上生的幻想

上生的幻想

2010/04/11
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テーマ: 京都。(6370)
 昨日食べた 下鴨茶寮のランチ 「卯月」 の献立は以下の通り。

 一 食前酒替り  京野菜のジュース
 一 先附  春の珍味
 一 向附  旬の御造り色々 あしらい
 一 煮物椀  海老真丈 筍 独活 人参  清汁仕立
 一 旬菜  白魚柳川風と春の京野菜  筍 京の蕗 蕨
 一 中八寸  春の口取りと取り肴色々
 一 焼物  いずれか一品

         鱒山吹焼
 一 強肴  京野菜の天麩羅
         筍 蕗の薹 鯛花菜包み 京独活
 一 食事  筍御飯
 一 香物  京漬物
 一 止椀  合わせ味噌仕立
 一 水物  京の湯葉プリンと季節の果物のマリアージュ

   以上 12品プラス、

 干菓子と抹茶 だった。

 お土産に、「ちりめん山椒」 一箱(65グラム)


IMG_6906.jpg
 桜茶。

 桜の花びらが浮いている。
 ほのかに、春の香り。

 食前酒替わり 先附 向附 はいっしょに出てきた。
IMG_6907.jpg

 野菜ジュースはショウガの風味が効いていた。
 ジュースと言っても、すり下ろした野菜のミックスで、半分ほどは箸をつかって口の中に流し入れた(右下)。


 先附は、真ん中の小鉢。
 黄色のはウニ、緑色のは木の芽のソース。というか、木の芽と言えば山椒だが、そうではなくて春の野菜の何かでつくったソース(菜の花や、蕗や、タラの芽、と言った感じ。ソースのかかっている物の方に気をとられて、聞きそびれた)。

 それよりも、そのソースのかかっているもの。
 ほんのり白くて、食感は胡麻豆腐。風味も胡麻豆腐っぽいが、何となく、胡麻ではない。
 それでいて、繊維が入っている。
 聞いてみると、なんと、筍の豆腐。
 京の朝掘り筍豆腐。

 筍と言えば、味もさることながら、あの食感、やわらかいものからザクザクという感じのものまで、あの食感であり、食感が主で風味は従みたいな味わい方をしていたけど、この筍豆腐はそんな筍らしい食感は全部切り捨てられて、胡麻豆腐の食感。そこに筍の風味。
 妙な感じ、といえば妙。
 しかし、その一方、食感抜きの筍の風味をしっかり味わうこともできる。
 その上、筍らしい食感が胡麻豆腐の食感に置き換わっていることで、かえって、やわらかいものからザクザクといったものまで、筍のいろいろの食感がイメージとして楽しめる。

 とりあえず、この筍豆腐一品で、なんとなく、下鴨茶寮の料理の本質を掴んだ感じがした。
 それは、まったく、上生とおなじ、方向性での洗練。

 それにしては、安政三年、幕末創業というのはちょっと違和感があったが、どうやら、もともとは下鴨神社の御用達庖丁人をつとめてきて、朝廷からの勅使をもてなすための料理などもつくっていたという歴史があるとのこと。
 つまり、上生同様、公家文化の洗練を受けてきている、ということは容易に推し量られ、それで納得。
 ちなみに、安政三年は茶懐石の料亭としての創業ということらしい。

 それにしても、この素材の一ひねりした「活かし」方。
 ふつうの料理のレベルで「素材を活かす」と言えば、素直に、筍の風味も歯触りも、そういうものをできるだけ損なわないように、さっと料理する、といったものだろう。
 しかし、この筍豆腐は、「殺して、活かす」とでも言うか。
 筍の歯触りは完全に「殺し」て、それによって筍の風味だけを取り出し、と同時に、食べる者のイメージの中でかえって「歯触り」を再現させる、そんな「活かし」方。
 しかも、直線的に、素直に素材を「活かす」のではなく、一手間も二手間もかけて、「殺し」ながら「活かす」事によって、料理をただ「おいしい」というのではない、別の次元のもの仕立てている。
 こういう方向性と洗練が、上生とおなじだと思った。

 また、遊び心と機知も感じた。
 何も筍のあの素敵な食感をわざわざ「殺し」て、胡麻豆腐の食感にしなくても・・・とも思うが、それをあえて胡麻豆腐の食感にする、遊び心と機知。
 これも上生に通じる。

 ただ「おいしい」という次元の料理とは、まったく異なった次元の料理だと思った。

                             つづく・・・・





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Last updated  2010/04/11 11:55:36 PM
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