憬月庵雑記

憬月庵雑記

2006年11月14日
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その刀は、ネットオークションで手に入れた。

ネットで刀を買うなどとは思いもよらなかった。どう考えても無謀だろう。そう思っていた。ところが・・・

刀剣屋で見てもよほど長く手にとっていない限り、細部を丹念に吟味することはできない。一方、ネット販売の場合、売り手によっては撮影の技術が高く、肉眼での実見以上に細部の観察が可能だ。しかも何百回でも、何時間でも見られる。

ネットオークションでは、売り手の信用度は、過去の買い手の評価で判断可能だ。商品が電気製品などの大量製造品の場合は、過去の評価が多数たまった時点で前受け金を持って逃走することができるが、日本刀などの一品ものでは、そのような手口は不可能だ。

ということがわかってきた。

それでも、あの刀でなかったら入札する気にならなかったはずだ。地肌が非常に特徴的だった。しかもこれほどはっきりと出るものは極めてまれだ。さらに刃中から鍛え、鎬地にわたって刀身中に満遍なく同じ大板目が現れている。切っ先の様子もいい。元先の身幅の差といい、反りの具合といい、体配も優美。古刀、それもかなり時代の上るものに違いなかった。どうかすると鎌倉時代。で、思い切って入札の暴挙におよんだのだ。

すると心に決めた値段と寸分たがわぬ額で落札できてしまった。これには鳥肌がたった。よほどの縁。

その刀、切っ先のわずかな傷を治すため研ぎ屋に出したのがちょうど一月前。予定より仕上がりが遅れている。早く戻って来い。





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最終更新日  2006年11月14日 22時53分51秒


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