しろいごはんの食育日記

しろいごはんの食育日記

和食-乳幼児から



子どもの食の立て直し策として、乳幼児から和食を取り入れようという動きがある。かつお節や昆布でとった出汁(だし)をほにゅう瓶で飲ませたり、出汁をきかせた食材を給食で採用したり。フードジャーナリストのほうじょうきなこさんに和食活用の動きを報告してもらった。

料理研究家、村上祥子さんが全国で開く乳幼児向けの料理教室。村上さんはかつお節や昆布でとった出汁をほにゅう瓶に入れて、参加した和解母親にすすめることにしている。「一番出汁をほにゅう瓶に入れて赤ちゃんに渡すと、おいしそうに飲むんです。乳児のころから和食のうまみが分かるんですよ」。村上さんが教室でこうレクチャーすると、大抵の母親は驚くという。

かつお節や昆布でとった出汁はグルタミン酸やイノシン酸を豊富に含む、まさにうまみのもと。村上さんの教室を訪れた私も、甘みとうまみが嫌いな子どもはいないと痛感した。薄味が基本の和食は小児生活習慣病の予防に効果的といわれる。子に和食をもっと食べさせなくてはーー。母親たちも、こんな思いを抱くようだ。

全国の12歳児の約1割が肥満、高コレステロール血症の保有者も増えているそうだ。運動不足と高エネルギー、高脂肪、糖分過多の食事が原因の一つにある。子どもの生活習慣病予防に力を入れている「やまざきこどもクリニック」院長の山崎公恵さんは「和食を中心に据えて、適度に洋風、中国風の料理を食べていた30-40年前の食事に戻すべき」と指摘する。

東京家政大学が東京都板橋区に開いている保育施設「ナースリールーム」も、日本の現在の食卓が和食に戻ってこられるような下地作りに懸命だ。給食の時間、1歳半から3歳の子がホウレンソウのおひたしをパクパク食べている。

献立作成と調理を行う管理栄養士の加藤初枝さんはこう話す。「白あえや切り干し大根の煮物、五目豆も人気。気をつけているのは出汁をきかせて薄味にすること。旬の食材もポイント。柔らかく、汁気を多めにして仕上げると幼児は食べやすいようだ」

加藤さんによると、濃い味は習慣になりやすく、幼児のころに慣れてしまうと濃い味しか受け付けなくなってしまうそうだ。「だから大人になって生活習慣病予防のために薄味にして、和食を中心にといわれても、食生活を改めることは難しくなる」(加藤さん)

ナースリールームを利用する親も学んでいる。「煮豆はお節料理の食材と思っていた。子が給食で食べていると知って家でもよく作るようになった」「熱が出て食欲がないときでも、昆布出汁で大根を煮ると食べてくれる」「おみそ汁は具だくさんにしている」
それぞれが我が家の食卓に和食を取れ入れているようだ。

子に乳幼児期、和食をあまり食べさせなかったが、今からでも間に合うの?と思う向きもあるだろう。料理研究家の村上さんは「週末、親子で出汁をとってみては」と提案する。簡単な出汁の取り方は、以下の通り。鍋に汁わん2杯半の水と3センチ四方の昆布1枚を入れて沸騰させ、すぐ火を消す。かつお節の小パック1袋(約5グラム)を入れて鍋に沈んだら茶こしなどでこして出来上がり。

一家だんらんの週末、子に出汁をとってもらうだけでも食卓の風景は変わるはずだ。今どきの子どもは塾やおけいこで何かと忙しいが、そこはパパとママの腕の見せどころ。あとは出汁をそのまま飲んでもよし。お吸い物より少し濃いめに調理して、青菜と油揚げを煮てもよし。自分で作った料理を食べる喜びを体験させてほしい。

ほにゅう瓶で出汁を飲む赤ちゃんを見れば分かるはずだ。子どもは本来、和食が好きなのだ。

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