しろねこの足跡

しろねこの足跡

ひかりのいえ10



祖父母がこの日記と手紙だけを保存した意味がまだわからずにいた。
ただ、おそらくだろうが、大内りつ子は私の身内なのだろう。
赤の他人の日記類を祖父母がもっているはずがない。
そして、不思議なことにナバノフが勤務していて、りつ子が尋ねていった坂の上にある小樽の大学は、私の母校でもあった。
私の中で自分とりつ子がゆっくりと同化していくような不思議を覚えた。

あの時代においてりつ子の行動はかなり危険で、奔放なものに思える。道であった外国の男に惹かれ強引にたずねていく・・・
自分にも、そして母にもこんな愛情に対してもっと衝動的な感情があれば、私のいえはこんなにも冷え冷えとしたものにはならなかったのかもしれない。

血が繋がっているかもしれない、大内りつ子とは違って、私も母も愛情を求めるには、ずいぶんと臆病な人間になっていた。



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