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2013.04.02
XML
カテゴリ: 読んだ本
2008年07月 講談社より
2011年07月 文庫化
2011年11月 映画化(主演:阿部寛)



ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。
「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼等を離さない。
各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは?
息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。
道尾秀介の真骨頂がここに!

(裏表紙 紹介文より)


詐欺師の武沢と、相棒のテツさん。
そこへスリのまひろと、まひろの姉・やひろ、その恋人の貫太郎、
そして子ネコのトサカが加わる。
貫太郎を除く4人には、同じヤミ金に人生を狂わされたという共通点があった。
武沢はそのヤミ金から過去に深い恨みを買っており、追われる恐怖がつきまとう。

という話。

紹介文通りの「息もつかせぬ驚愕の逆転劇」でした。
スリルあり、驚きありで面白い話でした。

解説で、序盤のあるエピソードついて「作家にミスリードされたことに、
読者が気付く瞬間である、云々」というのがあり、
ミスリードされた事実にすら気付かなかった自分って一体・・・?と思いました。(^^;



以下、粗筋と感想になります。ネタバレに注意。























武沢は娘と2人で暮らしていたが、ある日同僚の借金の保証人にされてしまい
返済地獄が始まる。
ヤミ金の下っ端として使われ、金の受け取りや取り立ても行っていた。
ある日、取り立てに行っていた女性が、2人の娘を残して自殺してしまう。
ショックを受けた武沢は、ヤミ金の借入人リスト(被害者リスト)を持ち出して

ヤミ金は壊滅するが、報復でアパートに放火され、武沢は娘を喪う。
それ以来、ヤミ金の影に怯えながら、詐欺を生業としながら隠れ住む生活。

テツさんは、妻がヤミ金の借金精算のために自殺、その生命保険で借金を清算した過去がある。

武沢とテツさんの出会いは、テツさんが仕掛けた詐欺を武沢が見破ったことから。
事前に錠前修理のチラシを武沢のポストに入れ、鍵穴を接着剤で塞ぐ。

生活に困っていたテツさんは、武沢のアパートに転がり込み、2人は組んで詐欺を働いていた。

ある日、2人はスリ(詐欺?)に失敗した少女・まひろを助ける。
まひろの手口は金持ちの中年親父に背後からぶつかってクレープのクリームをつけ、
上着を一生懸命拭いて、返す時に財布を抜くというもの。
財布は抜いたが、気付いた男に追いかけられ転ぶまひろ。
武沢が走ってくる男にぶつかられて、持病の心臓発作を起こしたという体で
まひろと、それを導くテツさんの追跡を諦めさせる。

まひろは金がなくてアパートを追い出されかけていた。
まひろがかつて自分が自殺に追い込んだ女性の娘と気付いた武沢は、
自分の家へ来ればいいと誘い、数日後にまひろが来る。
その更に後に、一緒に暮らしていた姉のやひろと、その恋人の貫太郎も転がり込んできて
5人での生活が始まる。

しかしその生活にもヤミ金の手が伸びる。
4人は同じヤミ金に恨みを持つ者同士と知り、ヤミ金の代表者『ヒグチ』に復讐するために
大がかりな詐欺を仕掛けることを決意する。

結果として詐欺は、ヒグチに見破られて失敗。
しかし、このヒグチは彼らが知るヒグチではなく、その弟だった。
彼は兄の遺言により武沢を追っていたが、遺言につきあった遊びに過ぎず
いい加減やめようと思っていたから、もういいと彼らを解放。
その時に、まひろ達の母親を自殺させたのが武沢であることもまひろ達の前で話す。

武沢は追われる恐怖から解放。
まひろ達は母親の自殺により人生が一変してしまい、ヤミ金も
母親の直接の死の原因である取立屋も恨んでいたが、
武沢と一緒に暮らしたことにより、武沢も被害者であると理解できるようになっていた。
まひろ達は武沢を許し、人生をやり直すために武沢の家を出る。
テツさんも家を出ることにし、武沢も詐欺をやめて普通の生活に戻る。


皆でヤミ金に詐欺をしかけるところはドキドキしました。
いつ失敗するかとか、犠牲者が出たらどうしようとか。
貫太郎がおかしな動きをするし。
最後に失敗してしまって復讐は失敗しましたが、めでたしめでたしのハッピーエンド、
よかったと思っていたら、この後に大きなどんでん返しがありました。

実は、テツさんはキャリア20年の大詐欺師(ちなみに武沢は7年)で、
全部テツさんが仕組んだことだったのです。

テツさんはまひろが生まれてすぐの頃、詐欺師であることが妻に知られて
家を出てしまっていたのでした。
その後、妻が自殺し、娘達が苦労していることを知り許せないと思う。
まず半年前に、ヤミ金を解散し建設業に転向していたヒグチに対し、
取り込み詐欺で4千万という大金を奪います。
そしてその金を資金として、武沢に近付き一緒に仕事をするようにし、
まひろ達と出会い、武沢に助けさせる。
ヤミ金はとっくに解散してなくなっているのに、その影に怯える武沢や
母の死後、投げやりな生活から抜け出せないまひろ達の気持ちのけじめのため、
劇団員を雇ってヤミ金グループを演じさせていたのでした。
すごい、ビックリ!


タイトルのカラス、というのは詐欺とかスリとかの犯罪のプロを指す隠語みたいです。
素人に対し玄人、黒だからカラスみたい。

テツさんが武沢に対し、指の話をすることがあります。
親指がお父さん指、人差し指がお母さん指、中指がお兄さんで・・・・って話。
5人で暮らしている今の状態を、自分がお父さんで武沢がお母さんみたい、というのです。
人差し指と小指を寄り添わせようとした時、親指を添えると楽にできる、
やはり父親と母親がそろっていないとだめだ、という話なんですが、
実は親指だけが正面から他の指を見ることができる、
つまりテツさんだけが全ての真実を知っていた、という二重の意味があったらしい。

気持ち良くスカッと騙された話でした。





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Last updated  2013.04.02 12:40:32
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