本日は柳亭市馬さんと柳家喬太郎さんの二人会を聴きに日本橋公会堂に参上!
市馬さんの1席目は「五月幟(ごがつのぼり)」。 京須偕充さんの2008年5月2日に書かれたエッセー
でも
「雨が上がらなければ鯉幟りの吹き流しは出来ないので、五月晴れはとても貴重だった。落語にも『五月幟り』という噺があるが、最近はやる人が少ない」
とあるので、16年経った2024年の今、「五月幟」を演じる噺家はさらに少ないはず。
おそらく今日初めてお聴きした。
喬太郎さんの1席目は「夢の酒」。
まずはマクラ。寄席の打ち上げでヘベレケに飲んだ深夜、奥さんが寝ていることをいいことにコンビニでとんかつを購入。オトナの愉しみとばかり、ソースをタップリかけて食べようとしたが、ここで寝落ち。朝までソースをタップリかけたとんかつを握った姿を奥さんに見咎められる。「夢八」の現代版。
師匠のさん喬さんが見た鮮烈な夢は「アグネス・チャンとお花畑を一緒に歩く夢」。
さて、「夢の酒」の本編。
美しい御新造が酒を勧める表情、顔を傾ける角度、妖艶な所作。
酔った若旦那が布団を敷いてもらって休んでいるとそこに御新造が入り込んで来た時の、長襦袢の艶やかさ、表情、顔を傾ける角度、妖艶な所作。
この2点は喬太郎さんの至芸で今日の白眉。
喬太郎さんの2席目は「夫婦に乾杯」。「夫婦に乾杯」は昇太さんの作品。
市馬さんも「60歳超えの昇太さんが「夫婦に乾杯」を書くのもどうかと思うが、60超えでやる喬太郎もどうなんでしょう」とあきれる。が、面白い。
「夫婦に乾杯」のマクラ。明日4/23がサン・ジョルディの日なのに因んで、喬太郎さんが本屋の社員だった頃の話題。
「弘文出版 季刊誌 落語」が1冊しか売れないのに9冊余分に発注。結局、余分に発注した9冊は返品。売れないけど、本屋の一番良いところに「弘文出版 季刊誌 落語」を10冊並べるところに、喬太郎さんの「落語愛」を感じた。
山と溪谷社発行の「円龍の下町人情味処」を銀座8丁目「福家書店銀座店」の雑誌担当として、取次店の日販に発注する状況を的確に再現。見事。
因みに、7月10日は「ウルトラマンの日」と喬太郎さんがお好きなウルトラマンにも少し触れる。
1966年7月10日に「ウルトラマン誕生」という特別番組が放送され、ウルトラマンが初めてテレビに登場したことに由来。この番組は、第1話「ウルトラ作戦第一号」が放送される7月17日より1週間前の公開録画中継で放送され、ウルトラマン、ウルトラ怪獣、科学特捜隊、ウルトラマンの生みの親である円谷英二が出演。
閑話休題、「夫婦に乾杯」。
カップ酒の新商品のネーミング会議で、妻不信の声が相次ぐなか、ひとり夫婦仲の良さをみせつけちゃった若手社員が皆に非難される。
よせばいいのに家に帰って奥さんと喧嘩してみる。居酒屋での会話みたいな、たわいなくて内容の無い噺。冷め切った夫婦の会話が擬音になっていて「京都」とか、表現でとても楽しい。柳家の話芸の極み。
市馬さんのトリのネタは「大山詣り」。冒頭の両国の垢離場で水垢離を取る描写で、2つの謡いは歌が得意の市馬さんの名調子。大きな拍手。「落語よりこちらの方がよろしいでしょうか?」とゴキゲンな市馬さん。
「大山詣り」はオオネタで長くなりがちだが、
①毎年酒乱の熊五郎が迷惑をかけるため、道中で酒を飲んで暴れた者は坊主にするという約束
②帰りの神奈川宿の宿屋で泥酔した熊五郎が風呂場で暴れる
辺りを短くして、キレの良い流れ。
よく桃月庵白酒さんが「柳家は無駄に噺を長くする」と皮肉を言うが、実に筋肉質で無駄の無い噺運び。
2024年4月22日 栗好みの会 市馬・喬太郎 二人会@日本橋公会堂
堀の内 市寿
五月幟 市馬
夢の酒 喬太郎
仲入り
夫婦に乾杯 喬太郎
大山詣り 市馬
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