on the other side of the world

2005.07.07
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テーマ: 本日の1冊(3757)
カテゴリ: 不真面目文学
年に一度はオウィディウスの「メタモルフォーシス」を読み返したい。アタクシが痛く気に入っているのが(と言ってもそう沢山あるものではないが)オクスフォード社のメルヴィル英訳。華麗な詩を訳すのだから、容易なことではない。メルヴィル氏の英訳はすんなり読め、それなりの美しい言葉遣いやリズムの取り方でやはり詩になっている。

日訳で読んでみたことはない。

大学時代にラテン語を少し噛り、一度だけ、一番好きなバウシスとフィレモンの件を旧ラテン語で読もうと試みた事がある。汗だくで取り組み、おぼろげに意味が伝わって来るような、そんな情けなく、ちょっと悔しい試行だった。

バウシスとフィレモンの転身物語は、日本の民話によくある「お地蔵様の恩返し」の物語に似ている。ほとんどの変身者が麗しき美男美女や神々なのに対して、バウシスとフィレモンは「昔々、ある所に、信心深いおじいさんとおばあさんが居りましたとさ」という日本民話の典型そのままだ。

ある日、旅人に化けた神々が訪れ、バウシスとフィレモンはそれを丁重にもてなす。自分達が食べるはずだった食事を分けあい、我が寝床を新しく改めてそこに旅人を寝かす。

その褒美に、神々は二人の小さな家を神殿に変える。そして、願い事を叶えよう、と二人に微笑みかける。

「願い事が叶う」という物語を読むと、自然に、自分だったら何を願うだろう、と考える。何を、願うのだろう。

バウシスとフィレモンは、顔を見合わせ、恐る恐る答える。願わくば、長年幸せに暮らして来た場所でこの神殿に仕え、これからもつつましく暮らせる様、そして妻が夫の死を嘆き葬ることなく、夫も妻を墓に納めることのない様、そう願う。

神々は二人の願いを叶える。それから何年もの間、二人は仲睦まじく神殿に仕えるが、ある日、何かを言おうとしたバウシスの顔が見る見る緑の葉に覆われていく。同時にバウシスも、フィレモンの顔が木の葉に隠れ出すのを見る。残された数秒の隙に二人は愛情の言葉を述べ、速やかに、二本並んだ樹に変身する。






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Last updated  2009.07.03 10:20:11
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