いつかはカナダ犬と北京生活

いつかはカナダ犬と北京生活

6、深夜二時の出会い

6、深夜二時の出会い


 その間にみるみる人が増え、12時半をまわるころにはフロアが埋め尽くされるほど混みあってきた。私たちは飲みかけのカクテルもテーブルに放っぽり出し、ダンスフロアへ。

 久々のクラブは最高だった。日常生活から解き放たれたような爽快感。クラブSは初めてだったけれど、外国人も多く、その雰囲気は北京で私たちがよく通ったクラブにどこか似ていた。音楽に身を任せ、ふと眼を閉じてみると、まるで北京にいるような錯覚に陥いる。

 いつの間にかモリゾウともヤッシーともバラバラになり、私はフロアの前方で、もみくちゃにされながら一人で踊っていた。アジア系、白人、アラブ系、南米系、何人もの男が代わる代わるやって来ては、フロアがギュウギュウなのをいいことに、私の体にまとわりつく。いきなり腰に手を回す人、後ろから重なるように抱きしめようとする人、一緒に踊りませんか手を差し出してくる人。私は一人気ままに踊りたいので、それらを笑顔でかわす。

 ちょうどフロアの中心にきたとき、近くで一人の白人が踊っているのが見えた。女探しに夢中になる男が多い中で、彼はまわりに見向きもせず、自分のダンスを楽しんでいる。パリッとアイロンのきいた、シンプルな薄ピンク色のシャツがよく似合っていた。私がちらっと彼のほうを見たとき、目が合った。彼がニコッと微笑んでくれたので、私も目で微笑み返す。


続く→


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: