ふとんでごはん。
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球は、熱狂するスタジアムの一種異様な空気を切り裂いて、芝の上に転がった。 プロ野球選手あまた居る中で、僅か三十余人しか到達したことの無い高み、2000本安打。 今日、新たな足跡がその山肌に刻まれた。 田中幸雄。 1000本安打、1500本安打に続き、またこの地で金字塔を打ち立てた。 ここ数年、東京のファイターズファンはどこか所在無げであったように思う。 近鉄の様に球団自体が消滅してしまったわけでは無く、確かに今まで通りペナントを争っているのだけれど、チームは本拠地を変え、ユニフォームを変え、マスコットも変わってしまった。 日本の首都・東京に、パシフィックリーグのチームが失くなるというゆゆしき事態。 だが遷都先でチームは思いの外あたたかく迎えられ、奥ゆかしくも初々しい熱狂が球場を包んだ。 おらが街にやって来たプロ野球を、おいちゃんもおばちゃんも心から楽しんでいる。 そんな状況を、東京のファイターズファンはただただ複雑な思いで見つめているしかなかったのかもしれない。 在京セ球団が人気を寡占している状況の東京時代、スタンドはいつもガラガラだった。 しかも、ドームでの試合はなぜかいつも長くなる。 でも午後10時を回り、鳴り物が使えなくなってからのいわゆる『口ラッパ』は、それはそれでひなびた趣きがあった。 どんなに試合が長引こうとも、席を立とうとしない戦士達。 いや、立とうとしないのではない、戦士の居場所はそこにしかないから、立てなかったのだ。 数こそ少なかったけれど、ファイターズファンは確かにそこに居た。 札幌ではなく、東京のファンの前で弾き返した一本は、彼の中でどんな意味を持つのだろうか。 いや、むしろ何か特別な意味を持っていて欲しいと願わずには居られない。 記憶から消されたく無かったのは東京のファンだけでなかったんじゃなかろうか。 幸雄さんは、東京のファイターズそのものだった。 これからも前へ進め、勝利の男・田中幸雄。 おめでとう。
2007年05月17日
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