もうそろそろ上映終了ということで、慌てて劇場へ。第1作の「探偵はBARにいる」の出来が良かったので、期待満々で行きましたが正直やや期待外れ。駄作ではないが、期待値が高すぎた。マシャファミリーの 大泉洋 が出ているので、其れなりに面白いですけど「探偵はBARにいる」のストーリーに比べると捻りが無いというか、やはり 小雪 (沙織)と 尾野真千子 (河島弓子)の差というか、片や5点満点なら本作は3.5点。沙織が心の奥では「恩義と愛に報いるため霧島敏夫に付くのか、金のため快楽のため岩淵恭輔に付くのか」最後まで俺( 大泉洋 )に分からない展開が前作の魅力で、実際〈俺〉は沙織に一杯食わされる。白い布を掛けられ、救急車に搬送される沙織を茫然と見送る〈俺〉。泣かせるシーン。本作は「やっぱりそういう感じにしてしまう」展開なので 尾野真千子 のせいだけにするのは酷ですがプロットが大甘過ぎる。橡脇孝一郎( 渡部篤郎 )の楯である、新堂艶子( 筒井真理子 )に前作の〈俺〉を拉致した男( 高嶋政伸 )的な不気味さを持たせ、マサコちゃん( ゴリ )殺しに絡ませれば、もう少し複線的な展開になるのにと思いました。
とはいえ、 大泉洋 と高田 ( 松田龍平 )の男の友情に基づく痛快なアクションの立ち回り、相田( 松重豊 )、桐原組組長( 片桐竜次 )のダンディズム、両刀使い松尾( 田口トモロヲ )の的確な動きをする垂れ込み屋振り、極上女( 麻美ゆま )のエロさ、一般市民の野球男( 矢島健一 )の古い野球選手の蘊蓄、トリックスターとしての佐山( 波岡一喜 )のハチャメチャ振りは魅力満載。作者( 東直己 )も端役で登場するお茶目さ。映像全体に差し込まれるススキノの情景は随分前に行った狸小路の飲み屋のオヤジさんに又会いに行きたい気分にさせられた。オヤジさん御手製のキンキの煮付けは最高。祇園の料亭の味に全く引けを取らない味。20年くらい前に行ったので、おそらくお店にはもう立っていないかと想像しますけどね。 尾野真千子 を酷評しましたが、最後に 尾野真千子 が奏でるバイオリンの調べはグッときて泣けました。曲名はラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」(Pavane pour une infante défunte)だそうです。亡き兄、マサコちゃんへのオマージュ。今、辻井伸行バージョンを聴きてますが、確かにこの曲。良い曲で、思いを込めたこの曲だけでも観る価値あり。 尾野真千子 さんこの曲を1.5カ月練習したそうです。YouTubeで生演奏観ましたが、確かに其れなりの音、形になってました。凄まじき役者魂。
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