いつかはカナダ犬と北京生活

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7、彼とのダンス

7、彼とのダンス


 ピンクシャツの彼と私は、どちらからともなく隣へやってきた。深夜2時のクラブS。決して広くないその空間に、200人以上がひしめき合う。まだ4月になったばかりなのに、全身からとめどなく汗が噴出していた。薄暗い中で、時折ライトに映し出される彼の顔が見える。

私は彼を意識しながらも、そんな素振りを一切見せずにダンスを続けた。彼のほうがどう感じていたかはわからない。気づいたとき、私たちはどちらからともなく体を合わせ、一緒に踊っていた。蒸されるような熱気の中で、お互いに言葉を交わすこともなく、踊り続けた。

 私は滅多にクラブで男と踊らない。クラブで一緒に踊ろうと寄ってくる男の中には、隙を見て卑猥(ひわい)なことをしようとする奴もそれはそれは多い。そんな面倒に初めから巻き込まれないための自衛手段でもある。だけど、ピンクシャツの彼には、なぜかそんな警戒心を少しも抱かなかった私。

 彼と30分くらい踊ったころ、私は不意にモリゾウやヤッシーがどうしているのか気になり始めた。きりのいいタイミングを待ち、「友達探しに行ってくる!じゃ、またね~」と笑顔で彼のもとを離れた。


続く→


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