

青白い雪と氷の輿はただひとりの主人を

3つの季節から守り封じている


巨人たちが強く鎖を3度引けば

彼らの雄叫びと氷山の叫びが木霊して

氷は打ち砕かれ雪は飛び散り

中より白い裳裾を広げた女王が

ゆったりと歩みだす

その姿は巨人たちよりもはるかに大きく

広げたも裳裾が触れた山はすべて白く雪に埋もれ

ほんのつま先が触っただけで河は湾にいたるまでを

氷の中に閉じ込めた


静々歩く女王の黒いふたつ目は

青白い月を捕らえ

唇からもれる吐息は

下界に吹き渡る

そして幽かな軋みを残して冬の門は閉ざされる

冬の眷属が戻ってくる

花がにおう春の夜まで






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Nov 22, 2005 02:22:02 AM
[どこかにある場所] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

charberry @ おっと yanmoさん、お元気ですか?壁の向こうより…
charberry @ Re:水についてのあれこれ(07/16) 本当にお久しぶりです。一年五ヶ月ぶりだ…
Yanmo @ Re[1]:雲の羽衣(02/15) *みくみく*さん >はじめまして >素…
*みくみく* @ Re:雲の羽衣(02/15) はじめまして 素敵な言葉の世界ですねー…
ゆりママ☆ @ Re[1]:おひさしぶりで~す(06/09) Yanmoさん >精神的ダメージがあると、結…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: