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2004年06月13日
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京阪神をクルクル飛び回って担当物件の販売にこれ努める我が兄ぞう。

一昨日から明日は京都販売所に詰めているそうで、我家に帰って来ています。
それは良いのですが・・・


帰宅した兄ぞうがですね、茶の間に入って来るなり、こう言うではありませんか。

「お母はん、ウチにグレイの糸ってあるんか?」

兄の夕飯を温めていた母が、当然ですが訝しげに振り返ります。
小学校の家庭科以来、兄ぞうが裁縫箱の中身に思いを寄せたことなど一度もありません。

「そら、ありますけどな(と、一応答えて)・・・どないしたん、また急に」



「実は、こうなってしもて・・・」

しかし母も私も、何がどうなったのか解りませんでした。
すると兄ぞう、「分かる?」 と言って軽く上体を曲げました。

「あらーーーーーーーっ!!!」

と、仲良くカブる母娘の嬌声。
そうです、兄ぞうのズボンのお尻の縫い目が、パックリ裂けていたのです!
いっそ見事な、と感心したくなるほど真っ直ぐ潔い破れ方でした。
何でまた、こんなことに・・・と尋ねたのですが、兄ぞう自身も解らないとのこと。
一体、何時間この状態で歩いていたのやら。 そこが問題です。
茶の間は急遽、取調室になりました。
全部吐いたら、ウナ重食わせてやるよ・・・って、単に今夜の献立なのですが。


・・・とアホらしいことを考えながら話を総合しました。
母の証言では、朝、アイロンで折り目を付けた時には何ともなかったとのこと。
兄ぞうの供述によりますと、午後3時過ぎに会社の同輩に指摘されて初めて気付いたとのこと。
取調官(私ですが)に、兄ぞうは以下のように話しました。
調書の雰囲気を出すために、ちょっと脚色してみましょうね(笑)



「今日はお客の訪問数が少なく、販売センターは暇でした。 私は元よりじっと待つのが嫌いですので、私達の用語で言うところの 『キャッチ』 に出かけました。 いえ、若い娘さんやお年寄りを騙すようないかがわしい内容ではありません。 方々のモデルルーム展示場付近などにアミを張り・・・もとい出向き、我々の物件のチラシなどお見せして来ていただく方法です」

(被疑者兄ぞう、ここでお茶を一口すする)

「はい、頑張った甲斐があり、数名のお客様を案内することが出来ました。 いえ、まだ買ってもらえるかは解りません。 大きな買い物ですからね・・・ここからが我々営業マンの腕の見せどころなんですよ、ハイ。 ともあれ数件の下地を作り、一段落しました。販売センターは再び我々社員だけになり、それがおそらく、午後3時頃でした」

(兄ぞう、ウナ丼はまだかなぁ・・・と訴える目。 先に吐いちまいな、田舎のおっ母さんを安心させてやるんだ。 証人Aを兼ねて目の前に居はるけどさ)

「パーテーションで仕切った向こうに、我々のためのスペースがあります、はい。 窓口をしばし後輩と女子社員に任せて、私は同僚二人と共に休憩に入りました。 今日初めて上着を脱いで・・・そうです、お客様に接する場所では上衣着用が常識ですから・・・ハンガーに掛けましたところ、私の後姿を見た同僚が、急に笑い出し、言いました。 『Kさん、今日のパンツの色、当てたろか』 と。 何事かと振り返った私に尚も笑い、同僚は 『青と水色の縦縞やな、そうやろ!』 と。 暑い京都の昼下がり、私は驚愕を覚えました。 当たっていたからです。 確かに私は今朝、たまたま洗濯物を畳んでいた妹が無作為に渡してくれた、その柄のパンツを着用に及んでいましたが、同僚が知るはずもないことです。 日々のパンツの柄を報告し合う習慣は、基本的に野郎だらけの我が社にはないのですから・・・」

(取調官たりぞう & 証人母、笑いすぎてお茶もロクに飲めないほど。 被疑者兄ぞう、空腹に負けて自白を急ぐ)

「はい、その通りです。 私のズボンの尻が、いつとも解らぬ間に破れていたのです。 はあ、見られたのが同僚だけだったのは不幸中の幸いと言えましょうか。 パンツも一緒に破れていたら、それはシャレにもならない事態でしたね。 前回の東京出張で歌舞伎町を通ったなぁと、不意に思い出したものです。 クワバラクワバラ。 アンタら、笑いすぎです。 私はそれから一日中、仕事が終わるまで落ち着かず、挙動不審を絵に描いたような動きしか出来なかったのですよ。 近々出るらしいファースト社内広報に、私のあられもない後姿を載せてはどうかと、冗談か本気か知りませんが同僚が携帯カメラを構えますので、全く油断がならなかったのです。 仕事だけでも大変なのに同僚には散々笑われ、くつろげるべき我家ではもっと笑われ、私の立場は・・・。 あのぉ、それはともかく、そろそろ御飯を・・・」


お腹が6つに割れるくらい笑い倒した母と私でしたが、取調室ごっこを終えてワラワラと急いで支度をば。
祖父と父の流れを継いだ兄ぞうは、食事の支度を急がせたり文句を言ったりはしない人なので・・・遠慮がちながら言うからには、よっぽどお腹が空いてきたのですね。
ゴメンゴメン^^;
ウナ重とお吸い物、野菜の炊合わせに漬物で、兄ぞうは嬉しそうにモリモリ食べました☆


さて、ズボンの処遇です。
兄ぞうは、母が繕ってくれるだろうと思っていたようです。
ちなみに私のことは最初からアテにしていなかったそうで・・・はいはい、アンタの判断は正しいよ(爆)
しかし母も、「これは出来ませんわぁ」 と。
たまたま我家にあった予備の共布と一緒に、明日にも専門の方に預けて掛け継ぎをお願いすることになりました。

では、明日は何を着て行くかな・・・と、兄ぞう、思案顔。
スーツの大部分は大阪のマンションにありますから、実家に置いてあるのは、ほんの数着です。
また間の悪いことに、薄物がありませんでした。
明日だけ我慢するか・・・暑くて耐えられなかったら昼休みに抜けて、間に合わせに吊るしで一着買うわ、と兄ぞう。
その時、母がパン! と手を叩きました。
薄物一着、クリーニングが上がっているはず、と。
御自宅とお店が一緒なのでラッキー。
朝一番でもらってきましょうということで、一件落着しました。
・・・したのですが。

「どんなスーツやったっけ?」

と、兄ぞうが何の気なしに尋ねましたところ、母が説明に詰まりました。
「緑の・・・」 とは言いましたが、緑系のスーツは何着か持っている兄ぞう。 説明になりません。

「たりちゃん・・・ほれ、言うたげてぇな」

いやいや、私にフられてもっ(^^;
カッターシャツのアイロンくらいはしますが、スーツの出入りまで知らないもんね。

「アレですやん、あの色の・・・そう、国防色!」

・・・シーン
兄ぞうは湯呑みを、私はビールのグラスを手に、しばし茶の間に静けさが。
コクボウショク・・・並んで座っていた兄と私の頭上を、テロップがツツツ~と流れました。

先に反応したのは私で、爆笑してしまいました。
言うに事欠いて国防色・・・!
せめて、オリーブ・グリーンとか言いましょうよう! とツッコミましたら、母、ツルンとした表情で

「そうそう、そう言うつもりでしたんや」

と、ヌケヌケと言うではありませんか。
今夜は一体、どうなっているのでしょう。
私の腹筋を鍛えるキャンペーンかぁ???
イヤやぁ、もう~~~と、母の肩をバシバシ叩いて笑い転げた私でしたが、フと見ますと、兄ぞうキョトン。
テロップは、別の意味で兄ぞうの頭上に流れたようです。

「コクボウショクって、何?」

何って・・・知らんの、お兄ちゃん!
ほれ、戦争映画で見るやろう、旧日本軍の軍服の色やん!

「ああ、あれか。 いや、色は知ってるけど国防色っていうんは初めて聞いた」

おいおい・・・(クラリ)
それはないでしょー、日本人が知らないでは通らないよお・・・

「そうかー、ゴメン。 俺、戦後生まれやからなぁ」

一年だけですが間違いなく年上の人間から、戦後生まれだと言い訳された私の立場は一体・・・(汗)
母は、「そっそ、オリーブ・グリーンですわなぁ」 と鼻歌交じりに繰り返して、もう聞いていません。
こんな家族を抱えて、唯一シッカリ者の私はどうしたものか・・・(涙)

二人をそれぞれの布団に追いやって、ようやく静かな自由時間をば。
さて、勉強やらネット巡回やら始める前に、ちょっと続きを読もうかな・・・と取り上げた本は、昨夜は何とも思っていなかった国防色、もといオリーブ・グリーンでした。
関係ないのですが、前髪を切りすぎて、一昔前のオリーブ少女一歩手前になっている私でもあります。
手品師がハットから次々と出してくるような、オリーブ尽くしの符牒が続いています。
BGMは、やっぱり例の・・・『首飾リ』?

笑えなーい、さすがにそこまで悪趣味にはなれません(笑)










































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最終更新日  2004年06月14日 05時38分36秒
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