しろねこの足跡

しろねこの足跡

選択


ある日のお昼休みに、リエコちゃんは込み合って騒然とした体育館でお嬢さんを指差して突然言い出しました。「ミカちゃんは、私達二人のどっちが好き?」
ミカちゃんは困ったような顔をしてしばらくの沈黙のあといいました。「・・・リエコちゃん」
「あんたは?」
こんなときお嬢さんはなぜか自分の思うことよりその場を丸く治める方法を選択してしまう自分をいつも憎んでいました。「・・・リエコちゃん」

リエコちゃんの顔が満足げにほころび、そして言いました。
「わたしは、ミカちゃん。ということは、わたしは二人から好かれていて、あんたはどっちからも好かれてないんだ。わたしとミカちゃんは両思いね。」
少女は愚かにも異性を選び取る代わりに、友情の選択をせまったのです。
選ばれることの優越感をこんな残酷な方法で得ようとする少女のゆがんだ欲望にお嬢さんはうんざりしました。

でもミカちゃんの答えには決して腹をたててはいませんでした。転校生のミカちゃんが安全に学校生活を送るには、致し方ない選択だと思ったからです。
お嬢さんがミカちゃんの立場でもきっと同じ答えをだしていたでしょう。
まだミカちゃんは誰も傷つけずに自分を守る方法を身につけるほど大人ではなかっただけのことです。

お嬢さんは、この出来事をしろにしか教えてくれませんでした。
お嬢さんはいつだって、おとうさんやおかあさんに助けを求めるようなことはしませんでした。




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