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ミッション 1 ~影を追え~ 入学から二カ月。やっと学園生活にも慣れた頃、美咲としぐれ、舞は生徒会室に呼ばれた。 「良く来たわね。一年生!あなた達にミッションよ!」 机をバンと叩いて、元気良く光が三人に言う。 「な、なんだよ。俺達、役員でもないのに、何がミッションだ。これから三人とも部活なんだから、勘弁してくれよ」 舞が二人を連れて帰ろうとすると、くるみが黒羽扇でドアへの道を遮る。 「な!?これって・・先輩も・・?!」 「舞さん。あなただけが異空間から武器を出せると思ったら、大間違いよ。きっかけがあれば、誰でも出せるようになるの」 光が金髪の長い髪をかきあげ、胸を張って言う。 「私たちは・・あんなの無いんですけど・・」 美咲が申し訳なさそうに言うと、くるみが美咲としぐれの肩を軽く叩く。 「・・・・大丈夫・・問題ない・・・・」 「まぁ~今のところ、一年生で自分の能力を少しでも引き出せるのは、あなた達ぐらいしかいないみたいだから、お願いするのよ」 「能力があるとかないとか、もしかして物凄く危険なんじゃないの?学生に危険行為させて良いのかよ」 舞が唇を尖らせて文句をつける。 「あなた・・なかなか良いわね。気に入ったわ。このチームのリーダはあなたとします」 「はい?ってあの?聞いてます?危険行為させて・・・・」 舞の言葉にかぶせるように光は説明する。 「まぁ~いろいろ、言いたいことはあるだろうけど、ちょっとした調査なのよ。近頃、この学園内で不審な影が出るって。んで、変質者ならそのまま通報してくれれば良いし、お化けとかそんな感じの類なら、あなた達にどうにかしてもらおうと思って」 「って、変質者発見も十分危険だし、お化けってなんだよ。そんな、除霊まがいみたいな事出来るかって!」 「大丈夫よ、舞さん。あなたのその武器なら出来るわ。くるみと似たような武器だもの。それに・・ね」 光はしぐれにウインクする。 「な、何言ってんだよ?へっ?先輩も除霊出来るの?」 「・・・・出来ない・・・・」 「もう。出来る出来ないじゃないの。やって。良い?きちんとした結果を持ってくるのよ。じゃないと、停学にするからね」 「光・・・・強権発動・・・・」 「くるみは黙って。さぁつべこべ言わずに行ってくるのよ」 三人は半ば強引にミッションを言い渡され、生徒会室を追い出された。 三人は校舎探索を続けたが特に何も情報を得ることが出来ず、校舎をつなぐ渡り廊下で輪になって座っていた。 「で、なんで俺たちなんだ?って、お前ら猫かまってないで聞けよ!」 舞がいらいらしながら二人にあたる。 「なんじゃ?あの日か?」 「ち、違う!もう終わったよ!」 「もう~舞ちゃん、プリプリしてる~。ほれ、猫でも触って和みなさい」 美咲に猫を渡されると、あったかさと柔らかさで思わず顔がほころんだ。 「そうそう、そういう顔するの。でも、ホントどうしよっか?」 「うむ。お化けの類なら、わらわがお祓いして終わるのじゃが、不審者は怖いのぉ」 「しぐれさん、お祓いできるんだ!」 「もちろんじゃ、巫女の力は伊達じゃないぞ。それに、会長殿はその辺のことも知っておったみたいじゃし」 「神社は燃えちまったけどな」 舞が猫と戯れながら言う。 「う、うるさい。あれは不慮の事故じゃ・・・・って言うか・・・・もう、それは良いのじゃ。ともかく任務をどうするかじゃ」 「まっ、俺達三人でウロウロ歩き回ったって、しょうがないよ。モニター室に行こっ」 「行ってどうするのじゃ?」 「まぁ~行けば分かるよ。ってか、今閃いたんだけどね」 舞の言葉で、三人はモニター室へ向かった。 「すみませーん」 「失礼しまーす」 人気のないモニター室には学園内を隅々まで監視できるモニターが幾つも置かれていた。 「人、居ないの?」 美咲がモニターを漠然と見ながら言う。 「まっ、ここのシステムは全自動だからね。ちょっと待ってて・・・・過去のビデオをサーチするから・・・・」 舞がコントロールボードに座り込むとピアノでも弾くように華麗にキーボードを叩く。 「あやつは、昔っからあの手の機械は得意なんじゃ」 「へぇ~女の子でコンピューターとか機械に強いって、あんまり聞かないよねぇ」 「う~ん。会長さんが言ってたのは、きっとこれだな」 「どれどれ?」 「お?もう見つけたのか?」 中央に映し出されたモニターには、体育館裏にある用具室が映し出された。ドア付近に黒い影が左右に揺れながらゆっくり動き、画面が途切れてしばらくすると用具室が映し出された。 「ど、どう思う?」 舞の言葉にしぐれが考え込む。 「う~ん。お化けなのか、人なのか、このモニターだけじゃなんとも・・・・お化けなら、マイナスオーラっぽい感じが出るんじゃが、それがどうにも足らんくてのぉ。機械のせいかのぉ」 「画像が途切れるときにノイズが結構入ったから、もしかしたらジャミングがかかったのかもしれないなぁ」 「美咲、分かんないよ。私に分かるように言ってよ」 しぐれが渋い顔をして言う。 「つまりじゃな・・・・分からんということだ」 「え~!あんな難しい話して分からないの?」 舞が空間から白羽扇を取り出した。 「まっ、そう言うことだから用具室に行こっ」 三人はモニター室を出て用具室へ向かった。 作者あとがき お化けが怖いのか、生身の人間が怖いのか、はたまた人間のようなお化けのようなよく分からない生物が怖いのか? 猫を抱くとホワ~ンとするのは何故なんだろう~(謎)
2010.01.30
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数日後の登校時。しぐれは舞の悲鳴で目覚めた。「なんじゃ、なんじゃ?こんな朝っぱらから・・・・・・」階段を寝ぼけ眼で降りたしぐれは、血の惨状を見た。仁王立ちで立ち尽くす麗美。トイレに座り、うなだれる舞。「ったく。朝から何かと思えば、あの日か。まったくうるさいやつじゃ」「って、しぐれは知ってたの?舞ちゃん、初めてだったらしくて泣いてたんだよ!」しぐれは、その言葉で完全に目覚めた。そうじゃった、あいつ女になったばっかりで、何も知らんかった。これは済まないことを・・・・・・。そう思い、トイレで固まっている舞を見て噴き出しそうになった。「な、なんだよ!悪いかよ!知らなかったんだ。こんなになるなんて・・・・・・」顔を真っ赤にしてプイっと横を向く舞の横顔が妙に子供っぽくてかわいい。「わかった。わかった。そうすねるでない。麗美、悪かったな。わしが教育しとくから」「もう~こっちは部活のほうで寝不足なんだから朝ぐらい気持ちよく寝させてよ・・・・・・って、もうこんな時間!あと頼んだよ!」「は~い」しぐれは慌ただしく出ていく麗美を見送った。「おはようございます。しぐれさん、舞ちゃん」登校途中で美咲とアドルに会った。「あ、おはよー・・・・・・」「おはよー」「どうしたの?舞さん?元気ないよ?」「なに?お前、元気ないのか?腹減ってるのか?これ食べろ」舞の目の前にバナナを差し出すアドルに、しぐれが呆れ顔で言う。「ゴリラじゃあるまいし、差し出されて食べるか!まして、朝ごはん食べたあとなのに・・って食べるんかい!」舞がヒョイッと取って皮を瞬時に向いて頬張る。「だって~腹が減ったんだもん。朝からあれだし、なんか、歩きづらいし・・・・」「しかたなかろう。学校帰りに自分に合うやつ買ってきたら良いじゃろ?」「付き合ってくれるか?」「あ~ごめん。ちょっと、部活の事でいろいろとあってな。一人で行けるじゃろ?」「えぇ~?!無理無理!絶対無理!恥ずかしいよ~」「俺がついて行こうか?」アドルが身を乗り出して言う。「駄目。絶対駄目」三人の声が揃う。「な、なんでだよ。薬か何か買うんだろ?バイトのついでに送ってってやるよ」「もう!兄さんはそこまでしなくて良いの。ほんと、分からないんだから・・・・・・しょうがないなぁ。私が付き合ってあげよっか?」美咲が舞に言う。「良いの?ありがと!助かるよ」「入部手続きしてからだから、ちょっと時間かかるけど、良いよね?」「うん。あ、俺も・・・・じゃなくて、私も手続き済ませなきゃ」「二人はどこに入るか決まったの?」「私は保育部」しぐれがすぐに答える。「んと~俺・・じゃなくて私は工作部かな?」舞がそう答えると美咲は意外そうな顔をする。「えぇ?あそこの部って男ばっかりだよ?女子いなかったと思うけど・・・・良いの?他に入りたいところとか」「いや、なんか、前やってたところだから入りやすいかなって思って」美咲の頭に大きなクエッションが浮かぶ。「これ、舞。そんな話したらわらわ達のややこしい話がもっとややこしくなるじゃろうが」「あ、そっか・・いや、大丈夫だよ。趣味の範疇で答えれば良いんだろ」「まぁ、そうじゃが・・・・」「ねえねえ、二人でこそこそ話?何?」ドキッとした二人はシドロモドロになる。「な~んか、隠し事してる~。せっかく親友になれると思ったのになぁ~」美咲がため息をつくと舞が美咲の手を取って笑う。「いきなり、オープンじゃ面白くないだろ?少しずつ出していくから味があるんだよ」「そんなもん?」「そ、そうじゃな・・あ、アハハハハ」しぐれがぎこちない笑いをする。「まっ、そう言うことにしておくか~」「で、美咲はどこに入るの?」「もちろん、麗美先輩のいる演劇部よ」「へぇ~演劇部か~」「なんか、あの舞を見ていたら私もやりたくなっちゃって」四人で雑談をしながらのんびり歩いていると校門にたどり着いた。「ちょっと!待ちなさーい!私のパン返せー」猛スピードの自転車がパンを咥えて学園内へ入って行った。すぐそのあとを、自転車と同じスピードで追いかける少女が土煙を上げて校内へ入っていく。「自転車がパンくわえて女の子に追われてたねぇ」「いや、舞。あれは男の子がパンをくわえていたはずじゃぞ」「ってか、自転車について来る女って・・・・」三人の言葉にアドルが平然と言う。「あぁ、あいつらか。自転車に乗ってた男が二年の青井聡で追っかけてた女がやっぱり二年の草薙緑だな」「緑って子、絶対、陸上部だよね」美咲の言葉にアドルがうなずく。「で、男のほうが演劇部だったかな?」「えぇ!しまった。顔見とけばよかった!カッコ良かったらどうしよう~」「告白すれば?」舞の言葉に美咲が両手で身体を押す。「え?ちょ、校門にめり込むって!」「だって~いきなり告白なんて~」「いや、だから、付き合ってくださいって」「アホか。ホントにお前はアホじゃの~。初対面で突然、付き合ってくださいはないじゃろ」「そうなのか?」「当り前じゃ」「そうかなぁ~」しぐれはアドルの手と舞の手を持ってくっつけた。「ほれ、どうじゃ?付き合ってくださいって、言えるか?」二人の顔が見る見るうちに紅潮していく。「面白い奴らじゃの~」「えぇ~兄さん、舞さんのこと好きなの?」「いや、その、これは」アドルがシドロモドロになりながらもつないだ手を放そうとしない。舞は思考が停止し、固まったまま気絶してしまった。「あちゃ!こんなところで気絶するバカがいるか。まったく・・・・ほれ、アドルとやら舞を持って校内に入るのじゃ」アドルが舞を抱きあげて校内に入ると警笛が鳴った。「・・・・校則違反・・・・捕まえる」風紀委員長のくるみが、他の委員に黒羽扇で指示を出す。「ちょ、ちょっと。俺は悪くないって。これは深い事情が!」アドルはそう言いながら、風紀委員に追われて舞を抱きあげたまま校内へ入って行った。「なんか、面白いところじゃの」「うるさいだけです。全く、兄さんったら。私、恥ずかしいよ」二人は始業の鐘の鳴る学園へ駆けて行った。作者あとがき三国志が大好きで、そのつながりで三国無双をやってる私はどうしてもお気に入り武器とか出しちゃう^^まぁ~嫌いな武器は無いのかもしれませんけどね~ちなみに羽扇は諸葛亮孔明さんの武器。黒羽扇は燕扇とも呼ばれ司馬い仲達の武器だったかな~桜扇は小喬の武器だったかな~さて、大方の登場人物が出揃いました。次回はミッションモード発動!学園内外で起こる問題に生徒会長の光の指示で登場人物たちが、ミッションクリアーに動き出す!
2010.01.24
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真っ暗な講堂。大勢の人たちがいるのに物音さえ立たない静まり返った空気。舞台にスポットライトがあたり、二人は思わず息をのんだ。十二単を着た女性が、桜の模様をあしらった大きな扇と舞い踊る姿を隠す。「麗美じゃ・・・・・」しぐれは感心したように腕を組みながら観賞する。「どうじゃ?あやつが演劇部の・・・・・・美咲殿?」美咲は両手を組んで麗美の踊りに瞳を潤ませながら見つめている。演舞を交えた演劇が終了すると大歓声が巻き起こり、講堂の明かりがついた。通路にペタッと座り込んでしまった美咲は、舞台から楽屋へ下がる麗美の姿を目で追う。「お~い。美咲殿?大丈夫か?」「あ、その、あの・・・・・・ごめんなさい!なんか、痺れちゃって・・」「何が痺れたのじゃ?もしかして麗美の演技に心奪われたか?」「はい!って、しぐれさん麗美さんと知り合いなんですか?」「そうじゃのぉ~。話せば長くなるんじゃが~、簡単にいえば居候じゃ!」「居候はあなた達でしょ!」学生服に着替えた麗美が二人のもとに歩いてきた。「アハハハ、そうじゃの。私と舞が世話になってる麗美殿じゃ」「そうだぞ。こいつの家燃えちゃって、私の家に下宿させてんの」「ちょっと待って!なんで俺をあそこに置き去りにする!」舞が息を切らせながら走りこんできた。「いや~良い雰囲気だと思ってな」「俺は・・・・・・いや、私は・・・・・・えっと・・・・・・男には・・・・」声がだんだん小さくなっていく舞に、しぐれはニヤッと笑い意地悪く舞の横腹を肘で押す。「な、何すんだよ!」「おぬし・・・・恋をしたろ?うん?」表情が一気に紅潮して、何かを口にしようとするが思うように声にならない。「舞さんって純情なんですね」美咲がニコッと笑って言うと、しぐれと麗美が声を揃えて言う。「いや、そうじゃないと思うぞ」「へっ、違うんですか?」「や、やめろ!!」舞が間に入って両手を広げる。「ふむ。まさに乙女って感じで良いぞ。主もなかなか板についてるではないか」「うん。そうだな。これで一人でトイレに行けるようになったら一人前だな」しぐれと麗美の言葉に、舞は激しく動揺し、首を左右に振る。「そ、そんなんじゃない・・・・ぞ。そんなんじゃーーー!」舞のあわってっプリに、美咲がキョトンとして見ていると腕章をつけた小柄の三年生が入ってきた。「あなたが・・・・・・黒波舞?ちょっと・・・・・・来てもらえるか?・・・・・・」「げっ、風紀委員の夜天くるみ」麗美の声にくるみが表情を変えずに顔だけ近づいてきた。「何か用か?」「いや・・・・なんでも」「そうか・・・・私の用は、こいつだ・・・・もらって行くぞ」「私、何かしたのかな~?」舞が半泣き状態で引きずられるように連れて行かれるのを三人は手を合わせながら見送った。「光。連れてきた」生徒会室に連れてこられた舞は、ロープでグルグル巻きにされた上に、猛獣危険とか餌を与えるなとか紙を張られて座り込んでいるアドルが見えた。「なんで、俺がこんな目に・・・・・・」「当り前ですわ。公衆の面前で、あんな破廉恥な!」胸に白の両翼をあしらったバッチが見える。「せ・・生徒会長さん?」舞が恐る恐る聞く。「そうよ。このバッチの文字が見えないの?私は白央光。あなたは一年の黒波舞さんね」圧倒的な堂々っぷりに舞は、足がすくんだ。「光。・・・・・・怯えてる」「あ、ごめんなさいねぇ~怖かったのねぇ~」光はそう言うと舞をギュッと抱きしめた。桃の匂いが舞の鼻をくすぐる。「お前が無駄に威嚇するから怯えてるんだろ!良いからこのロープを解けよ」「何を言ってるの?あなた、新入生に対して無理やり抱きしめていたそうじゃない!なんて、卑劣なの?」「だか~ら、それは・・・・・・」アドルは舞の顔見ると、その場面を思い出し、顔を赤らめる。「あ、あの・・・・それ、違うんです」舞は両手を組んで光に言う。「あの時、その・・・・後ろから野球ボールが飛んできて・・・・アドルさんが、助けてくれたんです」シーンと静まり返る生徒会室。「ふん。言ったろ。俺は無実だ。じゃぁ~帰るぞ」アドルはそう言うと、気合でロープを弾き飛ばした。「ちょ、ちょっと!学校の備品を壊さないでしょ!」「ふん。その備品で無実の人を捕まえた、お前らが悪い。正義は勝つんだ。アハハハハ。じゃあな!」そう言うとアドルは舞に向けてウインクすると部屋を出て行った。「まったく。何なの?あの馬鹿力は。もう!」「あの・・・・私はもう・・・・」「あぁ~あなたね、紛らわしい行動とらないで頂戴。おかげで恥かいちゃったわ。帰っていいわよ」「あ、はい。し、失礼しました~」舞は光の言葉に弾かれるように部屋を出て行った。作者あとがきいやはや、今週はいろいろあって、筆が進まない進まない^^;;舞って大変だよなぁ~。ず~っと男のように生活していたのが、突然、女に戻っちゃったんだもんなぁ~。まぁ~考えるだけで、いろいろと大変そうだ><;;てな感じで、まったりと書いていきます。また来週以降アップしまーす^^ノ
2010.01.16
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エンジェル学園 桜の花びらが金色の髪に数枚まとわりつくのを、少年は不思議そうに見る。「桜・・・・か。春なんだなぁ~」「何たそがれてるのよ~アドル。私にとっては初の高校生活よ!」ウキウキしながら少女はアドルに鞄を軽くぶつける。「美咲には初めてでも、俺には最後の高校生活だ・・・・あぁ~だるいなぁ~」「しっかしさぁ~突然特待生扱いで入学決まるなんてラッキーだよね。この学園って物凄くレベル高くてなかなか入れないんだよ」「そうなのか?知らなかった・・・・・・」「え?兄貴は知らなかったの?!」美咲は少しよそよそしく離れて歩く。「な、なんだよ。俺は恵さんの勧めで入っただけで・・・・・・そう言えば試験も受けてないや」二人が校門の前に到着するとドレスを着た綺麗な女性が立っていた。「おはよー!」「あ、恵さん。おはようございます」「お、おっす」三咲が元気よく挨拶するのに対して、アドルは少し頬を染めて横を向く。「ん?どうしたアドル?もしかして・・照れてるのか?」恵はアドルの前に立ち、胸を強調するようにポーズをとる。「だ、だから・・・・その、変なところが元気になるんだって!」アドルのバカでかい声が校庭中に響き渡る。一瞬場が静まって、周囲に次第にひそひそ話が湧く。「ちょっと~バカ兄貴!私、恥ずかしいぞ!」そう言うと美咲はそそくさと構内に入っていく。「あぁ~あ。どうして、そんなに純情なのかしら。まっ、それも良いところであり、悪いところでもあり。ウフッ」恵は照れてるアドルの頬に軽くキスすると校内に入ろうとした。「後藤少佐!ちょ、ちょっと待ってください!」軍用車両が横付けしてきて軍服を着た男が恵に話しかける。「途中で抜けだされては困ります。もうすぐ、会議の時間なんですよ」「あ~、もう!私はこの子たちの保護者なの!入学式ぐらい出させなさいよ!」「しかし・・・・上層部からの命令で・・・・」「大高の差し金でしょ!もう・・・・」「大高准将も今回の会議は力を入れてまして・・・・」恵は少し空を見上げながら考えるとニコッと笑って鞄からスティック型の記憶媒体を出した。「これに資料が全部入ってるわ。私の音声付きのプレゼンだからご老人達も十分納得するわよ」ポイと男に渡すと恵は固まったままのアドルの手を引き校内へ入って行った。エンジェル学院。文武両道をもっとうに各界に逸材を輩出している名門校・・そして天使の遺伝子が色濃く出た少年少女を集めている場所。実際には超能力とかそういうものではなく、ただ単に能力がずば抜けているだけと思われていたのが、とある遺伝子科学者が発見した『エンジェルコード』が世界の認識を変えた。エンジェルコードを持つ者が人の上に立ち、エンジェルコードが色濃く出た者が支配者になれる。そんな噂が天使狩りを起こし、多くの人々が殺された。エンジェル学院は、人道的見解とエンジェルコード者を保護することで国の優位性を保とうと考え、政府により設立されたのだ。この行動は世界各国に広がり、今では全ての人がエンジェルコードを多かれ少なかれ持つようになり、エンジェル学院も普通の高校と遜色ない学園になりつつあった。「この制服、変ではないか?」「ん~。俺も初めてだから、いまいち分からんけど・・どうも、下がスースーするな」「当り前じゃろ!スカートじゃからな。わしだってこんな服着るのはしばらくぶりじゃぞ」紫色の髪が印象的な少女と、親父のように大開脚して椅子に座っている少女が向い合って話している。「あ、あの~はじめまして。席、ココみたいなんだけど。良いかな?」入学式が終わり、美咲は教室に戻ると自分の席で話し込んでいる二人に話しかけた。二人の視線が美咲に突き刺さる。「あ、その、ゴメンなさい!先生に言って席、変えてもらうから!」「ちょっと待ったー!」親父のような少女に襟をつかまれその場に立ち止まらせられる。「こらこら、そう乱暴に扱う出ない」紫色の髪をした少女が手を振り払うと、美咲を席に座らせた。「悪いことをしたのぉ~。私は九紫しぐれ。こいつは黒波舞じゃ。えっと~おぬしは?」「おぬしは、は無いだろ?そのババァ臭い言い方、直せよ」「なんじゃ?これはこれで奥行きがあるじゃろ?」二人のやり取りに美咲はクスクス笑う。「私、後藤美咲。よろしくね」美咲はしぐれと舞の手を握って、はにかんだ。入学式三日後、新入生を迎える歓迎会が学園で行われた。と、同時に部活動の勧誘も行われる。アドルは美咲の後ろについて歩いていた。「ねぇ!これじゃ、誰も勧誘してくれないじゃない!」アドルの体格はプロレスラーのようにたくましく、金色の髪が長く風にたなびくためにライオンのように見える。「なんでだ?俺はお前が心配で・・・・・・」「あぁ~もう!兄貴の風貌が威嚇しているように見えるのよ!これじゃ、私・・・・・夢色の高校生活をエンジョイできないわ!」「お、俺が悪いのか?」「そうじゃ、おぬしが悪い」しぐれが舞とともに間に入ってきた。「しぐれちゃん、舞ちゃん!もう決めたの?」「うむ・・・・・・一応な。三咲は決まったのか?」美咲は指でアドルを指さす。「あぁ~これはこれは、お兄様~私はしぐれ、そしてこっちは舞じゃ。美咲殿の同級生じゃ」「はぁ」「講堂で部活動紹介があると聞いての。美咲殿を誘いに来たのじゃ。連れて行っても良いかの?」「あ、あぁ」アドルはボーとしながら三人を見送った。しかし、とっさに走りだし舞の体を持ち上げて抱き抱えると、直撃するはずだった野球ボールを片手で受け止めた。「すみませ~ん!」遠くで野球部の部員が手を振っている。「バカ者!怪我したらどうするのじゃ!舞、大丈夫か?・・・・舞?」突然のことに舞はアドルの腕をギュッとつかみ目を閉じていた。ゆっくり開けて、アドルと見つめあうと二人の顔が一気に赤くなる。「ほうほう。おぬし達・・・・・・なかなかお似合いじゃぞ。さて、美咲殿、あの二人はそのままにして行くとするぞ」固まったままの二人をそのままに、しぐれと美咲は講堂へ入って行った。~続く~作者あとがき前回の前振りは何だったのという、突然の学園生活(笑)読者の方々、混乱されたでしょうか?^^;とにもかくにも、九人の羽を持つ者が学園に集められ、無事に学園ライフが楽しめるかどうかは・・・・・・次回をお楽しみに~www個人的にだけど~共学って良いよね~^^男だけとか女だけとか、偏りすぎて詰まんないんじゃないのかな?学生時代に甘酸っぱい故意のロマンスがあったって良いじゃないか!あたって砕けて星屑になったって良いじゃないか!^^な~んてね^^続いて執筆活動頑張りマース^^ノ
2010.01.09
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