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2006年08月20日
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カテゴリ: 映画&音楽
 この季節になると、ある映画の


 海。白い帆を持つヨット。
 そのヨットから、笑いながら女が
 海中へ転げ落ちる。

 男は一人だけ、命からがら海岸に
 泳ぎつく。

 男は青春期をとっくに失った

 女は20代の半ば、って感じで。

 要は年齢の離れた男女の避暑地でのお話で、
 結末はハッピーでなく、というありふれた
 話で。

 見た当初から、30年ほど経た今まで、
 この映画の印象が<優れた作品>になった
 ことなど一度もない。

 それどころか。
 場末の、どうしようもない、あり得ない
 恋愛?映画、って印象は年々濃くなるばかりで。

 でも、この時期になると必ず

 現に、今もこのブログを書いてるぐらい
 で。

 映画の題名は「ひと夏の情事」(1960)。


 8月の頭から、途中別の

 当ったずっイベントの取材が今日終わって。

 仕事のことは書かない、と決めてるし宣言してる
 以上、その話をここに記すのは止めるけど。
 ひと段落、の感覚があって。

 今年の夏が終わった、
 正確にはもう五日、別のイベントの
 取材があるから、それが終わったあとに
 思うものだけど。

 9月に入ると遅い気がして。
 夏の終わりを、こころのどこかで
 怖がってる自分がいて。

 残りのイベントが終わってからだと、
 本当に祭りの終わった後になるのが怖くて。

 夏の終わりを迎えたくない気分の時、
 僕はかならず、この全く出来の良くない
 映画「ひと夏の情事」を思い出してしまう。

 深夜の今。
 ベランダの向こうを見ても海が見えないのは
 分かっていながら、そこに海が存在すると
 思うと余計、頭に映像が浮かんできてしまうのかも
 しれないけど。


 誰がなんと言おうと、一流の映画ではない。
 見たのは15か、16歳の頃で、深夜の吹き替え映画
 劇場だった。

 パスカル・プチっていう女優さんが海に落ちる若い
 女性の役をやっていて。

 覚えてるのはそこまでで、ちょっと調べてみると、
 1960年のフランスとイタリアの合作
 だそうで。

 監督はエドゥアール・モリナロ、
 音楽がジョルジュ・ドリリュー。

 Mr.レディMr.マダム(1978)の監督と、のちに
 トリュフォーの映画の音楽で日本でも著名と
 なる人(僕も何枚もCD持ってたりする)。


 そんな背景もどうでもよくて。

 なんで、こんなブログを今日、僕は書いているのだろう。
 8月21日になった。
 8月はあと10日ほどで終わりだ。

 夏が終わろうとしている。

 夏が終われば秋が来て、冬が来る、そして春が。

 当たり前のことなんだけど。

 なぜ、夏が終わるのが怖いのだろう。
 秋が来るのは自然だし、過ごしやすさ、と
 いうよりも今は秋が一番好きな季節に
 なっているのに。

 自分に思いを寄せているのが明らかだった
 若い女性を、海で、沖で、失くした初老の
 近い男。売れない画家という設定(だったと思う)
 も、今は他人事ではないけど。

 15歳の頃。
 どうしてこの映画に僕は引っかかったのだろう。
 モントリオール五輪が終わった頃に、見たような
 記憶が(1年間違えている可能性はあるが)。

 今の僕なら、手に入らなかった、あるいは入りそうにない、
 なれなかった、なれそうもない、といったものが
 頭の中で点滅する状態で、この初老の男の
 心の中を推測するし、ごく自然に感情移入してしまう
 ことが理解出来る。

 でも。

 15歳の僕は、まだ、未来は…。
 少なくとも、何モノかになる、と思うこと
 で、他人に嘲笑される位置にはいなかった
 はずだ。

 大体。

 初老の男に感情移入なんてそうはしなかった
 はずだ。現に、同じ頃にテレビで見た映画
 「ベニスに死す」、には<なんやねん、これ>
 という感想を持ったのを素直に白状出来る。
 これは、今は180度ぐらい違う感想に
 なってるけど。

 にもかかわらず。

 明らかに、人生の勝利者にはなり得ないことを
 前提に描かれた「ひと夏の情事」の主人公に惹かれ
 た僕は。

 出来の良くない映画、と分かっていた
 ことがキーのような気がする。それでも、
 ストーリーの、もっとも重要な部分、シーンを
 忘れない映画。

 自分の未来なんて、予期できないはずなのに。
 予期出来ないはずの未来を、華々しくはない、
 それどころか、場末の映画館で上映されるどうでも
 いい映画のストーリーのような人生を辿って
 いる自分を思うとき。

 思わぬところで、人生の先を
 知ってしまっている場合が、あるかも
 しれない、と思う今日このごろ。

 さあて。
 何を書いてるか分からない今日のブログを
 お終いにして、別のことをやらないと。

 今年の夏が終わってしまうから。

 (下)JR須磨駅の構内から。
  珍しく、海水浴に来ている上半身裸の兄ちゃん
  がいなかったので。こうやって、沖を見やって
  しまうのは決して僕だけではないようで。
  何も海にはないのに。





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最終更新日  2006年08月21日 01時21分38秒


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