風・来・殿

2005.03.21
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カテゴリ: 通常







「中村(なかむら)くんが隣なんだ。これからよろしくね!」
あたしが席替えで隣の席になった人は…
「あ、うん。よろしく。遠野(とおの)さん」
笑顔でニッコリと笑い返してくれる。
…暖かみのある人だった。


遠野歩美の場合



あたしは、遠野歩美(とおのあゆみ)。
どこにでもいそうな元気で明るい女の子。
チャームポイントは、ポニーテール。
隣の席になった中村良輔(なかむらりょうすけ)くんは、あたしと同じ図書委員。
…あたしは、中村くんに憧れている。
あの暖かみのある笑顔が羨ましい。
あたしは、中村くんの仕草をジッと観察したいけど、怪しまれると思って横目で見ていた。


中村くんの仕草を観察してその日は、終わった。


          ***



あたしは、憂鬱な足取りで家に向かう。

家にいてもつまらなかった。
学校にいる時が楽しかった。
…家にいても、あたしは…あたしの存在感なんかなかった。
そういつも重い足取りながらも、家にはいった。

「ただいま」
ボソッと呟くが、おかえりの一言もない。
玄関からきこえてくるリビングでテレビを見ながら笑っている叔母の笑い声。
あたしは、慣れていた。
…叔母は、あたしにいつもそうだった。
……この家にあたしの居場所なんてない。

あたしは、両親を小さい頃に亡くしたらしい。
幼いあたしは、覚えていないけど、あたしは、叔母の家にひき取られた。
叔母の家の扱いは、ひどかった。
…幼いあたしをコキ使って、あたしより二つ年上の自分の息子の透(とおる)を可愛がった。
透は、あたしに優しくしてくれて、叔母さんの言う事からあたしを助けてくれた。
叔母は、透のいる時は、優しくしてくれる。
でも、透のいない時は、ひどかった。
あたしを殴ったり、蹴っ飛ばされたり、罵声を浴びせられたり、お前なんか死んじゃえって言われた事もあった。
でも、あたしは、助けを求めなかった。
学校では、あたしを“しっかり者の明るく元気な女の子”。
そんなイメージを崩せるはずない。
そんな事を学校にバラしたら、叔母にどんな事をされるかわかったもんじゃない。
あたしは、必死に耐えてきた。


あたしは、殺風景な部屋のベットに寝転がる。
鞄から、学級文庫の本をとりだす。
あたしは、家で気をまぎらわすとしたら、本しかない。
パラパラと本のページをめくった。


 トントン

部屋のドアをノックしてきた。
ノックをしてくれる人なんて、この家でただ一人。
「ただいまー、歩美(あゆみ)」
「透。おかえり」
優しそうな顔で透は、あたしに接してくれる。
…透は、この家でただ一人のあたしの味方。
「歩美、今日は、顔色よさそうだな」
「え、まぁね。叔母さんに何も言われてないし…」
「そっかぁ。よかった。よかった」
透は、あたしの頭をポンポンとたたく。
あたしは、笑顔で微笑んだ。
そうして、あたしを抱き寄せる。

透は、あたしの住んでいる地域では、偏差値の高い高校に通っている…いわゆる優等生だ。
それに、背も高くって柔和そうな口調と顔つき。
あたしは、透が好き。
もちろん、家族として。

「…やっぱ、俺あきらめられない。俺、歩美の事が好きだ」
「え、透ってば!やめてよ!」
「嘘なんかじゃない。俺は、歩美の事…」
透は、あたしに恋愛感情を持っている。
いつも透は、あたしの事を好きって言ってくれる。
透の顔がどんどんあたしに近づいてくる。
「や、やめて…透」
「やめられない。俺は、歩美の事…」
「…ん!?…っ…」
透は、容赦なしにあたしの唇を奪う。
もうあたしは、慣れていた。
透は、あたしが中学にはいって以来、毎日のようにこんな事をしてくる。
おかげで、あたしは、透のせいか“キス”という行為が別に大切じゃなくなった。
…でも、最近は、あたしの口の中に舌をからめあわそうとしてくる。
どこで、進学校の優等生がこんな事を知ってくるのかわからない。
あたしは、透にされるがままにされている。





遠野歩美。
私の光なんてもう薄れているんだ。
…澄んでなんかない。汚れてるんだ。








 アトガキ

…これって、何歳指定とかはいるのでしょうか・・?
だとしたら、すいませんでした!!
白文字で全部いかせます。
・・・こんな小説を健全目標にしているところにもちだしていいのだろうか・・?
でも、物語上、削れないので、そうさせてもらいます。
…遠野さんは、色々ある子という事です。






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Last updated  2005.03.22 00:24:26
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