フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

2005年11月21日
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こうして考えてみるとオネーギンって、決して嫌な奴という訳でもないのかなぁ。
むしろ虚栄と退廃の貴族社会に染まりきることが出来ないで訳もわからぬ苛立ちを覚えている、純粋な心根の持ち主という見方も出来るのかもしれない。貴族社会の人間に成り切っていたならば、こんな風にシニカルに、ひねくれた人間にはなっていないと思う。これまで自分が育ち、今現在も身を置いているその社会に対する疑問や苛立ちを抱えているからこそ、こんなふうに斜に構えた人間になってしまったのであろうから。
そうなのだ、彼は本当は心から愛したり泣いたり笑ったり、他人との心からの交流を望んでいたのではあるまいか?上辺だけは美しくても中味のない貴族社会での人間関係に、彼は心の底ではうんざりしていたのだ。一見冷たくてとっつきにくそうに見えるオネーギン、だけれど彼は本当は「熱い男」だったのではないか。
ただしそのことを、彼自身は自覚してはいない。情熱は彼自身が気が付きもしないような、深いところで眠っているのだ。

そんな彼がタチアーナと出会う。タチアーナは彼に一目惚れだ。彼女はそれまで女の子らしいお洒落にも興味のない、本だけが好きな心優しい少女だった。見た目は田舎くさい垢抜けない少女だったけれど、彼女には豊かなイマジネーションと好奇心、そしてなにより「誠実さ」があった。上辺だけ取り繕った存在ではなく、むしろ逆に上辺こそパッとしない少女だったが、その中味は価値あるもので一杯だった。このようなタチアーナこそ、オネーギンが心の奥底では求め続けていた存在そのものではなかったか。オネーギンがもしこの時点で、自らの心の内奥を見つめ、その心が真に欲しているものに気がつくことが出来たなら、きっとタチアーナとの恋は実っていたに違いない。だが残念なことにこの時点での彼は、まだ自分の本当の心に気が付いていない。彼の中に巣くう人間不信の病はかなり根深いものだ。タチアーナのことも、どうせ今までの女たちと同じだ、としか捉えられない。タチアーナの眼の前で彼女から貰った手紙を破り捨てるという残酷な行為をする、このことは前回書いたように彼の今までの感覚からすればたいしたことではなかったのかも知れない。あるいは「俺はもう、女なんかうんざりなんだよ!」とい
う彼の気持ちを端的に示すものであったのかも知れない。だがそうして手紙を破り捨てた後、どこか直感的に気になるところがあったのであろう。一瞬後悔するかのように立ち止まるオネーギン。しかし結局そのままタチアーナのもとを去ってしまう。歯車は噛み合わない・・





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最終更新日  2005年11月21日 15時47分59秒
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